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デザインを阻害する 『ちょこちょこ直し』

こんにちは
広告デザイナーのKAYです。
普段はとある企業の、とあるお店の、とあるPOP等をデザインしています。
今日はデザインただの時間の無駄。
ちょこちょこ直しについてお話ししたいと思います。
これはデザイナーに向けてというよりも、デザイナーに依頼する営業さんやクライアントさんが読んだほうがいいかもしれません。

その直しの指示の仕方、いいと思っていませんか?
修正を何度もすることがいいと思っていませんか?
はっきり言ってそれが広告業界の諸悪の根源です。
広く見れば、この日本が『遅い』理由だと思っています。

出来上がりをイメージできない

僕の周りには未だにこういう発言をする人がいます。
『何度も修正して作っていくんだろ?』
これは最低最悪のモノの作り方です。
はっきり言います。
それで出来上がったものの結果、
最初から見えてましたよね?
ということです。
ここで決定的なことは、その情報を持っている人が、作っているものを想像できていないという点です。
結果、それを作るための情報を出し惜しみ、デザイナーはそれを知らずに作ります。
作っては、「これをこうしてください」「これを取ってください」「これを追加してください」
これらを何度も何度も繰り返し、なぜかこんな小さなものに3日も使ってしまう(もちろんトータルでという意味です)。
しかしその出来上がったもの、本当に3日もかかるものでしょうか。
修正指示をみてください。最初からあなたが言えば1回の修正でできあがりましたよね?

修正作業を認識する

ここでネックなのは修正回数です。
修正回数を減らすことがなぜ重要なのでしょうか。
修正回数を減らすことで、全体の出来上がり時間が短くできるのはわかると思います。
では、実際、一度の修正でどれだけのロスが生まれているのか説明していきます。

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【指示 1 】文章の途中の単語を削る
【修正 1 】削って、改行ポイントを調整
 ※この時点では問題なし
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【指示 2 】タイトルを変える
【修正 2 】文字数や改行ポイントが変わるので面積が変わる。
 ↓
 修正1で調整した文章をまた調整することになる。
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とても単純に二つのオブジェクトと作業で説明しました。
つまり、最初に指示で文章の修正と一緒にタイトルの修正も指示すれば、修正作業は一度で済むのに、指示を無駄に二回に分けたせいで、作業が二回に分かれたという現象です。
この時点で、例えば本来1時間で済む作業が2時間かかることになります。(実際の作業時間はデザインによって異なります。)
上記は修正2回で紹介しましたが、実務では20回や30回修正することが正しいと誤解している人が多くいます。

多くのクライアントさんの場合、修正作業を認識していない場合と、ちゃんと習っていない場合が多いです。
これは技術的背景があります。

オンライン化によって修正しやすくなった

あまりしたくはありませんが昔話をします。
メールも社会が不慣れだった時代。
まだメールに2MBも添付できなかった時代。
修正指示は口頭で、机の上で、赤ペンを持って行なっていました。
ちょうど、タイトルの画像のような感じです。
その時代は修正作業もパソコンのスペック上、一日かかるものばかりでした。

しかし光回線になり、メールの容量も増えた2003年以降、パソコンのスペックも上がり、結果、修正作業も容易にできるようになります。

ではその分、出来上がり時間は短くなったのでしょうか。

はっきり言って、遅くなりました。
社会はオンライン化したことにより、遅くなったのです。
これはただの怠慢です。
『いつでもできるだろう』
『すぐできるだろう』
『かんたんにできるだろう』
これらの意識が結果的に回数を増やし、合計時間を増やしたのです。

その結果、作り手も「どうせ直すんだろう」という意識が生まれ、負の業務になります。
クリエイティブには致命的です。

オンラインは諸刃の剣

便利になった分、怠慢がおきます。
エスカレーターが完備されたことで足腰が弱くなりました。
ワーブロができて文字が汚くなりました。
携帯電話が普及して待ち合わせ時間を守らなくなりました。
オンラインも同じです。
ぜひ一度、自分の修正指示の仕方を見直してみてください。
一度の修正指示で完成できるように考えてみてください。
その結果でできる、残った時間の運用や、余った経費を確認してください。
こんなものづくりの仕方をしている先進国は日本だけです。

日本が遅い理由

SAMSUNGに勤めていた人が僕の近くにいます。
その会社では、デザイン → 会議で議論 → 修正したら実行。
プロセスは3つです。
これで彼らは展示会のブースなど巨大なものを瞬間的に作ります。
日本が三週間も時間がかかることを、彼らは3日で終わらせます。
こういう話を聞くたびに「日本はものづくり国家」という言葉に、私は疑問しか感じないのです。

ではまた

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