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向田邦子

2019年11月に河出書房から発行された「向田邦子の本棚」という本が手元に来たので、読んでみる。「だれだれの本棚」という類の本は世にたくさん出ているが、この「向田邦子の本棚」はとてもバランスよく纏まっていて、良かった。

向田邦子似の知り合いの女性が「本棚に並んでいる本を見て、人を好きになった」ことがあると言っていたことを思い出す。本棚は持ち主がどんな人なのか、良くも悪くも如実に現れてしまう場所。向田さんの本棚から取り出され紹介される本は、好きな本であったり、未読ながら読みたかった本であり、なにこれ!こんな本があったのか!と驚かされる本など、高確率に自分のタイプであり、焦る、、、。

「食いしん坊蔵書ー向田邦子が選んだ食の本」と題して、食いしん坊に贈る100冊が圧巻だった。1981年の2月に西武渋谷店で開かれた「書店・話の特集」(店長・永六輔)というイベントで、毎月、文化人が選んだ100冊を展示する催しのための選書だったらしい。100冊カラー写真入りで解説付き、手に取って見ていただきたい。時代的に60年代、70年代のものが多いので、調理本、レシピ本の類は、時代的にも暮しの手帖社から発行されたものが多かった。意外なところでは、文豪たちの小説の中で描かれる食べ物、飲食や調理の印象的なシーンを理由に、彼らの代表作も数多く挙げていた。

表面をサラッと的なものが多い印象の「だれだれの本棚」本の中では、全体を通してとても丁寧に作られていてとても好印象の本だった。向田さんが野呂邦暢作品に入れ込んでいた話などますます興味が湧く挿話も盛り沢山。初めての資料としても手元に置いておきたいと思った「向田邦子本」。ずーっと気になる存在だった向田さんのことを知る旅をスタートさせるきっかけになりそうな予感がする。掲載されていた、いくつかのエピソードを読んでいたら読みたくなって、現在「夜中の薔薇」を読んでいるのだけど「寺内きん」のモデルの話が面白かった。その話はまた、機会があれば。

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