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すっぽんぽん

 街を歩いていると、ショーウインドウに裸のマネキンが男女2体づつ、合計4体並んで立っていた。目立つ場所なのに、奥の方には着せる服もたくさんありそうなのに、なんで、着せないのかなあ、もったいないなあ、怠慢だなあ、コンプライアンス重視で残業ナシで、途中で帰されたのかなあ、等と思いながらガラスに書いてあるPOPを見て笑った。
「サマーセール」
 暑いからすっぽんぽんを提案してるのだろうか。公然わいせつ罪だ。
 そういえば70年代、ストリーキングというのが流行った。プロ野球の試合中にグランドまで降りてきて、すっぽんぽんで走る男の姿をTVでみたことがある。
 あれは何だったのだろうか。何かの主張があったのだろうか。ただ単に頭がおかしかっただけなのだろうか。今でも不思議に思う。
 ヌーディストビーチというのが外国にはたくさんある。その名の通りすっぽんぽんで海水浴を楽しむのだが、そこに宗教的なものや政治的なもの、信念的なものは見受けられない。よくわからない。
 解放感に浸りたーいと、ただそれだけのような気がする。日本のリゾート地にヌーディストビーチがないのは誠に残念である。でもいざとなったら、しり込みしてしまうかもしれないが。
 日本には混浴がある。ただし入っているのはたいてい婆さんばかりである。
 別府の明礬温泉の混浴で、外国人の女の子が入ってきて注目を浴びたことがある。外国人は開放的なのだ。泥湯だったので、しっかりは見えなかったが、もっともしっかり見えるものをしっかり見ようとするのはかなり勇気がいることである。しっかり見えなくてよかった。
 会社の女の子の後輩に、いくつか混浴の温泉を紹介したらば、彼氏といったと後日教えてくれた。その話を聞いたパートのおばさんは卒倒しそうになった。最近の女の子は開放的なのだ。その子が特別かもしれないが。
 マネキンの話だった。ひょっとすると、裸の王様の服がそこに着飾られていたのかもしれない。正直者だけに見えるという不思議な糸で作った特別な服。そんな馬鹿な話はなく、そんな服を着たら、間違いなく公然わいせつ罪である。

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