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礼服

 家の近所にあった小倉高校すぐそばの資さんうどんは潰れて、家族葬の祭場になった。それ以外にも家族葬の祭場がいくつも出来てきている。
 最近は皆長生きで、実際逝去されたおりには、もう近い親戚や友人関係がわからなくなっていたり、わかっていても先方が歳で葬式に出られない等の理由から、葬式自体が家族葬へシフトしていっている。
 勿論現役で亡くなったりすると来客も多いので、大きな祭場で葬式をするのだろうが、僕みたいに会社のしがらみがなくなった人間は、即家族葬であろう。
 家族葬になると、香典が貰えないので、葬式代はそのままこちらが払うことになってしまうのだろうが、その分安いのかと思えば、いろいろコースがあるようだが、決して安くはない。
 死んだ方にしてみれば、無理をせずに、一番安いのでいいよ、といいたいところだが、残された者は見栄を張って、死者への思いも手伝って、つい高いものにしてしまいがちであろう。まだ家族葬は経験していないので、よくはしらないけれども。
 いずれにしても家族葬が増えたので、礼服を着る機会もグーンと減った。ただでさえ着る機会は1年に1回程度だったのに、今では何年前に着たかも忘れてしまうくらい覚えていない。
 いざという時に礼服が着れないでは困るので、腰回りには気をつけていたのだが、これではもうどうでもよくなってしまう。母親があと何年生きるか知らないが、それまではウエストはキープしておかなければならないかもしれないが。
 結婚式も最近はとんと御呼ばれが無い。昔の様なゴンドラで会場の上部から降りてくるような演出の派手な結婚式などはない。皆その頃と違ってカネの出し惜しみをしている。というより無い袖は振れぬということか。このまま親戚関係、皆ジミ婚で済ませてしまいそうなので、これまた服が必要なくなってしまった。いっそ礼服もスーツも全部売っ払って、そういう時に安いのを買うかレンタルすればいいかもしれない。といっても今さら売れないだろうなあ。30年以上前のだからなあ。捨てるしかないかなあ。
 
 

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