#249 映画論③|菊次郎の夏
映画論も放置していたので書きます!
そんな感じで映画論というよりかは「北野映画論」となってしまっている感も否めないですが、今回も「その男、凶暴につき」「キッズリターン」に続いて、北野映画の中でも異色と呼ばれた名作「菊次郎の夏」を紹介しましょう。
菊次郎の夏 あらすじ
祖母と二人暮らしの少年(10歳くらい)がいます。
この少年の父親は死別し、母親は幼い頃に離別し・・・とある夏休みに母親の住所の手がかりを見つけて、母親に会いにいこうとなけなしの小遣いを持って家を出るんです、が!
速攻中学生にカツアゲされそうになるんです!
しかしながら、寸前で顔見知りのスナックのママに助けてもらい、事なきを得るですが、そんな子が母親を訪ねる長旅に行くのは流石に心配なので・・・暇そうにしていた北野武を「あんた、連れてってあげなさい」と打診。
面倒くさがる武でしたが、旅費を渡されて快諾するも、速攻その旅費をギャンブルで浪費してしまうというクレイジー・ダイヤモンド。
あげく、この少年のなけなしの小遣いにまで手を出します笑
(大穴で儲けるんですが・・・)
で、その後もこの不良中年の武が悪いので、人を騙したり、物を盗んだり・・・という凸凹珍道という感じなのですが、それでもほっこりとした、心温まるロードムービーです。
物語を盛り上げる主題歌「SUMMER」
そして・・・前回の未成年でも触れましたが、ドラマや映画における「主題歌」の存在はメチャクチャデカく、僕のリスペクトする漫画家の森田まさのり先生も「漫画はBGMがあるドラマには勝てない」と言ってました。
それくらい、音楽がもたらす演出力は誰もが認めるところですが・・・
この映画の主題歌、SUMMERはその際たる例でしょう。
とにかく、この曲は本当に素晴らしい。
やはり「夏」っていうのは本質的に、振り返った時に少し切なくあるものと個人的に僕は思うんですが、本当にマジで切ない夏の一コマを彩る、マジで名曲です。インストなのがいいですね。
この曲を聴くと、この映画を思い出しますし、この映画でこの曲が流れるのは本当に沁みる。
理想のタイアップと言えるでしょう。
全ての映像作品と曲が、こうあれば良いですね。
菊次郎の夏 魅力
とにかく「夏」がテーマであることは、タイトルからも主題歌からも分かるんですけど、何がすごいってこの映画は子供向けであり、大人向けでもある点ですね。
一見、子供の夏休みを利用した母をたずねて三千里にも近い、ロードムービーと思わせつつ、この映画の主人公ー菊次郎は実はたけしのことで、たけしの夏=ダメ中年の夏がメインテーマであり、だからこそ親近感があり、愛される作品になっているんですね。
なかなか深いです。
途中で井出らっきょとかグレート義太夫とか、たけし軍団の面々が出てきてそのターンが結構長かったりするんですけど、その辺が長いのも「中年の夏」という意味での深い理由があるのでしょう笑
とにかく、いつ見ても心温まる、面白い作品です。
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