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振られた男【最終話】 146日目:デート

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【最終話】146日目:デート

今日、久しぶりにおデートをする。
出会いは友達からの紹介だった。
友達は以前も登場したあの友達だ。
先週の初め、友達と友達の彼女と、そして今日会う女の子の4人で居酒屋デートをした。
そして今日が2回目。
今回はなんと二人で会う予定だ。

今日は18時に神楽坂駅前で会う。
あれから引っ越し先を本格的に探し始め、神楽坂近辺で物件を探していた。
僕は、神楽坂の雰囲気が好きなのだ。
田舎から大学生になるタイミングで東京に出てきて、都内を散策していた時に見た神楽坂。
あの衝撃は忘れることができないだろう。いつかここに住んでみたい。と心から思った。
それから早10年。
今までに比べて家賃は2~3万高くなるが、いいきっかけだと信じて、神楽坂で賃貸を探していた。
この引っ越し先の経緯を、4人で会っている時に話すと、女の子は職場が飯田橋ということが判明した。
飯田橋と神楽坂は隣駅と言うこともあり、神楽坂には飲みに行く機会も多く、いい店を知っているとのことだった。

波長も合ったので、少し勇気を振り絞って連絡先を聞いた。

今度いい店を紹介して下さいよ!と。

そしたら相手も結構ノリノリで直近で会う予定をその場で決めてしまったのだ。
そして今に至る。
神楽坂近辺の物件探しは難航していた。
新築や築浅な物件が好きな僕だが、神楽坂は古い物件が多かった。
そして、たまーにある築浅物件は、賃料がかなり高くなってしまい予算を超えてしまったのだ。
今日は、次回は神楽坂に近い駅も視野に入れて探しましょう。と担当者から言われて話が終わった。

想定よりも早く物件探しが終わってしまった。
約束の時間まで、まだ1時間もある。
そこで、駅前にファミレスがあったので入った。
店員さんに紹介されたのは通りに面したカウンター席だった。

ファミレスにカウンター席とは、、、めずらしいな。
まあ、カウンター席にだけ充電器もあるのはでかい。
普段1人でファミレスに入ると、自然なことに僕が席に着いた直後に店内が混むことが多かった。
そういう状況に陥ると1人のくせにファミリーのレストランに来やがってと思われているのではないかと、いたたまれない気持ちになってしまう。
しかし、カウンターなら混んでも気にしなくていいし意外にありかもしれないな。
少しほっとしている自分がいた。

今日は居酒屋デートだ。
なので後で食事を控えていることもあり、ドリンクバーとポテトフライだけ頼んだ。
ドリンクバーのみか、ポテトフライも頼むのか悩んだが、ポテトフライを頼んだ時とドリンクバーの時の金額差が100円だったのだ。
もちろんポテトフライを頼んだ方が高いが。
ただ、何故だかポテトフライとドリンクバーのセットの550円は許せたが、ドリンクバーだけの450円は許せなかった。

ドリンクを取りに席を立つと、店内のカップルの多さに気が付く。
今日はまだクリスマスではないはずだ。
念のためスマホのカレンダーを見るが、やはりクリスマスは来週末だった。
何故か冬はカップルが目に余る。
これは、相手がいない僕の僻みがそうさせているのだろうか?
いや、それは違う。
絶対にカップルは外に出まくっているのだ。
寒いんだから家にいればいいのに。

なんて思っているが、僕も1時間後に女性と会う。
デート中の僕のことを、はたから見たら、、、カップルがデートしていると思われるのだろうか?
付き合っていないので手は繋がない。
それでもカップルと思われるだろうか?
カップルかそうじゃないかは何とも言えないあの距離感で違うなとわかるのではないだろうか?
まあ、どう思われるかなんか僕が気にしてもしょうがないのだけれども。

ドリンクをもって席に着く。
前を見ると人人人。外は人だらけ。
土曜日の17時に神楽坂のメイン通りということだけあって人はごった返している。
もちろんその人の7割くらいはカップルだ。

はぁ。

ため息が出た。
去年の今頃をふと思い出したのだ。
去年は彼女と二人で旅行に出かけていた。
そして、来年は九州に行こうと約束していた。

それが今は1人でいる。
また行こうね!の約束は実行されずに終わった。

未来のことは本当にわからない。
あの頃の僕に1年後の今の状況を教えても多分信じてもらえないだろう。

あ。
思えば、彼女には、「将来一緒に神楽坂で住みたいね!」なんてよく言っていたな。
それも叶わなかったな。。。
本当に人生はそんなことばっかりだ。
1年後のこともわからない。ましてや1分後のことですらわからない。

今日会う子もあの時は良く見えただけで、本当の姿ではないかもしれない。前回隠していた何かがあり、それを知ってめちゃくちゃ嫌いになるかもしれない。
もちろん相手も僕にそう思うかもしれないし。

人生って本当に難しい。
つくづく思う。
因果関係や、統計はあるかが、その全てが恋愛にも人生にもそのまんま当てはまるとは言えない。
全部結果論でしかない。
答えはないのだ。

そもそも人生ってなんなんだ?

僕は何のために生きているんだ?
恋するためか?仕事をするためか?遊ぶためか?
全てだとしても1つだとしても、僕は全部に中途半端じゃないか。
恋はだめだし、
仕事も酒飲んだ次の日にだれてしまうこともある。
遊ぶ趣味もない。
強いて言えば、一人で酒を飲んでダラダラと時間を浪費するくらいか?
とんでもなく情けない。

でも、こんな僕だが一丁前にもいずれは結婚したい。
そんな願望は持っている。
その結婚をするためには、相手を探さないといけない。
何故なら結婚はお互いの同意があってできるものだから。
その結婚を成功させるためには、本当に気が合うのか、今後の生活を共にできる人なのかお互いを知るためにデートをする。
ただ、そのデートにはお金が必要だ。
0日婚なんてデートが伴わない形もあるが、特別なスペックも、0日で結婚なんて言葉を出す勇気もない僕には遠く遠くの存在だ。
だから、デートのためにも働かなければいけない。
でも働いても税金でかなり持ってかれてしまう。
稼いだら稼いだ分だけ。。
本当によくわからん。。。
よくわからんなりに、結局働かなければだめということだけはわかる。
こんな僕でも。

話は反れたが、、、
仮に結婚できたとしよう。
家族のために週に5日頑張って働いて、休みの2日は子供と遊んで。。
仕事の後も家事をやって。奥さんの負担も減らして。
で。僕は結局何のために働いているんだ?
何のために働いていくんだ?
何のために生きていくんだ?

将来の奥さんのため?
将来の子供のため?
それとも田舎の両親を安心させるため?
納税(裏金)のため?
今はあまり実感が湧かないかが
仕事が楽しくてたまらなくなり自分のために仕事をする?

結局人生ってなんだ?

恐れずに本当のことを言うと、働きたくもないし、自分の都合通り生きていきたい。
働きたくないは訂正しよう。
さすがになんも働かないのも少し嫌だ。
たまーに仕事をしたい。
週に1~2回。
もちろん、あとの5日の休みの日は一切仕事の連絡が来ない前提だ。

結局こんなことばかり考えている僕ってなんだ?
ダメ人間だからこんなこと考えるのか?
正解はなんなんだ?

「○○さん?」
突如僕の名前を呼ぶ声がした。
はっとして振り向くと今日会う予定の女の子がいた。

「・・・」
見た瞬間、時が止まった気がした。
雷が落ちる感覚とでもいうのだろうか。
なにがおこったのかは、僕にもよくわからない。
「びっくりしました!え、もう時間?ん?まだ30分前ですよ?」
「そんなこと言ったら○○さんももう神楽坂についてるじゃないですか~」
クチャッと笑う。その笑顔がとても眩しい。
「、なんで僕がここにいることわかったんですか?」
見とれてしまうのもダサいので気づかれないようにと話を逸らす。
「予定が早く終わって早く神楽坂についたのでその辺をふらふらしていたんです。
そうしたら○○さんが深刻な顔してぼーっとしてたので!
私、外からめちゃくちゃ手振っていたんですよ!?こうやって!」
跳ねながら手を振るそぶりをして見せた。

「こっち見てるのに気づかれないからわざとやっているのかと思いましたよ~。それに小さい子に笑われてすごく恥ずかしかったです!」
「それは本当にすみません。。考え事してて。」
「えー!なんかあったんですか?」
自然な形で隣の空席に座る。
「自分ってなんだろうって。将来の自分ってどうなんだろうと思って。」
「哲学者みたいですね。」
くすっと笑う。すみません!ドリンクバー1人分追加でお願いします!と店員を呼び止める。
「○○さんはこういうことって考えませんか?」
「うーん。あんまり考えないです。だって意味ないじゃないですか!」
「というと?」
「こうなりたい!とか夢はありますよ?
子供の頃はパティシエにもなりたかったし、CAにもなりたかったし、看護師にもなりたかったし。まあ、今はただの会社員ですけど。」
自虐的に言うと少しはにかむ。
「でもある時ふと思ったんです。結局、今をしっかり生きないと理想にはなれないのかなって!
将来って今の生活の積み重ねだと思っているんです。
つまり行動あるのみ!
だからウェイウェイと呑気に、そして楽しく生きるのが自分に合っているのかなって!」
くすっと笑う。
僕もつられてくすっと笑う。
僕に気を遣ってくれているのだろう。
「そういうことね。。考えすぎてたかも!行動しなきゃだね!」
「そうですよ!気楽にいきましょう~。てなことで今日も楽しみましょう!○○さん何を飲みますか?ついでにドリンク持ってきますよ!」
「あ、僕も行くよ。」
彼女につられて僕も席を立った。



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あとがき

この度は、2024年5月7日の「1日目:違和感」の初投稿から振られた男シリーズをお読みくださりありがとうございました。
ちょっとした余談ですが、この作品は初の自己表現、初の小説作成でした。
今年の3月中旬に作成に着手し、4月上旬には作品は完成していましたが、
みなさんからの反応がどうなるのかがとても不安で、気が付いたら初投稿までに1ヶ月かかってしまいました(笑)
公表する場を設けてもらえた「note」といいねやコメント、お気に入り登録をしてくださった方々には感謝しかありません。
重ねてお礼申し上げます。本当にありがとうございます。

僕は、結局男は引きずる生き物だと思ってます。
著者が女性ではないのでここでは男と断定してしまいすみません(汗
そして、男性でもちげえわ、そんなことないわという人もいると思うので、その場合もすみません(汗

ただ「振られた男」のような、なよなよとうじうじした未練がましいヤツは男性の心に絶対潜んでいると信じています。
それを言うか言わないか。表現するかしないかその違いなだけ。
著者はそう思っています。
これを読んで嘲笑ってください。
僕はこんなじゃないと。
こんなこと考える男っているんだと。
こいつひくわーと。
で、ストレス発散をしてください。
そうした形でも見てもらえるだけでとても満足です。

この後も、「振られた男」の人生は続きますが、小説として投稿するのはここを一度区切りにしたいと思っています。
またいつの日か「振られた男2」をまた投稿させてもらうかもしれませんし、もうここで完全に終了かもしれません。
ただ、もしその日が来たらまた見てもらえると嬉しいです。

どんな感想でも構いません。
一文でもいいのでコメントを頂けるととても嬉しいです!
今後ともよろしくお願いいたします!


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