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デザイナーの本気の企画書 | #アートとコピー (3)

この記事を書くのに、すでに三回ほど失敗している。
『アートとコピー』3回目「プロジェクトを動かす企画とは?」
何を書こう?どう書き始めよう。
あの話が良かった、これは勉強になった、納得した…感動してるのにな。

何かを書くとき、とっ散らかった断片的な思いを前に、いつもどうしていいかわからなくなる。

汚部屋を片付けるときの感覚に似ている。
どこから手をつけて良いのかわからない。
とりあえず手を動かすものの、終わりが見えない。
どうしたらきれいに、できればオシャレにできるのか、考えては手を止めて。
整理しようとしても、「いつか必要になるかも」と捨てられない。
結局物が減らないので、積み重ねて、なんとなく揃えて、マシな見た目にしておしまい。

私にとって文章も同じ。
止まっていてはしょうがないと書き出すものの、本筋に辿り着かない。
下手なりに読みやすい文章を心掛け…「読みやすく」の呪縛で何度も手が止まる。
「自分は言葉にするのが下手だな」と結論づけて苦手意識を膨らませてきた。

企画書なんて、さらに苦手だった。
ビジネスにふさわしい言い回しで、なんか良い感じに言葉を書く。
ふだんデザインばかりやっている人間が、そんなことすぐにできるわけないじゃん。
制作会社で働いていたころは、企画書はライターの仕事として分業していたこともあり、自分主体で企画書をつくったことがなかった。今年まで。

昨年夫が阿部広太郎さん主催の連続講座『言葉の企画』に参加したこともあり、夫婦で阿部さんの考えに触れる機会が多くあった。
著書の『心をつかむ 超言葉術』やschooのオンライン講義、
そして今年私が参加している『アートとコピー』の講義。

「企画書はラブレター」
「伝わるとは思い出せるということ」

何度も目にし、耳にし、自分の心に刻みつけてきた阿部さんの言葉だ。
今回の講義で、受講生のみなさんが作った企画書を見て、この言葉の意味を再確認した。

こんな企画できます!一緒にやりませんか?
絶対やりきります!できます!
めちゃくちゃ熱い思いをこめて企画しました!

企画書から声が聞こえてきそうなものは、インパクトがあった。
読んでいて楽しかったし、面白いし、応援したくなった。

一回目の講義に寄せて「囚われること」について書いた
私は今まで「自分がイメージする企画書」にも囚われていた。
パワーポイントで作ったファイル。
毎ページヘッダー、見出し、丁寧な(ようで長い)説明文があって。
正しい言葉遣い、ビジネス文書、時折なんだかうまいことを言って。
わたしたちこんなことできます、あれもできます、
よければよろしくお願いします。
企画書というより、自分たちができることの羅列、メニュー表だったように思う。

ラブレターな企画は、言葉から見た目から、全てから熱を、本気度を感じた。

じゃあ私の本気ってなんだろう。
文章に関しては自信がないが、エディトリアルデザインならやってきた。
このコーナー気にならない? → 目を引くトビラ、魅力的なビジュアル
内容面白いよ! → 全体のトーンで雰囲気作り
つぎのページも読んでね → 期待を持たせる構成
どんどんめくってね! → 自然な目線の誘導
特集をレイアウトするように、企画書をつくる。
全力でデザインすることが、私の本気度を出すことだと気がついた。

言葉選びはまだまだ拙いけれど、自分にはデザインで補うことができる。
デザイナーとして襟をただせば、汚部屋だってきれいにできる。
いままでの苦手意識が薄らいで、これからどうやって企画書に向き合っていけばいいのか、わかったような気がした。


※汚部屋だったのは何年も前の、毎晩終電休日出勤だった、数ヶ月間のことです…。

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