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園芸の地下水脈

この植物の育て方は〇〇の育て方に似ているよね。
って気が付くことが、よくある。

10年ほど前のこと。
とある生花店で働いていたとき、尊敬する女性店長から
「趣味でも仕事でも、ひとつの植物を育てることは重要だよ」
と言われた。

当時の僕にはその意味が分からなかったが、分からなくとも、その言葉に従ってきたつもりだ。

僕が趣味で育てているのは主に、ベンケイソウ科のアドロミスクス属という多肉植物。
一般的なベンケイソウ科の多肉植物と比べると、高度に多肉化(葉が膨らむ)し、丸くなるのが特徴だ。
そのフォルムもさることながら、独特の葉模様があることもこの植物群の魅力でもある。

今日まで増やしては枯らしを繰り返し、ほんの少しだけ、その植物の「動き」を掴めるようになった。
そうなると、他の植物にも同じ栽培法が適用できることが分かる。
主に南アフリカ原産の植物もそうだし、乾燥地帯の植物全般の育て方も「ここをアレンジすれば大丈夫だろう」とイメージできる。

そして、そのイメージはだいたい当たる。

現在では、地中海産の植物やオーストラリア産の植物などにも挑戦し、それらの「栽培感」を探っているところでもある。

つまるところ植物には、深いところで相通ずる栽培法がある。
栽培法というと堅苦しく感じるが、植物から発せられる様子や葉の色つや、健康状態など、最低限押さえるべきポイントがあるのだ。

どんな植物でも枯らさずに育て上げる、いわゆる「グリーンフィンガー(緑の指)」をもつひとが存在するが、彼らはきっとそのようなポイントを見つけられる観察力があるのだと思う。
僕のような若輩者には、そんな能力を持ち合わせていないため、少しずつでも利かせられる目を養う必要があるだろう。
そのためには、ひとつの植物をとことん育て続けるほかはない。
長い時間が掛かるだろうが、実はそれがいちばんの近道なのかもしれない…と、今の僕は思う。

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