ショートショートが書けない
ショートショートを書こうとするけれど、前みたいにポンとアイデアが浮かばない。オチも出てこない。
ある男がパソコン作業中、左手の人差し指にすい針が刺さったので、すい針わかりますか?方言ですかね。木のささくれ、ささくれわかります?指のささくれとかは標準語ですよね?
つまりある男が左手人差し指にいつの間にか木の破片のようなものが刺さっていたので、ピンセットと5円玉で、一生懸命抜こうとした。
5円玉、何に使うかわかります?5円玉の小さな穴を人差し指の刺さったところを中心にして押さえ込むと、肉がふくらんで、とりやすくなるんです。
何でパソコン作業中にそんなもの刺さるんでしょうね。それは置いといて。
そうしてやっとのことで、トゲを抜いて、最初からトゲっていったほうがわかりやすかったですね。トゲを抜いてパソコンの作業を続けていると、小さくシューという音が聞こえてくる。何の音だろうと、不審に思いながら作業を進めていると、さっきのトゲが刺さった指に力が入らない。男はどうしたことかと立ち上がる。その瞬間、左足に痛みを感じる。驚いて、思わず座り込み、左足の裏を見てみると、大きなイボができているではないか。
男は何だろうと、イボを引っ張ってみる。するとその瞬間、イボから大量の空気が流れ出してきたではないか。
シューという大きな音がして空気が抜けていく。みるみるうちに左足は萎んでいく。まるで、中国で昔流行った纏足のようになった。ここのところ余計な表現かな。
119番に電話をしようとしたら、左手も萎えてしまっている。トゲが刺さったところから空気が抜けていっていたのだ。さっきから聞こえていた小さなシューという音は指から空気が抜ける音だったのだ。
男は左手にスマホを持つことも出来ず、右手で、119番を押した。
「はい119番です。救急ですか、火災ですか」
「た、助けて下さい、萎んでしまう」
男は懸命に惨状を訴えるが、消防署員には此奴、何を言ってやがるんだい、くらいにしか思わない。落ち着いた声で、住所を聞いた。
やがて消防署員が到着した頃には、男は頭以外、全て、萎んでしまっていた。空気の抜けた浮き輪のようである。
消防署員は男の状況を見て、後すざりをした。
「これは何かの細菌兵器だぞ。近づくな。自衛隊に連絡しろ。近くの住民を避難させろ」
とんだことになってしまった。男は何かの細菌にやられてこんなふうになってしまったのだろうか。やがて回りがうるさくなっていくが、男の頭も空気が抜けて、意識は消えていった。
何かつまらないオチだなあ。そこへ宇宙人が現れて、コンプレッサーを持って来て、空気を入れて、元に戻すのはどうだ?つまらんなあ。
119番に電話をする前に、男の前に男そっくりの男が出てきて、入れ替わるというのはどうだ。宇宙人の侵略。何か聞いたことあるなあ。
いづれにしてもそんな風にいろいろ考えていると、ショートショートのオチが決まらなくて、ボツの山ができてしまうのです。
ああショートショートが書けない。