冥土喫茶に逝こう㉒終

冥土喫茶に逝こう②

 2月上旬の最初の土曜日。
 決戦当日。
 私とネクタイはK市に車を走らせていた。
 K駅の駐車場に車を止めた。
 歩いて5分。
 店の前に着いた。
 時間は今でも覚えている。
 忘れられないことを彼女がしてくれたから。
 20:05

 黒の扉を開けて、再び黒の扉を開けた。
 私が一歩足を踏み出した瞬間だった。
 雰囲気だった。圧倒的な雰囲気。
 今日俺は死ぬかもしれないと私に思わせるほどの強烈な先制パンチを食らった。
 後日ネクタイに聞いたら同じように感じたと言っていた。

 店にいたのはお客が4人。メイドが3人。
 店の奥でぐっさんが座っていて、目の前には私服姿のまいさんがいた。
 その雰囲気によって店内は静寂に包まれた。
 そんななか、一人のメイドが空気を読まず私たちに話しかけてきてくれた。
「いらっしゃいませ」
 その言葉によって冷静さを取り戻した私は。出入り口に一番近い席に座った。
 ぐっさんに目をやると壁の方を見て考えていた。
 作戦通り。
 私たちがきたことについて考えろ考えろ。
 私はすぐさまポイントカードを渡し、生ビールを注文した。
 生ビールが来るとすかさず一気に飲んだ。
 初めて会うメイドが空気を読めずこう言った。
「4ヶ月ぶりにきたんですね?」
 空気が読めないメイドだったことを確認し、運がいいことにそのことについて質問してくれた。
 私は店内に届く声でこう言った。
「確認しにきた」
 まいさんに対する挑発でもあり、さらにぐっさんに考え込ませるための発言。
 しばらくするとネクタイが私の耳元に近づいてこう言った。
「タバコ吸いに行かない?」
 店に入ったときの雰囲気にやられたのであろう。
 タバコでも吸って冷静になりたかったようだ。
「悪い。1人で行ってくれるか?」
 ネクタイは1人で店の外に出た。
 今、店の外に出るということは逃げることになる
 逃げるわけには行かなかった。
 逃げれば喰われる。
「確認って何ですか?」
 君は女神か。
 わざわざ話を続けさせてくれるなんて。
「この店の謎を解いたからそれの確認だよ」
「はぁ?」
 メイドは訳がわからないような顔をしていた。
 わからなくていい。わかる人だけわかればそれでいい。
 ぐっさんは考えている。
 まいさんといえば店の奥に入りメイド服に着替えていた。
 メイド服がまいさんにとっての戦闘服かなどと考えていると女神のメイドが話しだす。
「また、この店に通ってくれるんですか?」
「ん〜どうだろ?今日次第かな」
「え〜また通ってくださいよ〜」
 などの会話をしているとネクタイが帰ってきた。
 そしてしばらくすると、店の奥にいたぐっさんが私の隣の席に座った。
 作戦はうまくいっている。
 あとは店の外に連れ出すだけだ。
 私はぐっさんの警戒心を解くためにしばらくたわいもない会話を続けた。
 まいさんを見ると、店の奥で何かを考えていた。
 1時間ほど経っただろうか私とネクタイは一度タバコを吸いに店を出た。
 ぐっさんはこなかった。
 タバコを吸って一息ついて再び店の中に入った。
 そんななかマサさんが店に入ってきた。
 それを見たネクタイが私にハイタッチを要望してきたのでハイタッチをした。
 マサさんはターゲットではないのだが。
 30分ほど経った頃チャンスが到来した。
 メイドの1人が帰るようでまいさんがK駅まで送迎するそうだ。
 女神のメイドが鶏肉がもうないですよと言ったのでまいさんは買ってくるという会話を耳にした。
 チャンス以上の何者でない。
 ここで連れ出さなければと私は考えたが、真正面から叩き潰したかったのでまいさんの帰りを待つことにした。
 10分後
「鶏肉買うの忘れた」
 白々しい嘘をついて帰ってきた。
 そろそろ2時間経つ、ここが賭ける場所だと直感が働いた。
 私はこう言った。
「ぐっさんなら人を見たらわかるはずだ。こいつは只者ではないっていうことを」
 ぐっさんは考えていた。
 私はすぐさま女神のメイドに会計と言った。
 それを聞いたぐっさんは俺も会計にしてと言った瞬間、まいさんがぐっさんの肩を持ってこう言った。
「もう少しいよう」
 その瞬間ぐっさんの顔を見て私は気づいた。

 考えることをやめていることに。

 今まで考えていたはずだ。なぜ考えることをやめた。
 私が考えていると女神のメイドが
「ポイントカードどうします?」
 本当に女神だった。
 このタイミングでその言葉を言ってくれるの私は待っていた。
 これがぐっさんに考えさせる最後のチャンス。
「どうでもいいよ。もう2度この店に来ることはない」
 私たちはその後店をでた。
 店から数十メートル離れてぐっさんがでて来ることを待った。
「15分待ってくれ。ぐっさんを待つ」
 15分後ぐっさんは店から出てこなかった。
「考えていることをやめた。何でだ?」
「どういうこと?」
「ぐっさんは考えていた。俺がきた理由を。だけどまいさんに話しかけられた瞬間考えることをやめた。なぜだ?」
 ネクタイは私の言っていることを理解できていなかった。
「他の野郎がどうなろうが知ったことではないが、ぐっさんだけは助けたかったな」
 ぐっさんとは相性があった。
 だからこそ助けたかった。
 そのあと、駐車場に行き帰路に着いた。
 私は車の中で独り言のように
「悔しい。悔しい。なぜうまく行かなかった。何がダメだったんだ?」
 などと愚痴を言っていた。
 そのあとネクタイが呟いた。
「負けたね」

 家に帰宅し、私はすぐにPCを開いた。
 マインドコントロールについて。
 そして調べてわかった。
 術者がかけている相手に話しかけると考えることをやめるということに。
 知らない。そんな情報知らない。
 ヌケがあったんだ。
 完璧に調べてあげていたと思ったのに。
 その日、私は悔しく悔しくて涙が止まらなかった。

 半年後、私はN市でまたメイド喫茶遊びを始める。
 まいさんも同時期、N市にあるメイド喫茶の店長をターゲットにしていた。
 再び出会うことになる。
 まいさんは答えを全て知っている私にメイド業界から排除しようとあの手この手を使って来る。
 私はまいさん以外の女性からターゲットに再びされる。

 それはまた別の話。

 終わりです。
初めて小説書きました。
 ありがとうございました。
 2月上旬の最初の土曜日。
 決戦当日。
 私とネクタイはK市に車を走らせていた。
 K駅の駐車場に車を止めた。
 歩いて5分。
 店の前に着いた。
 時間は今でも覚えている。
 忘れられないことを彼女がしてくれたから。
 20:05

 黒の扉を開けて、再び黒の扉を開けた。
 私が一歩足を踏み出した瞬間だった。
 雰囲気だった。圧倒的な雰囲気。
 今日俺は死ぬかもしれないと私に思わせるほどの強烈な先制パンチを食らった。
 後日ネクタイに聞いたら同じように感じたと言っていた。

 店にいたのはお客が4人。メイドが3人。
 店の奥でぐっさんが座っていて、目の前には私服姿のまいさんがいた。
 その雰囲気によって店内は静寂に包まれた。
 そんななか、一人のメイドが空気を読まず私たちに話しかけてきてくれた。
「いらっしゃいませ」
 その言葉によって冷静さを取り戻した私は。出入り口に一番近い席に座った。
 ぐっさんに目をやると壁の方を見て考えていた。
 作戦通り。
 私たちがきたことについて考えろ考えろ。
 私はすぐさまポイントカードを渡し、生ビールを注文した。
 生ビールが来るとすかさず一気に飲んだ。
 初めて会うメイドが空気を読めずこう言った。
「4ヶ月ぶりにきたんですね?」
 空気が読めないメイドだったことを確認し、運がいいことにそのことについて質問してくれた。
 私は店内に届く声でこう言った。
「確認しにきた」
 まいさんに対する挑発でもあり、さらにぐっさんに考え込ませるための発言。
 しばらくするとネクタイが私の耳元に近づいてこう言った。
「タバコ吸いに行かない?」
 店に入ったときの雰囲気にやられたのであろう。
 タバコでも吸って冷静になりたかったようだ。
「悪い。1人で行ってくれるか?」
 ネクタイは1人で店の外に出た。
 今、店の外に出るということは逃げることになる
 逃げるわけには行かなかった。
 逃げれば喰われる。
「確認って何ですか?」
 君は女神か。
 わざわざ話を続けさせてくれるなんて。
「この店の謎を解いたからそれの確認だよ」
「はぁ?」
 メイドは訳がわからないような顔をしていた。
 わからなくていい。わかる人だけわかればそれでいい。
 ぐっさんは考えている。
 まいさんといえば店の奥に入りメイド服に着替えていた。
 メイド服がまいさんにとっての戦闘服かなどと考えていると女神のメイドが話しだす。
「また、この店に通ってくれるんですか?」
「ん〜どうだろ?今日次第かな」
「え〜また通ってくださいよ〜」
 などの会話をしているとネクタイが帰ってきた。
 そしてしばらくすると、店の奥にいたぐっさんが私の隣の席に座った。
 作戦はうまくいっている。
 あとは店の外に連れ出すだけだ。
 私はぐっさんの警戒心を解くためにしばらくたわいもない会話を続けた。
 まいさんを見ると、店の奥で何かを考えていた。
 1時間ほど経っただろうか私とネクタイは一度タバコを吸いに店を出た。
 ぐっさんはこなかった。
 タバコを吸って一息ついて再び店の中に入った。
 そんななかマサさんが店に入ってきた。
 それを見たネクタイが私にハイタッチを要望してきたのでハイタッチをした。
 マサさんはターゲットではないのだが。
 30分ほど経った頃チャンスが到来した。
 メイドの1人が帰るようでまいさんがK駅まで送迎するそうだ。
 女神のメイドが鶏肉がもうないですよと言ったのでまいさんは買ってくるという会話を耳にした。
 チャンス以上の何者でない。
 ここで連れ出さなければと私は考えたが、真正面から叩き潰したかったのでまいさんの帰りを待つことにした。
 10分後
「鶏肉買うの忘れた」
 白々しい嘘をついて帰ってきた。
 そろそろ2時間経つ、ここが賭ける場所だと直感が働いた。
 私はこう言った。
「ぐっさんなら人を見たらわかるはずだ。こいつは只者ではないっていうことを」
 ぐっさんは考えていた。
 私はすぐさま女神のメイドに会計と言った。
 それを聞いたぐっさんは俺も会計にしてと言った瞬間、まいさんがぐっさんの肩を持ってこう言った。
「もう少しいよう」
 その瞬間ぐっさんの顔を見て私は気づいた。

 考えることをやめていることに。

 今まで考えていたはずだ。なぜ考えることをやめた。
 私が考えていると女神のメイドが
「ポイントカードどうします?」
 本当に女神だった。
 このタイミングでその言葉を言ってくれるの私は待っていた。
 これがぐっさんに考えさせる最後のチャンス。
「どうでもいいよ。もう2度この店に来ることはない」
 私たちはその後店をでた。
 店から数十メートル離れてぐっさんがでて来ることを待った。
「15分待ってくれ。ぐっさんを待つ」
 15分後ぐっさんは店から出てこなかった。
「考えていることをやめた。何でだ?」
「どういうこと?」
「ぐっさんは考えていた。俺がきた理由を。だけどまいさんに話しかけられた瞬間考えることをやめた。なぜだ?」
 ネクタイは私の言っていることを理解できていなかった。
「他の野郎がどうなろうが知ったことではないが、ぐっさんだけは助けたかったな」
 ぐっさんとは相性があった。
 だからこそ助けたかった。
 そのあと、駐車場に行き帰路に着いた。
 私は車の中で独り言のように
「悔しい。悔しい。なぜうまく行かなかった。何がダメだったんだ?」
 などと愚痴を言っていた。
 そのあとネクタイが呟いた。
「負けたね」

 家に帰宅し、私はすぐにPCを開いた。
 マインドコントロールについて。
 そして調べてわかった。
 術者がかけている相手に話しかけると考えることをやめるということに。
 知らない。そんな情報知らない。
 ヌケがあったんだ。
 完璧に調べてあげていたと思ったのに。
 その日、私は悔しく悔しくて涙が止まらなかった。

 半年後、私はN市でまたメイド喫茶遊びを始める。
 まいさんも同時期、N市にあるメイド喫茶の店長をターゲットにしていた。
 再び出会うことになる。
 まいさんは答えを全て知っている私にメイド業界から排除しようとあの手この手を使って来る。
 私はまいさん以外の女性からターゲットに再びされる。

 それはまた別の話。

 終わりです。
 初めて小説書きました。
 ありがとうございました。
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