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奇跡の島・柏島漂流記

突然休暇が取れたので、なんとなく行ってみたかった高知県の柏島に一人でほぼ準備なしで行ってきた。結論から言うと、3つの奇跡の発見ゆえに非常に最高だった。
①どこまでも透き通るエメラルドグリーンの海
②イルカや魚、猿などの野生動物
③人情深くて温かい島民

話に入る前に、今回の旅のストレスを先にお知らせする。
私にとってストレスが2つあった。1つは往路の運転、2つめは宿の予約。

島までの所要時間は、東京から片道約4.5H。高知からの道のりが遠かった…
・羽田〜高知 飛行機1.5H
・高知〜柏島 車3.0H
久々の運転が3時間の慣れない道。
夜の道は街灯がないこともあるため、移動には要注意。車通りは少ないので、衝突事故の心配はなさそうだが、暗すぎて怖い。霊感ゼロの私でも"なにか"出そうと思った。(友人から憑いてると言いがかりを掛けられたので余計怖かった)ちなみに、島までは多分車しか手段はないから致し方ない。

宿の予約は、高知に着いてから現地の民宿に電話したところ、オフシーズンということもあったため全く捕まらない…
運転しつつ、CVSやPAでテレアポしまくり、漸く4軒目が快く受け入れてくれた。(この民宿の方々の人情がとても厚く、この旅で一番の成功だった)
受け入れてくれたからよかったものの、このシーズンはやってないところが多いので、要注意。(でもこのシーズンだから海が最高だった)
私は、水着とカメラとスマホと現金さえあれば大丈夫でしょ!のテンションで飛行機に飛び乗ってしまった。それでも結果的にはなんとかなるものだ。

15:40高知着のJALのフライトで到着。
19:45に宿に到着。
到着した瞬間は二度と来ねえと思った。暗闇の中車を走らせるのが本当に怖かったから。

でも、車から出て空を見上げたら、その思いは一瞬にして消え去った。
満天の星空が私を迎え入れてくれたのだ。
その景色だけでも来てよかったと思えた。
柏島の夜は天気が変わりやすく、雲に覆われ雨が降ることが一夜で何回もあるらしい。
その合間に到着でき、星空を拝めたことは幸運だった。(それ以降見られてない)

 
宿にはすでに先客がいて、居間で夕飯を食べて寛いでいた。
素泊まりだったし、人と関わりたくないなと思いすぐに部屋に行った。

美しい自然を楽しみつつ、読書して帰ろうと思っていたから、私は人との関わりは避けようとしていた。
翌日それは完全に覆される。

畳の部屋でいぐさの香りを嗅ぎながら床に就き、久々に深く眠ることができた。

翌朝、私は女将さんから朝ごはんのお弁当を頂戴し、散歩に出かけた。
柏島ブルーと呼ばれるエメラルドグリーンのラグーンは美しかった。ちゃんと魚も棲息しており、橋の上からも小さな魚が動き回っているのが見える。人も居ないし、住民は漁に出かけてるため、景色を独り占めしながら鮭おにぎりを頬張った。

さて今日はなんの本を読もうかな?と考えながら、宿に戻ると、女将さんから
"イルカみた?見てないなら連れてってあげる"と言われた。
イルカは大好きだから行きたい。ていうか野生にいるのかと思いつつ、女将さんに付いていった。

エメラルドグリーンのラグーンとは反対側に位置する漁港に、野生のイルカ親子は、いた。
2年前の台風によって流れ着き、そこから棲みついているらしい。遠目だったが、確認できた。

その後、女将さんに"ダイビングしないの?"と聞かれ、やりたいとは思ってる、と伝えた。そうすると、知り合いのダイビングスクールに電話し翌日の予約をお願いしてくれた。

さらに観音崎という名所に連れて行ってくれた。
そこは昔は自殺の名所だったらしい。
こんなゴツゴツした岩壁から落ちたら絶対痛くて辛いよな、という会話は2,30代女性の会話ではなかった。

すでに至れり尽くせりなのだが、ここから地元ガイドをしてくれ、最高の1日となる。

午後から宿の渡船に乗せてもらい海に出た。
釣りに出ていたお客さんを迎えに行くのだ。
ラグーンから出た船はしばらく透き通る海を走り、沖ノ島が見える大海原に出た。太平洋の割には静かな海で、薄い雲がかかっていたのか、ぼやっとした水平線が神秘的だった。

女将さんのお友達も乗ったのだが、地元住民でも船に乗って海に出ることはない、今回が初めてで珍しい体験だと言っていた。

釣りのお客さん達は今日はあんまりだったよーと言いながら、釣果を見せてくれた。
なんでも柏島は魚が多いらしく、京都から来ていたお客さんもいた。


ラグーンに戻りお客さんを降ろすと、
次はイルカだ!と宿の旦那が言った。
今朝見たイルカを船で近くまで見に行った。

さすが海の犬、非常に人懐っこく船の近くで泳いでくれた。ただしそれは最初だけで餌がないと知るや否や離れて行った。
餌をやると腹を見せて触らせてくれるらしい。きっと気のいい島の漁師たちが可愛がっているからずっと棲みついているんだろうな。

イルカたちとさよならし、他の浜に連れて行ってくれたり、しばらく海を回遊した。

地元の漁師から連絡がきて海遊は終わり、漁師の釣果を見に行った。今日のお夕飯を買い付けにいくのだ。
そこにはクエなどの魚が3匹、伊勢海老が何匹かいた。
"全部で1万円で。"、"いやいやこれなら8千円だ"という地元ならではの会話を聞きつつ、今晩頂く魚達の生命を見ていた。
命の恵みを感じた瞬間だった。
魚は海の他の生物を食べて生き、漁師はそれを捕まえ、生計を立てる。
私たちは魚を食べて明日の活力にして、生きる。
東京で忙しなく生きていると忘れてしまう恵みだ。

なんてしみじみと考えながら、宿の旦那の軽トラに乗せてもらって宿に戻った。

宿から少し離れたところに浜辺があり、夕飯までは浜辺で読書して過ごした。漣の音を聞きながら自分の専門とは関係ない養老孟司を読む、なんて幸せな時間だっただろうか。

また宿に戻ると宿の家族全員が私を待っていた。
女将さんと旦那さんは私を宿泊客とは思っていなかったのか、宿のご家族と最後の夕餉をともにした。
宿の旦那の御母堂と三人の子供達、そして飼い犬を含めて8人で食べる夕食は賑やかだった。
夕飯は伊勢海老やカンパチの刺身が出た豪華な食卓。
私の家族も三兄弟だったため、まるで実家のように寛げた。
身の上を話したり聞いたり、、友人以外で久々に自分のことを話した気がした。

翌日宿の家族達は長男の運動会のため朝から出払う予定で、その夜が最後になった。
いやはや人情深い家族にすっかり心を開いていた。

最終日の昼からダイビングの体験へ。そのまま高知市内へ戻る予定だった。
朝の4時まで親友のボクシングの試合を観ていたため案の定寝坊した。
宿の女将さんから聞いていた王子が遅刻した私を出迎えてくれた。
(他にも参加者がいる中で大変申し訳ないことをした…)

初ダイビングは期待以上に楽しくて、ファインディングニモの世界に入ったようだった!
透明度が高く、気温も比較的温暖で、一生の記憶に残る体験。
海中世界はこんな風に広がっているんだな、知らない世界がたくさんあるな、世界は東京だけじゃないな、と感じた。帰りの船ではダイビングのライセンスを取ろうと思った。

戻るとダイビングスクールのオーナーが声を掛けてくれて、次はxxちゃん(宿の女将さん)とライセンス取りに来な!と言ってくれた。なんだかこの島の一員になれた気分だった。

この島の住民たちは、最初は警戒しながらも話しかけてくれる。話始めればすぐに溶け込ませてくれる。クレバーで温かい人たちだと思った。この人間性のおかげでとても穏やかに、そして楽しく過ごせた。本当にありがとう。遅刻した私にも親切に接してくれた王子にも感謝。

名残惜しい気分に浸りながらこの島を去る時、車内で
超楽しかったーー!!と叫んだ。正直こんなに楽しい旅になるとは思わなかった…

またすぐ行く気がする。まるで故郷。また帰る、が正しいかも。

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