見出し画像

銭湯日記

しばらくソファーで横になる。
今日は何もやる気が起きない。

外はもう夕焼け空。

けれど、やらなくてはいけないことが色々頭の中を駆け巡り、罪悪感がどんどん溜まっていく。

「なんか、サッパリしたい・・・。」

ぽつりと私は呟いた。
鬱々とした気持ちをリセットさせたい。

そんなときは「銭湯」の風呂に入ってサッパリするに限る!
だらけた身体を起こし、早速銭湯に行く準備をしよう。


「リーン…リーン…」
虫たちの合唱を聞きながら、秋の夜風を感じる。

暗く淋しい道を通り、銭湯に向かった。

暗闇にぼんやりとした灯りが現れて、【ゆ】と大きく描かれたのれんをくぐる。


番台さんに入浴料を渡し女湯に入ると、先客の常連っぽいおばちゃんに「こんばんは。」と挨拶されたので軽く挨拶を返し、風呂に入る準備をする。

銭湯に行くと、大抵おばちゃん・おばあちゃんが挨拶してくれたり軽く話しかけてくれるけど、そういったルールでもあるのだろうか。などと考えつつ、着替え終わり風呂に入る。


ここの銭湯は非常にシンプルなもので、大きめで深めの風呂とジャグジー風呂。あとは冷たいかけ水を貯めておく場所と身体を洗う場所があるだけ。

最近はレジャー施設のような温泉が流行っているが、情報量が多い現代社会と逆行スタイルがいい。シンプルイズベスト。

銭湯お馴染みのケロリンの桶を取り、身体を洗い綺麗にしていく。
(ネットでケロリン桶について調べると、ケロリングッズが公式から多数出ているようだ。今度ハンズに買いに行こうと思う。)


身体を綺麗に洗い、いざ湯船へ。

大きい風呂には先程のおばちゃんが入ってたので、まずはジャグジー風呂に入る。

•••••熱い!
覚悟はしていたが、とても熱い!

ここの銭湯のお湯は薪で焚いているらしいので、激熱なのだ。

我慢して肩まで浸かると、手の先から足先までピリピリと熱が伝わってくる。

鏡で自分の顔を見てみると真っ赤になっていて、ジャグジーの泡がボコボコ出ているからか、まるで自分が茹で蛸のように思えてきた。

熱さに我慢出来なくなり、一度かけ水で身体を冷やしてインターバル休憩。

おばちゃんが風呂から出たので、次は深くて大きめな風呂に入る。
熱さに慣れたのか、ジャグジー風呂よりは熱くない気がしたので、しばらく我慢した。


銭湯に来ている時は風呂と真剣に向き合える。

ストレスや日々の疲れを忘れて、綺麗サッパリ洗い流せる気がするのだ。
気分がスッキリしたところで、私も風呂から出よう。



脱衣所に行くと、挨拶したおばちゃんが帰る準備をしていた。

銭湯は真隣に男湯がある造りだから、「風呂から出た?」「買う飲み物何すんの。」とおばちゃんが男湯にいる夫に向かって会話している銭湯ならではのシーンに遭遇した。

夫婦は冷蔵庫から飲み物を選んだようで、番台さんにお金を渡して帰っていく話し声や音で、銭湯のあたたかみと懐かしさを感じた。

家に帰る準備をし、番台さんにお礼を言って銭湯を後にした。

今度は私も銭湯で飲み物を買ってみようとかな。などと考えながら、そこらへんで買った缶ビールを呑みながら暗く淋しい道を歩いて帰ったのであった。

《完》


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?