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#439 読書論18|かもめのジョナサン(リチャード・バック)

これまでは金城一紀の小説を紹介するコーナーになってしまっていた「読書論」ですが、ちょっとテーマを変えて、いわゆる「名作」と呼ばれている著書を紹介しましょう。

本日はのかもめのジョナサンを紹介します。


かもめのジョナサン あらすじ

舞台、国籍もいつの設定かは不明です。
そして登場人物も一切なく、登場するのはカモメオンリー。鳥さんたちの生活を描いた作品であり、発売されたアメリカのみならず、世界中で愛されている寓話です。

主鳥公(主人公の鳥ver)のジョナサン・リヴィングストンは、「毎日無事に生きられれば良い」というだ他のカモメとは意識が違くて、「誰よりも早く飛ぶ」こと、それだけに全てを賭ける、ストイック極まりないカモメなんです。
で、この物語は、それだけなんです。

とにかくジョナサンが「早く飛ぶ」という事だけを求めて、とにかく自分の力を誇示し、その魅力を伝えるも周りからは理解されず異端児扱いされても、それでも早く飛ぶことに拘り続ける、そんな物語です。

僕がこの物語で一番好きなフレーズは、
「ジョナサン、我々が飛ぶのは食べる為、生きるために飛ぶんじゃないか?」みたいなことを他のカモメが行った時に、ジョナサンがこう語ったフレーズ。

「生きるために飛ぶんじゃない、飛ぶために生きるんだ」
(Not Live To Fly, But Fly To Live)


かもめのジョナサン の魅力

多分、高校3年生くらいだったと記憶してます。
この頃あたりから、この手の英米文学を読もうと思って「はつ恋」とか、「老人と海」とか、「武器よ、さらば」とか、その辺を読んでました。

とにかく、マジでジョナサンが早く飛ぶというそれだけの物語なんですが、それでもこの小説から色々なことは学んだ気がしますし、そうした影響を受けた人は多いので、ここまでの名作として世の中で愛されているのでしょう。


1. 周りに何と言われても、貫き通すこと

これに尽きる気がしますね。
上記の一説がすべてを集約してますが、飛ぶために生きるということ。
周りに何を言われても気にしないということが大事であることを、シンプルですがこの小説から学んだ気がします。

2. 理想を貫くと、いつか同志に出会える

群れの中では異端児でしたが、高速飛行を求め続けた中で、ジョナサンは同志に巡り合うことができました。とにかくスピードを探求するカモメたちしかいない、理想の世界があったんです。
真摯にやり続けると、そうした仲間に出会えるというこの辺の展開も非常に良いですね。

3. そして最後は戻る

同志に出会い、理想の世界にいたジョナサンですが、今度は「当時の自分のようなカモメに教えたい」と、また元の世界に戻るんです。
これはまさに教育の観点ですよね。この辺もビジネスだったりに通じるものがあり、非常に秀逸です。


このように、寓話の中で「誰よりも早く飛ぶ」というそれだけの小説なのですが、色々と響くものがありますね。


かもめのジョナサンが与えた影響

多くのクリエイターにも影響を与えており、恐らくこの僕の好きな2組のアーティストは、この小説から影響を受けてますよね。

SCAFULL KING

僕が2000年くらいにリスペクトしていたアーティストSCAFULL KINGが2000年にリリースした3rdアルバム「SCAtegoly(アルバム論123にて紹介予定)」収録曲に、Beetle Knows himselfというパンク調な(E)かっこいい曲があるんですけど、その歌詞は言うまでもなくカブトムシが主人公なんです。
で、このカブちゃんは、局名の通り「己自身を分かっている」ので、ハチミツをなめるのみが人生と思っており、この曲のサビはこんな感じです。

「生きるために食べるんじゃない、食べるために生きるんだ」
(Not Live To Eat, But Eat To Live)


ザ・ハイロウズ

そして、この小説に対して最もリスペクトが感じられる曲は、ザ・ハイロウズの「14才」ですね。

ヒロトが歌詞で問いかけているジョナサンは、このジョナサン・リヴィングストンのことでしょうし、音速の壁にきりもみするなんてまさにそう。
そして僕がこの曲で、というかハイロウズの歌詞の中で下手したら一番好きなフレーズは下記なんです。

ジョナサン 人生のストーリーは
ジョナサン 一生じゃ足りないよな

これだけ成功しているヒロトを持ってしてでも、人生は濃くて、その一生は短いとジョナサン・リヴィングストンに共感を求めるという歌詞なのですが、ジョナサンだったら共感してもらえると思うこの感性、天才すぎますよね。



まとめ

そんなK.J(かもめのジョナサンの略で、離婚報道中の人ではないです)の紹介でしたが、これ映画化もされてるみたいですね。どういう映画なんでしょう・・・?


あと、小説で完全版が2014年に出たというニュースも見ましたので、機会があれば是非読んでみたいですね。

次はツルゲーネフの「はつ恋」を紹介します!

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