【中学受験】1月の過ごし方@2023年の考え

 中学受験では、年明けの1月をどのように過ごすのかというのかで悩むことがあります。そんな記事を昨年も書きました。

それは「小学校に通うかどうか問題」です。コロナ禍以前であれば、塾講師も「良い気分転換になるので、学校には通いましょう」と言っていたと思います。私も10年前くらいまでは、相談をされたらそのように答えていましたし、コロナ禍に差し掛かる前でも、積極的に休むことを勧めていませんでした。
 しかし、コロナ禍で感染症対策に神経質になっていたこともあり、御家庭も学校側も、受験直前期は「休む」「休ませる」が当たり前になったように感じています。

 昨年は、小学校側にも「受験直前期に休むのを欠席扱いにしない」としたところがあり、そういう話を保護者様からうかがったので、私たちの教室でも「それであれば通塾日のお昼くらいは…」と自習室開放をしました。それもコロナ禍の名残の特例で、去年までの話なのかと思っていたのですが…

 最近、学習相談にお越しいただいた私立小学校の保護者様から、学校側が「年明けは、もう欠席者扱いにしない」と、積極的に休むように促しているという話を聞きました。今の時代、小学校が絶対的な存在ではなくなっているとはいえ、学校側が中学受験のために積極的に休むことを促すようになっていると思うと、時代が決定的に変わったと感じます。

 それが一部の私立学校だけの話なのか、それとも公立学校までがそうなっているのか、現時点ではわかりません。現段階で言えることは、「年明けから受験までの期間、通学しないことが正義になっている学校がある」ということです。
 そうなってくると話は変わります。もし「直前期は休む」ということが文化になれば、年末に冬休みに突入してから入試まで学校に行かずに受験勉強に打ち込めることになります。それは「夏休み」が増えるようなもので、そうなってくると、その期間の過ごし方によって結果は大きく変わるはずです。
 「夏休み」は全員に等しく与えられている休みですが、「受験直前期」は各御家庭の判断に委ねられるところがあり、また学習塾側も公然と「受験直前講習」などを開講するわけにもいきません。そうなると、この期間の過ごし方には決定的な差が生まれます。

 10年前くらいまでは、「学校は休まないで、フェアに通って戦いましょうよ」というような価値観があったような気がします。「そこまでする?」みたいな。休んだとしても直前1週間、多くて2週間くらいだったかと。それも「学校を休んでまで、受験勉強するの?」という目で見られる、どこか後ろめたい気持ちを残すものでした。ゆえに、「休んだ方がいいですか?」と相談される保護者様が多く、少しでもうしろめたさを解消するために塾講師に背中を押してもらいたいのだろうと感じていたものです。しかし、その価値観がひっくり返ってしまっているのであれば、古い正義感を抱いていては後手に回る危険性があります。

 そうなると、また教育費の負担が大きくなるのでしょう。家庭教師にせよ、個別指導にせよ、さらに多くの出費が当たり前の時代になっていきそうです。
 業界としては、商機が増えるので望ましいことかもしれません。それも、業界側が生み出した文化ではなく、小学校側が生み出した構造のおかげなのであれば、罪悪感も感じずに済みます。実際は、家庭教師や個別指導塾にとっては書き入れ時だったわけで、それが公然とした正義になるだけなのかもしれませんが。
 そう考えれば、課金額によって生じる差が大きくなる時代が来るとも考えられます。より経済力で結果の差が生じやすい構造になってしまうと考えています。

 私は古い人間なので、正直に言うとまだ違和感を拭えないですし、罪悪感も感じます。ただ、そんな綺麗事だけでは、教え子の受験に不利が働くだけなのかもしれません。それゆえに、今年も直前期は希望者を対象に自習室開放をしようと考えています。

モヤっとした気持ちを拭い去れないところではありますが、可能な限り差を付けられないように工夫しなければならないと考えています。人件費がかかってしまえば無料というわけにはいきませんが、可能な限り勉強したいと考えています。

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