見出し画像

マクドナルドにて

 年とっても働かないかん世の中とは、若い頃は、皆あまり考えていなかったろうなあ、と思うが、いかがだろうか。若いものにこき使われて、この野郎と思っても体が動かねえ、黙って泣く泣く従うしかない。悪いのは、できないこっちだ。カネの為、生活の為、既に到達してはいるが老後の為、何が悲しゅうて働かないかんのやろ。
 自分の趣味を生かして、あるいは若い頃からのスキルを活かして仕事ができてるやつはラッキーだ。楽しいだろうなあ。怠けてこの歳になるまでただボンヤリと生きてきた自分が恨めしい。
 
 マクドナルドで、定年を終えてしばらく経った、年齢にして70前後の白髪の男性がカウンターに立ってオーダーを取ってるのを見て、ふとそう思った。何が悲しゅうてマクドナルドで前面に立って注文きかないかんのや。僕だったら絶対に嫌だ。
 若いものに「ちがうちがう、それはこっち」とか、ため口きかされ、命令されて仕事しているんだろうなあ、あの人。そう思うと哀愁が漂ってくる。もちろん本人は意外と楽しんで、これがやってみたかったんだ、とか思って入社したのかもしれないから一概にはいえないが、一般的にはそうではないだろうか。
 それにやはり正面で注文受けするのは若い女の子の方がいいに決まっている。その若い女の子がこないから、御老人が注文受けしているのだろうけれど。
 そういえば、僕が働いていたホームセンターでも、10年位前から既に、求人募集をかけたら、定年を過ぎた男性ばかりがやってくるようになっていた。
 日本はやがて老人大国になる。働いてない老人は何かの介護を受けていて、介護をうけていない老人は70歳を過ぎても働かなければならない。元気であれば、働け働け、の世の中になるのだ。
 何のための年金なのか。僕はそんなのは嫌だ。もっとも僕は働けるような体ではないので、そうならないとは思うが、寛解したらわからない。
 若者の数は減り、老人大国となる日本。政治はこれでいいと思っているのだろうか。 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?