「SAPIX」という壁 ~11月の挫折~ @2021年度受験

 今年の6年生には、9月から継続して複数の模試を受け続けてもらっています。その理由は、実戦経験を積むためです。今年の子達は、6年生の6月以降に受験勉強を始めたので、決定的にテスト経験が足りません。そのために、模試の回数を増やして経験値を高めています。

 さて、模試の結果についてですが、四谷大塚合不合判定テスト日能研合格判定テストは、停滞期はあったものの、ここまでの3回を一応右肩上がりで進んでいます。それも、全ては子供たちの努力の成果です。特に上がっている理社に関しては、子供たちは自宅学習を本当に頑張ってくれています。その成果が模試の結果に表れていて、「理社の成績は努力量に比例する」というのを、改めて感じております。以前の記事でも書きましたが、理社に関しては特別なことをする必要はありません。とにかく基礎基本の徹底で自然と成績が上がります。

 と、順調に成長してくれているのですが、残念ながらサピックスオープンに関しては、右肩上がりとはいきませんでした。四谷大塚・日能研については、偏差値50・55と順調に成績を上げられていても、サピックスオープンに関しては、見事に跳ね返されました。やはり、SAPIXの偏差値40以上の層だけは、簡単に突き抜けることができないようです。
 四谷大塚と日能研の偏差値に関しては、順調に偏差値50・55の壁を突き破ることができたので、決して努力をしていないわけではないと思います。むしろ、6年生の5か月間で、そこまで成績を上げてきたことを考えれば、相当な努力量だったと思います。しかし、それでもSAPIXの偏差値40の壁を突き抜けるには、まだ足りないようです。

 私たちは、まだSAPIXの尻尾を掴めていません。どれくらい努力させ、どのレベルを突破させれば、SAPIX生と勝負ができるのか、日能研や四谷大塚の偏差値50とは次元の違う壁の高さをSAPIXの偏差値40には感じます。

 そんな経験値から申し上げられることは、2点です。

 1点目は、前にも申し上げましたが、SAPIX偏差値40を超えていれば転塾を考える必要はない。ということです。SAPIXの偏差値をSAPIX以外の偏差値で測ろうとすれば誤解が生じます。サピックスオープンだけでなく、内部生のみの模試もあるかと思いますが、それらの模試も含めて、偏差値40を超えられる子は、最後までSAPIXで戦い続けた方がいいでしょう。逆に、偏差値40を超えられない子は、転塾した方が効果的な指導を受けられるかもしれません。正直に申し上げて、SAPIXの偏差値35までであれば、6年生の半年間を頑張れば何とかなるレベルです。ゆえに、その成績帯にいる子は、おそらくSAPIXのカリキュラムで消化不良を起こしているはずです。

 2点目は、SAPIX偏差値40を超えている子の努力量は、賞賛されるべきレベルである。ということです。今、その壁にぶつかっている子も、相当な努力をさせています。壁を越えられないからといって、その努力量を否定することのできないレベルで努力しています。ただ、その努力量では、低学年の頃からコツコツ努力してきたSAPIX偏差値40以上の層の努力量に追いつけません。これは厳しい現実ですが、目を背けてはならない現実です。ゆえに、その子達の努力量に敬意を払わなければならないと考えます。であればこそ、今SAPIXの偏差値40を超えている子達に関しては、志望校の合格までは成績が足りないこともあるかもしれませんが、周囲の人間が、そこまで到達している努力量への敬意を失うと、その子達のモチベーションを奪ってしまうかもしれません。

 中学受験の世界は、基本的には一般的な小学生の次元とは別次元の世界です。私たちは、そもそも論で言えば、四谷大塚・日能研の偏差値40ですら、超えている子達は懸命に努力している小学生だと考えています。努力無しでは、その壁すらも越えられないはずです。
 私たちの教室では、子供たちに努力をさせて、その壁を越えさせました。しかし、SAPIXの偏差値40の壁は、その努力量を持ってすら容易には越えることができません。
 それを思うと、全ての中学受験生は、等しくその努力を賞賛してもらえるものだと考えておりますが、その中でも、SAPIXの偏差値40以上を維持し続ける努力をしている子は、より一層賞賛されるべきだと思います。
 それを前提にしながら、前向きさを失わず、上を目指す苦しい道のりを歩んでほしいです。

 そして、私たちも、来月こそは壁を越えて上に進んでいけるように、日々前向きに取り組んでまいります。

この記事が参加している募集

オープン学級通信

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?