ファスナーの合理化とTCO(総所有コスト)
あらゆる物に使用されているボルトやナットなどの“ファスナー”(締結資材や締結部品とも言います)。皆さんの製品や生産現場でもたくさんのファスナーが活躍していることと思います。それで生産性の向上を図る手始めに、ご使用中のファスナーのTCO(総所有コスト)を調べてみることをお勧めしています。時にねじなどの締結資材に関わる目に見えないコストは、コスト全体の最大85%に達する場合があります。これを削減するなら、製品モデルのライフタイム全体で劇的なコスト削減を実現し、あらゆる産業において生産性を向上させます! では、これからねじの専門会社としてファスナーの合理化によるTCO削減のお勧めの手法についてお話しいたします。
ファスナー合理化の手法
締結部品(資材)のTCO削減を目指す最も簡単で効果的な方法は“合理化”です。つまり“道理にかなう様にして無駄を省き、生産性を高める”ことです。でも、どうやって?と思われることでしょう。まず手始めに製品の全体を見渡し、部品とその共通性を調べます。完成度や機能を損なうこと無く、どの部品を廃止したり共通な部品に置き換えたりができるかを特定し実行します。
この「合理化」により製品の部品点数や種類を減らせるならTCOを削減できます。購入コストは勿論ですが、組立工程における簡素化やロジスティクスに関わる多くの「目に見えないコスト」をも削減できることが重要です。
ファスナー合理化のTCO削減の効果
部品点数が少なく種類も共通しているなら保管場所を減らせます。部品の取り間違いの可能性は低くなり組み間違いなどのトラブルを防げます。使用する部品の種類が少なくなり混入を防ぐための煩雑な管理が簡素化できれば、製品や部品管理のための社内物流における「目に見えないコスト」も大きく削減出来ます。このようにしてロジスティクスのあらゆる分野で簡素化やコストの低減が実現します!
また、単一品としての発注量が増加すれば(たとえ使用する締結部品の種類や総量は減少したとしても)購入単価を抑えることも出来ます。
ファスナー合理化の具体的な方法
「長さ」の合理化
では具体的に見てみましょう。最初のポイントは、使用されているファスナーの小ねじやボルトなど雄ねじの長さの「合理化」です。例えば、わずか3mm差の範囲内で、さまざまな長さの雄ねじが使用されている場合があります。ジャストサイズが必須となる場合を除き、合理化として一部の長さのねじを廃止して同じ長さに統一することができます。
「頭部形状」の合理化
また、ファスナーは色々な機能や要求を達成するために様々な頭部形状を発展させてきました。
この中から最適な頭部スタイルやリセス(ドライブ)を選び、できる限り統一する「合理化」もTCO削減に繋がります。
設計上の特別な要求やいたずら防止などの明確な目的があって、他と異なる頭部形状や特殊なリセスを使用する場合を除き、同一の工具で扱えるファスナーへの統一を検討してみて下さい。締結工具や締結作業が統一されて工具を交換する手間や時間を減らせます。シンプルな作業工程は作業者の負担を減らし、幾種類もの工具を揃える費用も必要なくなり、時間・労力・費用の節約につながります。
逆に、理由もなく習慣的に複数の頭部タイプのファスナーを使用するなら、多種類のファスナーをコスト高で購入するだけでなく、対応する工具を揃えるための購入コストも生じます。加えて、組立作業は煩雑になり、作業者への負担が大きくなるので生産効率は上がらず、利益を損なう可能性があります。
「表面処理」「強度」の合理化
表面処理も合理化プロセスで見逃せない要素です。一つの機械的要求を満たすために用いることが出来る素材やメッキ、コーティングは非常に多くあります。前述の頭部形状のように、締結部品の表面処理が統一できるならTCOを削減できます。
例えば、亜鉛メッキ部品とステンレス鋼部品を併用しようとしているなら、ステンレス鋼部品への統一は可能と思われます。ステンレス鋼部品は、ほとんどの使用箇所で非常に優れた性能を発揮し美観も満足させます。
また、素材の強度も注目できる要素の一つです。単に強ければ良いというものでもありません。中程度の強度で、より延性のある部品を選ぶのがお勧めです。
「ファスナーの合理化」 ポイントのまとめ
このように「ファスナーの合理化」は締結部品(資材)のTCOを大幅に低減出来ます。材質や表面処理、頭部タイプ、サイズなどの統一性を図ることは、製品で使用されるファスナーのTCOの削減に非常に大きく貢献するポイントです。
ファスナーの合理化とTCO(総所有コスト)のについてより詳しく知りたいと思われる方は、ボサードまでお問い合わせください。
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