見出し画像

税ってなに?その機能、目的について

 税とはなにかってのは深遠なテーマだけど、現代の自国通貨建てで国債を発行できる国に関しては財源調達の手段ではないということは知っておきたい。有名なアバ・ラーナーの機能的財政論だ。政府が支出するのに必ずしも税で賄う必要はなくて国債を発行して調達すれば事足りる。もちろんその支出の水準が一国の生産力を大幅に上回ると高インフレを招くことになるのだが。

 つまり税の機能のひとつはインフレの抑制にある。消費税なんてのはその典型でみんなの財布から平等に8%ぬいて消費を不活発にさせることでデフレを促進しているのだ。5から8%に増税されたときに見事に消費が死んだのは記憶に新しい。消費が増えずインフレの兆しもないのにさらに増税しようというのは馬鹿としかいいようがない。

 より広くいうならば税とは人々の行動に働きかける手段、つまりペナルティなのだ。消費税は消費にたいするペナルティだし、所得税は稼ぎすぎることにたいするペナルティだし、法人税は企業が利益をためこむことへのペナルティだ。たばこ税とかわかりやすいね。あれはお前らええかげん禁煙せえよというメッセージであって、ニコチン中毒のやつらはどうせ吸い続けるからたんまり税金とってやるぜグヘヘということではない。

 法人税は利益をためこむことへのペナルティなので、減税するとどんどん利益を溜め込みたくなる。一部の成長企業以外はそれをコストカットで実現したくなる。みんなでコストカットしまくって消費や設備投資が増えず、デフレ継続となる。減税が必ずしもインフレ要因とならない一例である。

 所得税は高すぎる所得へのペナルティだ。累進課税にするとその効果は抜群だ。さらに高い法人税をあわせるとどうなるか。高い給料をもらうよりも会社のお金で接待などと称して飲みに行きたくなるよね。会社だって高い法人税を払うより経費で従業員や取引先に満足してもらうほうがいいとなるだろう。外食産業も儲かる。

 まとめると日本、アメリカ、英国、スイスなどの自国通貨建てで国債を発行できる国は財源確保のための徴税は必要がない。しかしインフレのコントロールや格差是正の手段として重要な役割を担っているということである。だから国債だけで財源を確保できたとしても税はなくしてはならないのだ。今日は触れないけど、MMTの重要な理論に租税が国定通貨の安定的流通に必須というものがある。MMTerにとってはこちらのほうが機能的財政論よりも重要なのだ。それについてはまた後日に。

サポートは執筆活動に使わせていただきます。