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童心にかえったら楽しいよ

フリーランス翻訳者は、いつだって締切と戦っている。

締切があるから踏ん張れるし、いくつかの締切で先が埋まっている緊張感は、わりと好きだ。

反対に、手もちの翻訳案件が2,3日なくなると「干されたのかも・・・」と落ち着きがなくなるくらいには、翻訳するのが好きである。

きのう、締切を1つやっつけた。

1つやっつけても次の締切はすぐそこにあるけれど、それでもやっぱり1件納品したあとは、清々しい気もちになる。束の間の開放感。

この爽快な気分をかみしめようと、1人でウォーキングに行った。

近所には、ウォーキングにうってつけのコースがいくつもある。そんな我が家の立地はなかなかいいなぁと、フリーランスになってからしみじみ思うようになった。

ゆたかな自然に囲まれた道。



歩きながら空を見上げる。体のすみずみまで届くように深呼吸するのは、本当に気もちがいい。天に向かって大きく伸びをすると、心まで大きくなったような、牧歌的な気分になる。



落ち葉で埋めつくされた道に、秋の深まりを感じる。



ポロポロとこぼれ落ちているどんぐり。子どもたちが小さいころ、よくどんぐり拾いをしたなぁ。ズボンのポケットから、どんぐりがワンサカ出てきたこともあったっけ。

落ち葉の「カサカサ」という音が可愛らしい。

しゃがんでみると、枯れ葉の香ばしい匂い。散ったあともこうして人の目を楽しませてくれるなんて、いい散りかただ。写真に残しておきたいと思わせるような「枯れの美」がある。



わたしも、こんなふうに枯れて散っていきたい。だれかの心に少しでも残るような、美しい散りかた。

歩いていたら、こんな空間を見つけた。よし、だれもいないから独り占めしちゃおう。落ち葉のカサカサ音がリズミカルで、なんとも楽しげ。



ただ歩いているだけだともったいない気がしたので、スキップしてみた。

1回目は、こっちの端から向こうを目指して20回くらいスキップ。十年振りくらいのスキップだけど、思っていたよりも体は軽い。ゼイゼイすることもなく、足がもつれることもなくスキップできた。

着地するときの枯れ葉の音が楽しいので、繰り返しスキップする。こんどは30回。スキップ、めっちゃ楽しい!調子にのってもう1回スキップすると、汗がじんわりとにじんだ。ちょうどそのとき吹いた、心地よい風。

そうだ、こんなにたくさんの落ち葉があるんだもの。1人でもっと楽しいことしちゃおう。



地面いっぱいに広がっている枯れ葉を両手ですくって、ぷわーっと空中に投げてみた。結婚式のライスシャワーならぬ「落ち葉シャワー」。

子どもに戻ったみたいで楽しい。

1人でなんども落ち葉シャワーをしていると、自転車で通りかかった学生たちにジッと見られた。ジャージを着た大人が、平日の昼間から1人でなにしてんの?と思ったのかもしれない。

好きに思うがいいさ。そんなことは気にしないのだ。たとえ「ちょっとヘンな人」と思われても。だって楽しいよ、落ち葉シャワー。

人目を気にしたらなにもできない。
やりたければやればいいのさ。ワッハッハー!

そのあとも1人で落ち葉と遊んだ。スキップも落ち葉シャワーも、アラフィフだってできるんだぞ。1人だってできるんだぞー。恥ずかしがっていたらもったいない。

落ち葉シャワーは今の季節しかできない。秋だからみんなもやってみて。

童心にかえったら楽しいよ。





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