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小規模学習塾のデメリット

 大手学習塾の大規模校舎を経験した後に小規模学習塾を設立すると、大規模校舎ではできなかった指導ができる反面、小規模校舎特有の難しさを感じることもあります。今までは、当たり前だと感じていたことも、実は当たり前ではなく、それが広い意味での「指導」の賜物だったことを知りました。
 以前、こんな記事を書きましたが、小規模学習塾を開いた今でも、大手学習塾の大規模校舎の強みを理解しておかないと、子供たちを正しく結果に導いてあげることができないと感じております。

 小規模学習塾で指導していて痛感するのは、「一問の大切さ」を教えることの難しさです。受験は、合格者最低点を超えればいい競技です。その点数に滑り込んでいれば合格で、1点でも足りなければ不合格になります。
 合格者最低点周辺には、非常に多くの受験生が集中しており、1点の中に同点の受験生が多くいます。ゆえに、1問を取れたかがどうかで合否が別れることは普通のことになります。

 国語で言えば、記述問題の「句点を付け忘れ」や「文末不備」等で減点されて不合格になることがあるでしょうし、漢字の「ハネ」をちゃんと書かずに不合格になることもあるでしょう。
 理科社会は、ハイスコア勝負になりがちです。問題・選択肢の読み間違い、グラフの誤読、漢字の書き間違いなど、ミスの積み重ねが自分の首を絞めていき、その結果1点に泣くこともあるでしょう。
 最も合否を左右するのは、やはり算数です。勘違いや計算ミスで1問落とすと、5点程度が吹っ飛びます。その1問で、合否が変わるのは、一番イメージしやすいと思います。学校によっては、連絡をすれば得点を開示してくれるところがありますが、いざ得点を開示してみたら「算数1問分の点数が足りなかった」という子の話は、よく聞く話です。

 ゆえに「1問の大切さ」を子供たちに伝えなければならないのですが、小規模学習塾では、これが本当に難しいです。大手学習塾では、日々のトライアルを通して自然と身に付けていく子が多かったので、大切さを伝えるのに苦労した記憶がありません。私たちが教えるというよりも、周りのライバルとお互いに教え合う感じで成長してくれていました。
 その意味で、「厳しい環境」というのは、それ自体が掛け替えのない教育になっていると感じるところです。

 中学受験では、「学力」だけでは測りきれない結果が出ます。その意味で、「精神力」が大切になる世界です。母数の問題から、「合格確率30%」は本当の意味で30%で、3人に1人の精神的に強い子がきっちりと競り勝っていきます。逆に「合格確率80%」も本当の意味で80%で、5人に1人の精神的に弱い子はどこまでも不安が付きまといます。毎年偏差値では測りきれない「精神力」の部分での合否が別れているのを目の当たりにしてきました。

 それを知っているからこそ、小規模学習塾で指導する今も、「1問の大切さ」を伝え続けています。大手学習塾の大規模校舎に負けないように、「学力」だけでなく、受験の競った展開でも勝ち切れる「精神力」を育てる指導にも取り組んでいます。

メリットについては、以下の記事で書かせていただいています。


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