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冥土喫茶に逝こう⑫

男なら女性を誘わないと

 Lineを交換したが、挨拶程度で終わらせた。
 休み明けは忙しくなると、上司に言われていたからだ。
 女性と遊ぶより仕事優先。

 いざ休みが明けたら、仕事が暇だった。
 仕事が終わり、休みに入った。

 私はメイド喫茶に行ってしまった。
 この3ヶ月間メイド喫茶で遊んでばかりだ。
 メイドに片足を突っ込んでいる印象は拭えないが、楽しいからいいだろう。

 K市に着き、メイド喫茶に向かう。
 扉を開けて座席に着いた。

 今日のメイドはまいさんと、てんさんだ。
 土曜日の日はやはり忙しいようだ。
 すぐに満席となった。

 そして、私はすぐに酔っ払った。
 そして、私はOPEN、LASTを生まれて初めて経験した。
 そして、私は終電を逃した。
 どうしよう。

 コンビニで酔い覚ましのために、コーヒーを飲んでいた。
 Twitterで終電逃した。どうしよう?酔い覚ましにコンビニでコーヒー飲んでると呟いた。

 10分後奇跡が起こった。

 ぐっさんとマサさんが、助けにきてくれた。
 2人は駅から遠いが、K市に住んでいた。

 私たちは、24時間営業している居酒屋に入った。
 ぐっさんは余裕そうだったが、マサさんは私と同様酔っ払っていた。
 私はコーヒーを飲んで、多少休憩したことにより酔いが覚めてきたが、まだ顔は赤かった。
 だが、情報を集めるチャンス。

「ぐっさんと、マサさんはまいさんと付き合い長いんですか?」
「長いね。店ができる前の店からのつながりだから」
 とぐっさん。
「いやいや、前の前の店からのつながりですよ。前の店は駅から遠かったから、1年ぐらいで潰れて。前の前の店も3年くらいで潰れてしまった」
「今の店はまいさんが、店長やるようになって3年たった。僕たちが支えてあげないと」
「常連さんも顔ぶれは変わっていないんですか?」
「顔ぶれは変わっていないね。みんな長い付き合いだよ。新参はぼうしさんとしがらみさん、クズさんくらいかな」
 クズというのはしがらみの友達だ。

「そんなことより僕の話を聞いてくださいよ」
 酔っ払いのマサさんが私の邪魔をする。
「僕、てんさんが好きなんですよ。何度も遊びに行こうと誘っても、断られるんですけど何がダメなんですか?お金ならありますよ」
 てんさんはライブ会場でも会ったことがある。
 今日もいたメイドだ。
 身長は150くらいで少しぽっちゃりな女性だ。
 ぐっさんと私は無言になってしまった。
 3回誘ってダメなら諦めろと、マサさんに言えるはずもない。
 マサさんは大企業に勤めて高給取りだ。身長は170くらい、顔もそこそこ悪くない。育ちもいい。
 スペックとしては間違いなくいいのだが、男としての頼りなさがあるので、そこがダメなのではないだろうか。
「ねえ、聞いてます?」
「聞いてますよ。もう少しアプローチを変えたらどうですか?」
「というと?」
「しばらく誘うのはやめておくとか」
「え〜嫌ですよ。すぐに遊びたいんですよ。僕も36なので、そろそろ結婚しないと」
 重い。
 1度も遊んだこともないのに、結婚のことまで考えるマサさんは重い。

「ぐっさん、どうしたらいいんですか?」
「ん!?俺に振らないで」
「ぐっさんは、結婚しないんですか?」
「う〜ん。・・・俺はいいかな」
 歯切れが悪い。
 結婚したいタイプだな。

 その後、始発まで2人は私に付き合ってくれた。
 駅前で別れる時ぐっさんが
「何かあったらまたツイートしてよ。すぐ助けにいくよ」
「ありがとうございます」
 私は深々と頭を下げて2人と別れた。

 やはりいい人達だな。
 居酒屋でいろいろな話をしたが、2人は表面しか知らない。
 店の裏の顔。まいさんの裏の顔を知らないと私は直感的に感じた。

 昼頃目が覚め、私はまいさんにLINEした。
 美味しいお店に連れてってという言葉を間に受けて、彼女を誘うことにした。
 結果、はぐらかしてきた。
 意味がわからない。

 次の土曜日、私はメイド喫茶に行った。
 いつも通り会話してくれるし、私を嫌いになったということではない。
 たまたまタイミングが悪かったのだろうか。
 生まれて2度目のOPEN、LASTを経験して、私は帰路に着いた。
 日曜日、再度ご飯の誘いをしたが、またしてもはぐらかしてきた。
 私と遊ぶことが目的ではないな。
 もっと違うところに思惑がある。
 しょうがない。
 あの子達から情報を聞き出そう。

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