聖なるズー

聖なるズーを読み終えた。ずっと気になっていて、でも買わずにいた。いつか買うだろうとは思っていたがなかなか買わずにいた。もう内容は分かっていたからだ。

動物性愛者に取材した本。そして彼らが意外にもまともであることを取材を通して知っていくという本。

内容は大体書評で読んだ通りであったが、しょっぱなの衝撃が凄かった。作者、濱野ちひろさんの実体験を赤裸々に語る。そしてその体験、その時の気持ちと真正面に向き合う。強いな、と思った。

ノンフィクション作家はすごいと思う。まず取材するエネルギーがないとダメだ。加えて、真摯な気持ち。濱野さんは自身の思いと葛藤しながらも丹念な取材をしていて、それが読者の固定観念を徐々に和らげていく。

読んで思ったのは、人はどんなに寛容な人であっても知らず知らずのうちに固定観念を持ってしまっているものだということ。自分も寛容な人間の部類に入ると思ってはいるが、まだまだだなと思い知らされた。そして、まだまだだなと思い知らせてくれるのが、こういう先入観を全く排除し、真摯な気持ちで対象に向かって取材をしていく、ノンフィクション作家だ。

生きるなら、どうせ生きるなら広い世界で行きたい。そしてそれは物理的に広い世界へ飛び回ることじゃない。いろんな国に行って経験している人でも、狭量な人は狭量だ。

素晴らしいノンフィクション作家は、心を広くしてくれる。

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