最近の記事

夜桜と雨

 ヘッドタイトは、窓を照らす。さっき飲んだコーヒーがおわりそうとサチは思った。仕事に疲れて、少しブラウスを開けて、足を開く。街灯が七色にガラスに映るように信号機が赤に変わる。 「渋谷も変わったわね」 友達のユキがコーヒーカップを傾けながらこっちを見ている。ユキとは職場のコールセンターで出会った。私たちは出会ってすぐに打ち解けた。今の職場はもう3年になる。サチの人生では最長勤務で、32歳の誕生日に受けた面接だった。 「私達って友達だよね。出会い覚えてる?」 ユキがまた話しかけて

    • Hosizora 3

      佐田の手記  先程、追跡を開始した。昨日見た夢は、どんな夢であったか。忘れていた。きっといつかは、花が咲くだろうと、小さい庭に、鉢植えに水をあげた。自分が自分でいれる人が大事である。と同時に予測される天気予報が鬱陶しくなった。テレビを消したミンスは、悲しい記憶をけすように、僕に言った。僕は答えた、あなたの記憶を消します。プロレスラーの言っていたことも、消します。ロボットを発明した科学者が、次のフラスコにビンを入れた。二重に重なる、ガラス達を、ミンスはみて思った。僕も、こうし

      • Hosizora 2

        ミンスの手記 冬の街灯を目指したピエロは夕暮れを歩いている。生業は人を殺める事である。また、誰かがピエロの真似をする。溜まったものではない。 道はいつも、寒空である。きっといつかは報われると信じて、奏でるジャグリングは類を見ない。海をわたろうと、ポケットの砂利線を確かめる。ふと思い出す故郷のまち。僕が、まだ化粧をする前の記憶である。 歩く街に、汽笛は響く。いつものようにやってくるかもめは、どのカモメかわからない。水平線を見ている自分をみる。太陽が胸の中に登る。その時、雨がふ

        • Hoshizora

          星空 たちまちドアが蹴り破られた。ミンスはきっと思った。「これは壊れているらしいな」 扉の奥の部屋であろうこの部屋は、真っ暗で窓には月が出ていそうな明るさだ。ここで何泊過ごしたであろう。足は痒く、トイレは臭い。人は嘘をつく。部屋着は薄い、寝れない冷えた身体を、薄い毛布が横たわる。さっき飲んだ水をミンスは探した。この国の水は、きっと美味い。こちらから見た景色と向こうから見た景色。僕はどちらも見たことがある。例えば、渚が風に揺られているように。鉄は熱いうちに打てというのは本

          nasについて

          Nasのドキュメンタリーを見た。 ヒップホップの当事者は俺だと思った。 これから作家の練習をする。 無責任でも書けばいい。 これは中学生に書く。ヒップホップ講座である。 まず初めに、何でもいいから書くのである。 90年代にアメリカ、クイーンズ出身のナズは、特別学級に行っていた。 ナズはラップで人権を訴えた。 すごい人気があった。 友達も死んだ。 悲しい気持ちもたくさんあったと思う。 当時のニューヨークのクイーンズの公営団地はドラッグで溢れていた。 nasのお父さんは楽器を弾

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