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「~しなければならない」を手放そうと思う
3ヶ月ごとに集まって喋りまくる、という友人グループがある。
そのグループはわたしを入れて女性3人だが、ちょっと面白いつながりだ。10年ほど前、子ども向け国際交流ボランティアの団体で知り合ったのだが、その活動をしていたときは、わたしたちはそれほど親密ではなかった。
定期的に会うようになったのは、ここ数年。子どもの成長につれてそのボランティア活動から足が遠のいてからだ。普段は、お互いに連絡をとりあうことはほとんどない。
♢
毎回、3ヶ月ぶりに会って話すのは、国際交流の話よりも悩みのシェアがメイン。
子どもの悩み、パートナーの悩み、会社の悩みなど、人間関係の悩みは後を絶たない。その悩みを解決するためのアプローチとして、占い、前世診断、開運グッズ、神社仏閣など、スピリチュアル系の話でも大いに盛り上がる。
わたしはスピリチュアル系には懐疑的な部分もあるのだが、彼女たちの話を聞いていると「そんな世界もあるんだなぁ」と、シンプルに面白い。
そのうちの1人の友人が「運のいい人は、良運をキャッチするのが上手な人だよ」と言っていた。
だれかと出会ったとき、なにかの出来事があったときに「これはなんかイイ感じがする」「これはなんとなく悪い感じがする」というセンサーがピピッと反応するらしい。
イイ感じがしたものを取り入れ、悪い印象を感じたものからは離れる。
運のいい人は、その見極めが上手なんだそう。イイと悪いを見極めるために必要なのが、いわゆるインスピレーションらしい。そのインスピレーションって、鍛えられるんだって。
わたしは思わずこう言った。
「わたしも鍛えてみたい、そのインスピレーション」
「カミーノちゃんのインスピレーション、結構イイ線いってると思うよ。でも、もっと鍛えたいなら瞑想がオススメ。わたしもやってるよ」
「瞑想?1回もやったことないなぁ。それって、毎日決まった時間にやらないといけないの?」
「カミーノちゃん、それよ。『~しなければならない』っていう考え、あんまりよくないと思うな。そう考えるとしんどいでしょ?仕事じゃないんだからさ、気が向いたときでいいんだよー」
彼女からそう言われて、わたしはドキリとした。
瞑想について聞いたわたしに、彼女は瞑想について答えてくれたんだと思う。でも彼女は、わたしの本質的な部分に届くメッセージをくれた。
『~しなければならない』っていう考え、あんまりよくないと思うな。
この3人グループで定期的に会っていると、なぜかいつもこういうことが起こる。わたし自身が口に出したわけでもない、ただうっすらとした、だけどいつも膜を張っているように胸の中にある思い、そこにリーチするような言葉をかけてくれるのだ。
彼女たちは、わたしの胸の中にあるうっすらとした思いのことなんてまったく知らないはずなのに。大きな悩みをシェアするのに忙しくて、そんな、うっすらとした思いまで話すほどの時間は、わたしたち3人にはいつもない。
♢
仕事では、もちろん「~しなければならない」は必要だ。
関連技術をリサーチしなくちゃ。
いい品質の翻訳を出さなくちゃ。
ミスのないようにきちんとチェックしなくちゃ。
締切までに納品しなくちゃ。
でも、仕事以外にも「~しなければならない」を作って、あれもこれも詰め込んでしまうのはわたしの悪いクセ。
やりたいことは全部やってみたいと思う欲張りで、「続けなくては」「ある程度のものをきちんとやらなくては」という謎のマイルールを、いつのまにか作ってしまう。
顔痩せ体操やストレッチなど、「~しなければならない」を積み重ねた結果、ちゃんと日常のルーティンとなったものもある。そういうものに対しては、もう「~しなければならない」とは思わない。すっかり馴染んだから。
でも、いまだに「~しなければならない」と思っているものもある。今回はそれを手放そうと思う。
友人の言葉がズドンと心に響いたということは、「これはなんかイイ感じがする」と私の直感が働いたんだろう。
近々、実行しよう。
「~しなければならない」を手放して、気が向いたときにだけ、にしよう。
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