元ぼったくりバー店員の記録 その9 お会計
目標額に達したので、お会計に移ります。カルトンに金額の書かれた紙を置きお客様にお渡しします。プレッシャーを与えるためにテーブルの前で片膝をつき待機します。ゴネそうであったり、モタつきそうなら一度カウンターに戻ります。
ここで4つのパターンに分かれます。
①普通に払う
②ATMまで下ろしにいく
③ゴネる
④後日支払い
①今回は普通にお支払い頂けました。現金かカードを選べます。ちなみにカードの場合は利用手数料で会計額の10%を追加でお支払い頂きます。
②の所持金がなくATMに行くパターンですが、見張りに「おろし」と伝えお客様と一緒にコンビニまで行きます。その際逃走を防ぐために荷物はバーの中に置いていかせます。男だけが払う流れなら男だけ、女も払う素振りを見せる時は3人で行きます。
そして絶対にコンビニの中には入りません。何故なら恐喝罪になるからです。入らなければ客が勝手に下ろしに行ったとみなされます。
また、荷物を持っておらずそのまま逃走した場合は追いかけて詰めます。なのでバーテンダーと見張りは格闘技経験者が多いです。私もやっていましたし、見張りも全国クラスでした。私はやっていませんが首根っこを掴まれた客もいるらしいです。
③ゴネたら詰めます。お金が無いとか言い出したら財布の中身を一つずつテーブルの上に出させます。その際客にも物にも絶対に触りません。客に触ると暴行罪、物に触ると窃盗や強盗と言われる為です。そしてキャッシュカードを見つけたらおろしに行かせますが、口座に残高がないと言われたら明細の紙を見ます。本当にない場合はキャッシングもさせます。
それでも払おうとしない客は口を揃えて警察に行くと言い出しますが、私達は全くもって構いません。なぜなら警察は民事不介入で何もしない、出来ない為です。
そもそもぼったくりで捕まえる事はほぼ出来ません。なぜならそれが成立するのはメニューがない、メニューに値段が書いていない、書いていない物が注文されていた場合だからです。私達はメニューに値段も書いてありますし、無い物は取っていません。双方合意の上で取引がなされています。サイゼリヤでミラノ風ドリアを注文するのとまったく同じ事です。
新型コロナウイルスの影響で299円から300円に値上げになりましたが、文句を言うお客はいませんよね?もしいたとしても「メニューに書いてあります」と店員は言うでしょう。
よってぼったくりで立件することは不可能です。ニュース等を見るとわかりますが逮捕されているのは監禁、軟禁、恐喝が主な理由です。
④後日支払いは、免許証や名刺を預かって後日支払いに来させます。誓約書も書かせます。〇月〇日に発生した〇〇円の支払いを〇〇に払いますといった感じです。住所も名前も書かせます。
ですが時々”間違えて”違う住所、電話番号を書くお客様もいますので、その際は電話を掛けたりグーグルマップで確認したりと訂正をさせて頂きます。
ちなみに、女が金を出す事はほぼありません。何故なら財布の中に現金を入れていないからです。ここでもパターンに分かれます。
①現金割り勘
女「現金無いから後日払う」→男全額払う→連絡先ブロック
②女がカードで払い男が後で金渡す
バーテン「このカードは使えません」→男が結局払う
③女もおろしに行く
キャッシュカード使えないと言う→男が払う→連絡先ブロック
男が財布を見せろと言ってくるパターンもありました。なのでその為にダミーの財布を毎回持たせておきました。
ちなみに、お会計の金額ですが上限はテーブルチャージや消費税を計算した上で、29,990円にしておきました。なぜなら30,000円を超えると罪の重さが違ってくるからです。なので通常私たちはお会計満額の事を「ニーキュー」と言っていました(調子のいい客は満額を超えて注文していただきますが)
ただし、カードで支払いの場合はカード利用料10%をご負担いただきますので、お会計が約33,000円でした(満額でなくても利用料は頂きます)
また、テーブルチャージで15%、当時の消費税で8%、税抜きの額に23%をかけたものがお客様のお会計額になっていました。
よって、おおよそ21,000円分頼ませれば自動的にニーキューに行きます。
そしてニーキューは女の子10杯、男3杯、フード5品で到達し、お通しで頂いている4,000円で25,000円になります。
25,000×1.23=30,750
30,750ー760=29,990です。
お客様が3万円を出してきて、お釣りが10円だけだったので、お会計が楽でした。
(お通しに関してはこちらの記事をどうぞ)
このようにして1日6件の接客を行います。もちろん途中で予想外のトラブル等があるの一筋縄ではいきませんが、なんだかんだでどうにかなります。人生何でもやってみることが重要だと思います。
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