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手摺

 母親が介護施設から手摺をレンタルすることになった。門から玄関へ、そして上がり框まで置き型の手摺を設置するらしい。置き型で強度は大丈夫なのか?という不安もないではないが、レンタルなので、設置する訳にもいくまい。国から補助が出る。支払うのは月額430円らしい。Amazon Prime Videoの月額より安い。これをまともに買えば、結構なお値段になるだろう。国の厚い保護のもと、高齢者は生活を快適にすることができる。
 時間があれば、時間は幾らでもあるのだが、広島まで行って帰ってくるのに1万円以上はかかるので、何かの機会の折に見に行くことにしよう。そんなに未来の話ではない。
 業者もよく考えたものである。設置型にすれば、対象者が亡くなった時に邪魔でしかなくなって、無駄な設置費を払う羽目になってしまうので、レンタルである。何時亡くなっても無駄におカネを使わなくて済みますよ、ということのようだ。
 その安さゆえに却って怪しいと妹はいう。「騙されさんなよ」と母親は妹からいわれたらしい。でも国が関わっていることだから大丈夫だろう。
 僕が手摺を設置することはできるが、実際屋内の1Fから2Fへの手摺は亡くなった親父の為に20年くらい前に設置したものだ。だが予定の設置場所だと屋外なので、結構おカネがかかる。月430円ならはるかに安い。
 そういう訳で、母親は88歳になりながらも一人暮らしで頑張っている。そっちの方がボケずにいい、と本人はそういうので、そうしている。最近はスマホも買ってLINE通話もしているので、頭はしっかりしている。元気で長生きしてくれることが何よりである。

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