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冥土喫茶に逝こう【実話】②


再びメイド喫茶に

 6月中旬。
 梅雨に入っていた。
 私は再びメイド喫茶に行くことを決めた。

 休みの日。
 空は曇り模様だったことをよく覚えている。
 電車で25分。
 再びK市に着いた。

 前回と同じように店まで歩いて行った。
 
 黒の扉を2回開け再びこの言葉を聞く。
「いらっしゃいませ、ご主人様」
 今回は2人のメイドさんがお出迎えしてくれた。
 1人は前回話したあめというメイド。
 とても嬉しそうでガッツポーズをしていた。

 もう1人は知らないメイドだった。
 童顔の顔だったので年齢がわかりづらい。
 20代前半だろうか?
 その女性と目があった瞬間、魅力があって、怖いという考えが浮かんだ。
 そんな彼女に、私は少し興味を持ってしまった。
 髪は長く、背は小さい。目がつり上がっているのが印象的だった。

 お客さんは4人いただろうか。
 前回見たお客さんもいた。
 常連だろうなと思いながら、前回と同じ出入り口に近い場所に私は座った。
 すぐに前回話したあめというメイドが話しかけてきた。
 またきてくれて嬉しいとか、本当くるなんてとたわいもない会話をしばらく続けた。
 
 その後、童顔の女性が私に話しかけてきた。
 ピンクのメイド服を着た女性。
 もちろん若いのだから似合って当然なのだが、私はこの女性に違和感を感じていた。
「名前はなんていうの?」
 私は彼女に質問した。
「まいっていいます。新しい人が来てくれて店長として嬉しいです」
「え!?君店長なの?その若さで」
「はい。この店を仕切っているまあまあ偉い人です」
 笑顔を私に向ける。
 そのあとまいという女性と話し、前回いた常連さんとたわいもない話をしたあと店を出た。

 私には遊びのルールがある。
 2時間以上同じ店で遊ばないというルールが。
 キャバクラでもスナックでも2時間で必ず帰るようにしている。
 ただ、知り合いや先輩たちと遊ぶときはそのルールは適用されない。
 今回も2時間以内で店を出た。

 帰りの電車の中、私は考えていた。
 メイド喫茶というところはまあまあ面白いところだと。
 そして、今回初めて会ったまいという女性になぜか知れないが興味を持ってしまったことに。

 彼女に一目惚れしたなど間違いなくない。
 人生で一目惚れの経験もなければ、誰かを好きになったこともない。
 私は自分で欠陥品だと思っている。
 誰かを好きになるとか、誰かを愛するという感情が私には欠如していると。
 いつも思う。
 なぜそこまで女性を好きになるのだろうか?
 なぜ失恋したときそこまで悲しいのかと。
 疑問でしょうがない。

 今回はこのまいという女性に私は興味を持ってしまった。
 キャバクラでもスナックでも、ガールズバーでもこのような女性は見たことがない。
 顔が似た女性は思い当たったが、その女性とは違う異質な存在に興味を持った。

 そんなことを考えながら地元の駅についた。
 まだメイド喫茶のことはよくわからないし、まいという女性を調べてみようと胸に誓い帰路に着いた。

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