「視て」もらいました

占い、昔から好きなんです。

10代最後の夏。友人と2人でよく当たると評判だった占い師さん「柿生の母」に会いに行きました。手相と人相で占ってくれるらしい。

「柿生の母」は住宅街の一軒家に住んでいました。占いの部屋に入ると、水晶や数珠、袈裟のようなものがあり、緊張したのを覚えています。

「柿生の母」は、どこにでもいそうな優しいおばちゃんの風貌。1人30分ずつ、性格、恋愛運、仕事運などを見てくれました。細かい内容はあまり覚えていないけれど、1つだけ印象に残ったことがあります。

あなたは25歳で、ある男性と結婚の約束をします。お互いの両親とも会って準備は整っていきます。でも、その結婚は止めなさい。あなたは幸せになれない。その男性と別れてから1年以内に、別の男性とおつきあいします。あなたを幸せにするのはその人です。その人と結婚すれば、家庭はずっと安泰です。

当時の私は、男にフラれて1年弱。彼氏どころか、彼氏になりそうな人も周りにおらず、新しい恋の予兆はまったくナシ。

だから「柿生の母」の話を聞いても、へぇー、そうなんだー、くらいにしか受け止められなかった。相手もいないのに、結婚なんて想像つきません。結婚よりも恋愛したいぞ、と思っていたので。

「柿生の母」にみてもらったあと、いくつか恋愛するうちに「柿生の母」の言葉は遠い記憶の彼方へ。

26歳でオットと結婚することになったとき、一緒に「柿生の母」のところに行った友人が言ったんです。

「柿生の母の言ったこと、ドンピシャだったね！カミーノの結婚、そのまんまじゃん」

友人のその言葉を聞き、占いの記憶をたぐりよせてゾゾーっとしました。

当たってる・・・

実はオットとつきあう前、ある男性と結婚寸前までいったんです。婚約指輪ももらったし、お互いの両親とも会い、結婚後に住む予定の家も探していました。その恋愛がね、こっぴどい終わりかたをしたんですよ。いやー、あれはツラかった。人間不信になったくらいですから。自分から結婚を止めようと思ったわけじゃないけど、結果的にその結婚はナシになった。

でも「柿生の母」の言うとおり。それが正解だった。その1年後にはオットと結婚し、このオットが私にとっては最高に居心地のいい人だったんです。

「柿生の母」めちゃくちゃスゴイな、と時を経てしみじみ実感しました。

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占いのそんな成功体験？をもっているせいか、占いがとても気になります。

ママ友の1人がプロの占い師と知ったときは、有頂天になりました。彼女は宿曜占星術とタロットが専門なんですが、これが当たるんです。5年前から定期的にみてもらっています。

「占いは統計学だから」とサラッと言う彼女は人気の占い師で、鑑定の依頼がひっきりなし。いつも忙しい。ウイルス騒ぎになってからはオンライン占いの依頼が増え、海外在住者からのリクエストも多く、真夜中でも化粧を落とせないと嘆いていました。

それほど人気の彼女ですが、人は占えるのに自分のことは占えないらしい。タロットで自分を占おうとすると、どうしても主観が入ってしまってダメなんだとか。

彼女は自分の運勢を、別の占い師さんにみてもらっているそうです。それがめちゃめちゃ当たるんだって。人気占い師の彼女の信頼を勝ちとった、別の占い師さん。

どんな占い師さんなの？占い好きの私は気になります。彼女に紹介してもらい、私もみてもらいました。正しくは「視て」もらいました。

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その方がするのは、占いというよりは霊視です。霊能者さん。

私はその方と1対1で向かい合い、座っているだけ。名前も生年月日も家族構成も伝える必要はありません。

方法を説明したあと、霊能者さんは大きく深呼吸。息を吐ききったあと、私の周囲と私の顔や体をしばらくのあいだジッと見つめます。強い目ヂカラで、私の全身をくまなくスキャン。

その目ヂカラに圧倒され、私は、心身ともに丸裸にされているような感覚でした。

その方法を繰りかえし、私を守ってくれている霊・私の性格・交際運・仕事運・金運・恋愛運・健康運・寿命などを次々と視てくれました。そのほか、私のリクエストや質問にも丁寧に答えてくれました。

それぞれの項目についての詳細は省きますが、その霊能者さんが驚いてたんです。

「男運、すごくいいですね」

これまで3000人以上の霊視をしてきたその霊能者さんによれば、男運や女運がいい人って全体の1％くらいなんだそう。私はその1％に入ってる、と言われたんです。

「男運のいい人は滅多にいないから、視ていてテンション上がりましたよ」

霊能者さんはホクホク顔。もちろん私も上機嫌です。3000人のうちの1％だから30人、それって、なんかスゴイ！と盛り上がりました。

家に帰ったわたしは、早速オットに報告。私の男運ってめっちゃいいらしいよ！と。私の男運がいいということは「オット＝いい男」ということになるでしょ？

すると、オットがポツリ。

「俺の女運はどうなんだろう・・・悪いかもしれないな」

ちょっとちょっと。オットよ、そのニヤニヤ顔、やめなさいよ！