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カラオケ屋にて

 母のスマホを届けたついでに高校時代、一緒にギターを弾きならした友人と夜6時に会う約束をした。カラオケ屋で、久しぶりにギターを弾こうというのである。ギターは重いので、持って行くのを躊躇したら、彼が2本調達してくれた。
 実に40年振りである。大学時代、学校は違うものの、同じ福岡に住み、彼の下宿へ、遊びに行って、ギターを弾いた記憶がある。それ以来だ。
 歌本はなかったが、今はスマホで歌本が出てくるようで、それを見て、当時流行った歌をギターを弾きながら歌った。さだまさし、オフコース、浜田省吾等。カラオケも歌った。カラオケ自体、6,7年振りなので、声が出ないのではないかと思ったが、思いのほか、声は出た。ただし最初は咳が出て高い音が出せなかったが、慣れてくると、出せるようになった。
 お互い60歳になって、こんな風にギターを弾き合うとは当時思ってもいなかった。実に感慨深いものがあった。
 2時間ばかり、ギターを弾いたり、カラオケを歌ったりした。ギターは実に久しぶりなので、相当下手になっていた。おまけにコードを抑える左手の指がジンジンして痛かった。堅かった指先もすっかり柔らかくなっていた。
 お互い近況報告をしあった。お互い幸せそうでよかった。
 思わぬことに、帰りに土産を貰った。うっかりこっちは忘れていたので、大変失礼、申し訳なかったが、前回広島に来て、会った時にこちらからお土産を渡していたので、お返しのつもりらしかった。家に帰って、中を開けてみると、酒のゼリーだった。僕は大好物だが、息子と妻がアルコールは1滴も駄目なので(それがたとえノンアルだったとしても)僕が独り占めをした。とても美味しかった。
 また今度は他の仲間も呼んで飲みにでもいければ面白いだろうな、と思いつつ、別れた。
 

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