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アメリカ産とうもろこし250万トン輸入の報道について。

 農産物の輸入の仕事をしています荒川防火水槽研究会と申します。今回は本業に関わる話題です。

 G7に伴う #安倍首相#トランプ大統領 との会談で、日本がアメリカから #とうもろこし を250万トン買うという報道がありました。

 多くの方にとってなじみのない世界で、分からないことが多いと思いましたので、同業界の立場から解説いたします。

 まず、今回のとうもろこしは、祭りの屋台で売っている「 #スイートコーン 」ではなく、 #飼料 用の「 #デントコーン 」です。冒頭の写真のように粒で輸入されます。食べても硬くて美味しくありません。日本は家畜のエサ用に毎年1100万トンほど輸入しています。

 では、今回なぜ追加輸入という話が出てきたかというと、国内でとうもろこしの害虫である「 #ツマジロクサヨトウ 」による被害が九州などで発生しているためです。この害虫により、乳牛用の飼料とされる #コーンサイレージ 用のコーンに被害が懸念されています。

 コーンサイレージに利用される青刈りとうもろこしの収穫量は448万トン。ただし茎や葉も利用されるので、全部が実ではありません。また、作付けは害虫被害の出ていない北海道が中心です。

 そうすると、報道されているような250万トンも必要かどうかは微妙であり、現在農林水産省が検討しているのは予防的な対策と考えられます。

 次に、この害虫対策がなぜ日米首脳会談で取り上げられたのか?ですが、安倍首相の発言を丁寧に読むと、害虫対策のための対策であること、輸入は民間の判断であることをきちんと発言しています。

 つまり、トランプ大統領が主張するように「 #中国 との貿易協議で余ったとうもろこしを全部買います」などとは言っておらず、お互いの発言が一致していません。

 そもそも、中国は大した量のとうもろこしを輸入しておらず、アメリカが最も影響を受けているのは、中国の輸入する「大豆」です。

 その意味で今回の話は、安倍首相とトランプ大統領によるプロレスのマイクパフォーマンスではないか?と疑問を持たれる方もいるかも知れませんが、まだ事態は流動的であり、今後の情報を注視したいと思います。

 

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