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【訪れた街】台湾・基隆(1)港町は似ている

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台北からバスで小一時間ほど北に移動すると、基隆(キールン)という港町がある。昔から港町として栄えていて、今も国際港として巨大なタンカーや大型客船が行き来している。このコロナの時、大型客船は止まっていることは予測できるけれど、私が行った2016年は、とても大きな船が停泊していた。どんな人が乗っていて、どんな人が旅立つのだろう。想像力をかき立てられた。
訪れたのは12月の雨の日。港に隣接されたイベントスペースにもなる公園では、クリスマスのアートパフォーマンスを行うため、学生らしき人たちが集まっていた。モニュメントや地面に描かれた絵画などが展示され、クリスマス色に染まる。

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港町は、かっこいい。シンプルだけど、その一言に尽きる。
私の基隆の第一印象は「神戸に似ている!」だった。
私の友人は「高松に似ている!」と、似たようなことを言った。
歴史ある国際港・神戸に比べて、高松の港は規模が小さくて恐縮だが、瀬戸内の島巡りで近年注目を浴び、港の整備が進んでいる。彼女にも私にも、地元・高松港は馴染み深い場所だ。港町というのは、似通って行くものなのかもしれない。
目の前に広がる湾が一望できる場所に立つと、潮の匂いが身体を包む。海だ。基隆も、神戸も、高松も、海で繋がっている。当たり前のようだけど、旅先で、故郷との繋がりに気づくと、少し頬が緩む。
それが嬉しいことなら、なお緩む。

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国際港、大型客船、クルーズ船。慣れない言葉が並ぶが、一気に身近に感じられた出来事があった。国際船が到着したのだ。それまでがらんとしていたターミナルだが、一気にそわそわした空気感に満ちてくる。
乗客下船の前、まず船員がターミナルに降りてくる。それも、華やかな衣装を身に纏ったダンサーたちだ。基隆港側のスタッフへ「こんにちは」のご挨拶として、ダンスプログラムを披露するのだ。楽しい音楽と軽快なステップと、ダンサーたちの弾けるような笑顔。
対する基隆港側は、サンタクロースのコスプレをして、赤いずた袋にめいっぱい入れたプレゼントを配る。配る。とことん配る。基隆のキャラクターがプリントされたTシャツをお揃いできた若者たちも、笑顔とお茶目な気持ちで溢れている。
乗客も降りてきた。どうやら記念すべき数字に該当した人たちは、記念品をもらえたらしい。人だかりがすごい。

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訪れる人たちを出迎える、一つの儀式。
一介の旅人が、ちょっとおまけで参加した、基隆の大事な行事。
受け入れられた、と体感することができ、とても嬉しかったことを覚えている。

早く世界中の船が、基隆に安心して訪れる日々が来ますように。

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