【2024年】田園調布学園の大学進学実績を眺めて

 「大学進学実績を眺める」シリーズ、今回は田園調布学園についてまとめます。

 これまでに洗足学園➡頌栄女子学院➡東洋英和女学院とまとめてきました。今回の田園調布学園は偏差値的に言うと一気に下がります。ただ、私たちの教室にとっては本命であり、だからこそ「田園調布学園が如何に素晴らしいか」ということを伝えられるように、心を込めて書かせていただきます。
 これまでの記事は、マガジンにまとめてあります。よろしければ、ご一読ください。


[基本設定]
現役合格者数と現役進学者数と卒業生数を、全てHPにおいて公表している学校を対象としている。
[田園調布学園の基本情報]
卒業生数:194名
偏差値 :SS40(2024年 SAPIX vol.1 2/1)

国公立の進学実績について

まずは、国公立(東大含む)についてです。

【進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
23名:26名:88.46%:11.73%

 東大については、以下になります。

【進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
1名:1名:100%:0.52%

 東大については、シンプルに「現役進学者がいる」という事実だけに「BIG UP」で良いのではないでしょうか。もちろん、田園調布学園の指導だけではなく、予備校の力などもあるかもしれません。ただ、0人でないのであれば、あとは本人次第なのでしょう。そういう環境はあるんだと思います。
 国公立の進学率は、東洋英和よりも優秀です。ただ、「国公立」には「国公立」と括るだけでは見えない評価があると思います。その比較検討は、機会があれば別にして行いますが、今は「10人に1人は国公立に進学させているなんて、田園調布学園は頑張っているよね~」とだけを言わせてください。

早慶上理の進学実績について

 次に、早慶上理の進学実績についてです。

【大学名:進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
慶應  :7名:15名:46.67%:3.61%
上智  :7名:18名:38.89%:3.61%
東京理科:9名:14名:64.29%:4.64%
早稲田 :5名:12名:41.67%:2.58%

※50音順

 やはり、田園調布までなると、早慶上理の進学者数は少なくなってきます。全体の約15%、国公立と合わせると約25%です。「4人に1人が国公立早慶上理」という数値を、どのように解釈するかは人それぞれだと思います。ただ、あくまで私の価値観で言えば、「十分凄いんじゃね?」って思ってしまいます。そして面白いのが、田園調布からは理科大が躍進することです。東洋英和では、上智が進学率を伸ばし始めましたが、理科大はまだでした。田園調布学園になって、理科大が頭角を現し始めたことには、どんな意味があるのでしょうか。それはそれで興味深いです。

GMARCHの進学実績について

続いて、GMARCHの進学実績についてです。

【大学名:進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
青山学院:8名:28名:28.57%:4.12%
学習院 :1名:17名:  5.88%:0.52%
中央  :4名:29名:13.79%:2.06%
法政  :2名:22名:  9.09%:1.03%
明治  :7名:19名:36.84%:3.61%
立教  :9名:36名:25.00%:4.64%

 東洋英和とは、それほど大きく変わらない合格者数には見えますが、進学率は全体の15%程度なので少なくなっています。国公立早慶上理と合わせるて40%程度になるので、東洋英和と田園調布の間には壁があるように思えます。こうなってくると、香蘭女学校の方が優勢になってくるのでしょう。それは「なるほど」とうなずけるところです。
 そして、気になるのが田園調布でも、学習院と法政の「とりあえず、受けとく?」感です。大学受験のマーケティングビジネスに良くも悪くも翻弄されている感が否めません。両大学とも良い大学だと思っているので、本当に「進学したい」と思う子が救われる時代になってほしいと言いますか、「GMARCH」という括りに何かモヤっとするものがあります。

日東駒専の進学実績について

 田園調布は、GMARCHまでで進学率50%を超えなかったので、日東駒専まで確認してみます。

【大学名:進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
駒澤:0名:  6名:  0.00%:0.00%
専修:2名:  8名:25.00%:1.03%
東洋:2名:13名:15.38%:1.03%
日本:4名:28名:14.29%:2.06%

 GMARCHの進学実績が伸びないと言っても、「日東駒専までは広がらないんだ…」というのが、正直な感想です。「中学受験をする」となると、日東駒専は視野の外なのでしょう。中学受験の難易度から考えれば「そりゃ、そうか…」と納得せざるをえませんが。それがSAPIXの偏差値40なんですよね…

 ちなみに、最近は日東駒専の上位に新しい括りが出来たようなのですが、それは分析対象にしません。それは「その大学がダメだ」というわけでなく、そこまで括り方を作ることに節操がないと言いますか、売り手の思うままに転がされている感が強いので無視しようと思います。昔は、「上理」「G」も付いていなかったと思いますが、そこはまぁ…。もう私も年寄なので「日東駒専」までにしておきます。あとは、若い世代の方が分析してください。

医療系大学の進学実績について

 最後に、医療系大学の合格実績についてまとめます。「医療系」というのは、田園調布学園の定義に従います。医学・歯学・獣医学・薬学・その他です。その他は、看護などを想定しています。明確に区分されているわけではないので、合格実績と進学実績を照らし合わせて、独自に判断しています。
 また、ここまでにカウントした進学者は除外した数字になります。なお、不正確な部分があるかもしれませんが、それはご了承ください。

【進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
25名:79名:31.65%:12.89%

この中で医学部医学科の進学者は、以下の通りです。

【進学者数:現役合格者数:進学者/合格者数:進学者/卒業生数】
1名:1名:100.00%:0.52%

 「医療系大学」と括った時の数値の評価は難しいです。それは、医学部医学科とその他の学部学科、その他の学部学科内でも難易度が劇的に変わってきます。ただ、それらの学部学科は、ある程度明確な意志を持って受験するものだと思っていますし、理系の知識をしっかりと身につけていなければ難しいものなので、この分析内、生徒の進路指導という観点で言えば平等に評価して良いのではないかと考えます。ゆえに「国公立」という括りと同じようにまとめて評価します。その上で、10人に1人以上の卒業生が医療従事者を目指す大学学部に進学できているというのは、確かな進路指導力を示すものなのではないかと考えます。
 

まとめ

 田園調布学園になると、国公立早慶GMARCH以上への現役進学率が40%強になります。ここまで扱ってきた洗足・頌栄・東洋英和と比較すると、見劣りすることは否めません。だからといって、「田園調布学園は、2分の1の博打なのか」というと、そうではないと考えています。10人に1人が医療系大学に進学しているので、それも含めれば最低でも2人に1人は確かな進路指導をしてもらえているのではないでしょうか。
 何を志すかは、人それぞれです。必ずしも偏差値の高い名門大学を目指すだけが人生の価値ではありません。身の回りを見ても、超高齢化社会の今は、看護師の方々など、専門分野を学ぶことで社会に大きく貢献されている職種は多いです。そういう仕事を担うために勉強する若い人たちがいなくなるような価値観が支配的になってしまうのならば、この国は精神的に貧しい国になってしまう気がします。だからこそ、10人に1人は医師も含めた医療系大学、医療従事者を志す生徒を育てている田園調布学園を良い学校だと考えています。正しく、「捨我精進」の理念です。

 そういった視点に立つと、田園調布学園はとても良い選択肢になると考えています。もちろん、入試問題の難易度、現在の合格者最低点を考えれば、田園調布学園も簡単には合格できない学校です。それでも、洗足・頌栄・東洋英和と比較すると、まだ余裕があります。
 その子の成長期が、必ずしも中学受験の時期に訪れるとは限りません。まだ、精神的に体力的にも最難関を目指して追い込むにの耐えられない場合もあります。その結果、多少成績が上がったとしても、それによって勉強嫌いになって、中学進学後に努力をしなくなっては意味がありません。それよりも、その子の成長段階に合わせた努力量で、正しい努力の仕方を身につけた方が良いと考えています。
 それが、SAPIXの偏差値40台をポジティブに見る理由でもあります。だって、この田園調布学園が偏差値40ですよ?

 前向きな過ごし方で田園調布学園に届いたとすれば、それはとても良い中学受験になのではないでしょうか。あとは、入ってからの本人の努力次第です。
 最難関大学に進学する生徒がいて、様々な進路を選択する生徒もいる学校です。最難関次第に進学する子がマジョリティになるわけではないので、構造的にも多様性が保たれている気がします。その点、構造からくる無理なプレッシャーを感じることもなく、自然な形で自分の人生と向き合えるかもしれません。
 何が何でも、エリートになる必要は無いと思います。その生き方は尊敬されるべきですが、全員がそれを目指す必要はありません。それを考えれば、田園調布学園のような学校だからこそ得られる6年間の価値というものもあると考えています。
 そのように考えると、

という感じになるのでしょうか。私たちの教室がSAPIXのような「中学受験」と一線を画して運営しているのは、

  • より多様な価値観の中で生きてほしい。

  • 成長段階に合わせて、努力の仕方を身につけてほしい。

という2点です。その子が目指している志望校が高ければ、積極的にSAPIXへの挑戦を促していますし、転塾生も志望校や成績がマッチしていなければ別の形のサポートを提案しています。

 私たちの教室では、その子の中学受験の目的を大切にしています。その目的を無視して、無理に私たちの教室に合わせるようなことはしませんし、無理に私たちの推す学校を押し付けることもしません。ただ、一つ希望があるとすれば、「生まれ育った地域は大切にしてほしい」というものくらいです。自分の育った地域を大切にしながら、様々な地域からの通学者がいる学校生活を大切にし、その中で多様な生き方を理解して支え合える人間に成長してほしいと考えています。

 ゆえに、私たちの教室では、田園調布学園を支持しております。そのように中学受験を考えている学習塾でよろしければ、ぜひ学習相談にお越しください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?