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物件探しと読書記録

フリーランスに転向し、1年9ヶ月。

20年以上の会社員生活からフリーランスに変わり、仕事のスケジュールは自分でアレンジできるし、仕事をしながら家のこともチョコチョコできるし、これは最高だなと思っていた。

だが。

家で仕事をするようになり、自分の身だしなみは手抜きになった。化粧はしない、髪はハネっぱなし、服装もユルッとしたものばかり。ウォーキングもサボりがちで、体型はダラッとしてきた。

このままだとマズイよね?

50を過ぎたら健康のために運動したほうがいいのに、これはよくない。おまけに、もともと外で働くのが好きな性分なもので、仕事も暮らしも同じ屋根の下で完了!というスタイルに飽き足らなくなってきた。

フリーランスになってしばらくは、オットも子どもたちも「イイね、イイね!」という感じだったのだが、半年くらい前から不満がでてきた様子。

なんでも、わたしがずっと家にいると落ち着かないんだって。

なんだよ、それ。

昔「亭主元気で留守がいい」ってテレビCMがあったけど、どうやらわたしがその「亭主」らしい。

まぁ、わたしも家で仕事をするスタイルにモヤってきたところなので、転換期かも。

そんな経緯があった + 収入も安定してきたので、事務所として使える物件を借りることにした。

特許翻訳という仕事柄、シェアオフィスは使えない。カフェなどで仕事をするのも禁じられている。「特許」は企業の最新技術情報を扱っていて、機密性が非常に高いからだ。フリーWifi環境で仕事をすることも固く禁じられている。

だから、家で仕事をしないなら外に事務所を構えるというのは、まぁ、特許翻訳者なら自然な流れかもしれない。

先月は、オットと一緒にいくつも物件を見てまわった。こういうときに断然頼りになるのがウチのオットだ。わたしが気づかない、思いもよらないアドバイスをたくさんくれる。

週末ごとに2人で不動産屋さんに通い、いろんな物件を見せてもらった。それは、結婚前に2人で住むアパートを探していたあの頃を思い出させてくれる、そんな楽しい週末だった。

自転車で通えるエリアにいい物件があったので契約を済ませた。来月からは、その事務所で仕事をする。

ものごとの始まりにふさわしい、ワクワクする春になりそうだ。

前回のnote同様、ここ1ヶ月に読んだ本を記録しておこうと思う。

① 文系人間のための「AI」論

内容が濃く、好奇心がダントツにかきたてられた1冊。


6年前に書かれているので最新AI論ではないが、身近にあるAIの具体例を取りあげていて分かりやすい。

AIテクノロジーを哲学の見地から解明したり、プラトンの時代(2500年前)の「文字」テクノロジーとの共通点をAIに見出したり等、独自の視点がとても興味深い。

AIが進化を続けたあと、人間はどうなっていくのか?

生活や仕事のスタイルが変わるだけでは済まない。人間自体が「非生物化」していくというポストヒューマン(サイボーグ)の話は、時代を先取りした感があり、知的好奇心が大いに刺激された。

② 「あ」は「い」より大きい!?

タイトルを見ただけではなんの本か分かりにくいが、これは音声学についての本。よく聞いている「ゆる言語学ラジオ」で紹介されていた1冊。


音声学という学問すら知らなかったわたしでも楽しく読めた。難しそうと感じるような話を、身近なテーマ(ポケモン、メイド喫茶、ガンダムなど)に落とし込んで説明してあるので、とっつきやすい。

大学のテキストとして使われているようだが、こんなに面白いテキストがあるなんて!と驚いた。

③ 『サピエンス全史』をどう読むか

あの「サピエンス全史」の著者、ユヴァル・ノア・ハラリを池上彰がインタビューしたときの内容がメインとなっている。


タイトル通り「サピエンス全史」をどう読むのか、あの本の内容をどのように解釈し、自分はどう考えるのかなど、識者たちの論考がこれまた深い。

「サピエンス全史」は以前読んだけれど、もっとじっくり再読したいと思った。本著を読み、著者の考えや知識を入れてから「サピエンス全史」を読むのと、そうでないのとでは、「サピエンス全史」の理解度がかなり変わってくるだろうと感じた。


④ 駅伝ランナー

瑞々しく清々しい1冊で、さわやかな読後感に満たされる。


ストーリーがシンプルで物語の世界にスッと入っていける。おそらく誰もが抱いたことのあるような登場人物たちの感情の揺れに、心がキュッとつかまれる。

昔の自分を、あの頃の友人を、自分の子どもを応援しているような、そんな気持ちにさせてくれる。情景が目の前にぱぁっと浮かびあがるようなイキイキとした描写に、心が伸びやかになる。

⑤ オレがマリオ

歌人、俵万智の歌集。


言葉の魔術師だなと、俵万智の歌集を読むたびに思う。人間の複雑な感情をこんなにも短い言葉に収斂させることができるなんて、と感嘆するばかり。

母親目線で詠んだ短歌にも胸打たれるし、1人の「女」として詠んだ短歌にもため息が出る。この振幅の広さも、俵万智の大きな魅力の1つだと思う。

振り向かぬ子を見送れり 振り向いたときに振る手を用意しながら

「オレがマリオ」の「夢の木の実」より

レギンスに透ける素肌がいいと言う 床を磨いている背後から

「オレがマリオ」の「愛よりも」より

読書はやっぱりいいですね。

紙の本の手ざわりを確かめながらページをめくるときの多幸感。本の世界に埋没しているときの心地よさ。

本をしみじみと味わう時間を過ごせて、心が喜んでいます。


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