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【数学】受験生時代の数学のくふう

すっかり受験シーズンになった。受験生のみなさんには、緊張を自覚して、それをコントロールしようなど気負わずに、ありのままで合格を勝ち取ってほしいと願っている。もちろん緊張しない受験生にもストレートに合格してほしいと願っている。

自分語りをする。受験生時代の私は、数学を得点源としていた。高2までは「やればできた」のだが、高3からは少し数学の点数にも波が出てきた。点が安定しなくなってきたのである。
そんなとき、「ヒューリスティクスを作る」という戦略に出会う。「にしむらもとい」という方がYouTubeにて教えてくれた。「ヒューリスティクスを作る」が分かりづらければ、「思考を手順化する」と読んでくれればよい。これをやったところ、かなり点が安定したため、にしむら氏には感謝しかない。

(現在はその動画はyoutubeにはなく、このサイト上で無料で閲覧できる。)

ここでは一例ということで、私のヒューリスティクスを大公開したいと思う。参考になれば幸いだ。

数学ヒューリスティクス


一般
・文字の定義を確認する
・問題文を意識して丁寧に読む
・解法が浮かんでも、他のうまい解法を少し立ち止まって考える
・サンクコストを恐れない(行き詰まったら別解法)
・複雑な計算をするとき、今自分がどの段階にいるか見失わない
・誘導には乗っていく
・グラフと数式を可能な限り行き来する
・日本語は「数式」「グラフ」に翻訳
・知ってる「有名問題」と似てるか考える
・対称性に気づく→活用!!


計算
・出来るだけ途中式を書かない(計算革命を活用)
・複雑だな、、と思った瞬間に立ち止まってうまいやり方を考える(計算のエチュードを活用)
・複雑な方法しか浮かばない場合、落ち着いて段階を分けて計算(自分のいる位置を見失わない)
・分数は出来るだけくくって、整数の計算に帰着
・積分計算の定数倍は、左辺の分母に寄せておく
・半角、二倍角を混同しない(次数と係数はトレードオフ)
・有理化の「逆」は色んなところで出てくる
・不等式、分母払うとき正負マジ注意
・微分する時、変数のかたまりを置換しちゃうと楽なことある(定義域忘れない)

論証
・自然数・整数に関する証明→数学的帰納法
・十分条件と必要条件を別個に示す
・主張の同値な言い換え
・背理法も視野
・同値の説明をしたいときは、条件に番号振っといて、後で再開する

最大最小
・「実質」何変数関数かを見極める
・一つ固定する→それに付随して固定させるものを文字でおいてそいつをかわりにしてもいい
・存在命題を考えて、消した文字の情報だけは残してあげる(死んだ文字は遺言を残す)
・コーシーとか相加相乗でとりあえずの最大最小を求めてから存在を示すのもあり
・とにかく文字を消していく!!
・定円の内部にある、定点を通る円の半径の最大最小は余弦定理使え!

整数
・①積の形②余り③範囲(どれも整数の離散性による)
・二次式→解の公式の根号部が整数
・数学的帰納法を浮かべる
・素数→めちゃくちゃ大事(特に①②を浮かべる)
・互いに素→素因数
・素因数分解の一意性は強い
・隣り合った2整数、互いに素はクソ使う
・「実験」大事
・必要性でガンガン攻めることが多い(戻れるか(十分性)は後回し)

方程式
・同値性を保つ(崩しても意識的)
・解と係数の関係は有用
・複素数解→複素数平面の議論に行くことがある
・実数係数方程式で、共役も解はよく使う

不等式
・解くとき、同値性意識
・示すとき、直感大切にして、「逆」は考えなくて良い
・示すとき、クッション的な数(示したい不等式の間の数)を考える
・マクローリンは、示したい点の近傍で行う


幾何
・「初等幾何(三角関数含)」「座標平面(空間)・ベクトル」「複素数平面」のどれを主に用いるか始めに決定する
・「回転」→複素数平面が強い
・複素数を用いた回転は、座標平面でも計算手法として出ることがある
・「直交」「空間」→ベクトルが強い
・「平面」「円」→初等幾何、座標平面が強い
・「角の情報」→初等幾何が強い
・綺麗な図を描く

初等幾何
・分かる情報を全て書き込む(辺、角)
・図形が一意に作図できるか考える
・角度しか情報がない場合、辺の長さは任意に楽な値を設定
・相似には目を光らせる(計算量大幅削減)
・中学までの手法でまずは一通り試してみる(時間と計算の削減)→無理そうだったら三角関数
・正弦定理で出てくるのは「直径」
・三角比が一つわかれば、それは角度を特定したことに同じ
・答えが複数出たとき→代入して議論を進め、辺が負になったりするのを見つけて絞る
・有名な定理、議論に帰着できないか考える

座標平面・座標空間・ベクトル
・なるべく「対称性」を意識して座標設定→計算量減らす
・点の回転→複素数かける
・点と直線の距離公式はマジ強い
・三角形の面積公式は使っていこう(1/2忘れない)(幾何ベクトル版も忘れない)
・外積は計算テクとして持っておく
・単ベクとの内積で正射影
・円錐はベクトルの内積使うと表現可能
・対称性の高い図形→座標空間導入でうまくいく可能性(ベクトルだけで攻めない)
・傾きはtanで置くと最大最小とかで使いやすい(微分も簡単になりやすい)
・直線の傾きに文字→通る定点をチェック→恒等式

複素数平面
・「z」「x+yi」「極形式」のどれで攻めるかを大まかに決めとく
・極形式の極意は「三角関数の議論に帰着できる」ところ
・zで行けないかまず考える(計算楽)
・原点(定点)からの距離が決まってる(円絡み)→極形式
・無理そうだったらxyでゴリゴリ
・実数、純虚数の表現は共役使う
・複素数はベクトルに似てる
・隣接した相似三角形→複素数回転
・絶対値の中身が実数になったら絶対値外せる(±気をつける)
・特別な回転角の複素数はそれ特有の式で次数下げや次数上げできる

解析
・有名微分、有名積分は覚えていきたい
・微分可能とかの「定義」の理解
・三角関数→部分積分で同型(→漸化式)
・極限→①式変形②微分利用③はさみ撃ち
・はさみ撃ち→最大最小で挟む
・はさみ撃ち、半端に変数動かして挟むことある
・マクローリンは浮かべておく(評価に有用)
・積分の場合わけ丁寧に(3年ラスト実テ回転体)
・等比数列の極限が存在→公比の範囲or初項0→極限値も場合わけいっぱい
・定積分の置換積分は3パターンある(単調かどうか意識
・logの面積評価、半分のとこで分けることある(本レ)
・積分と等比の部分和の交換→等比の和の積分→計算可能なのとゴミ(0)に分ける→挟み撃ち(本レ)
・和の形を無限に発散させるとき、nがでかい時1番でかい項でくくって代表させる

関数
・二次関数の軸は常に意識
・上凸下凸間違えない
・指数関数、底の範囲(1より大きい、小さい)を意識(対数も同様)
・二次曲線の定義、性質は叩き込んでおく
・合成関数=定数の解の個数で帰納法するとき、定数の範囲は一般化したほうが楽
・楕円→二つの軸の長さを2a,2bで置いて進めるといいことがある

場合の数・確率
・「もれなくダブりなく」(≒全単射≒必要十分)
・確率のとき「何を同様に確からしいとして数えているのか」意識的に(3年ラスト実テ確率)(これは「区別する」ことにつながる)
・漸化式は最初か最後で場合わけ
・カタラン数とか完全順列とかの有名難問は概要をさらっとく
・「実験」大事
・対称性けっこう使う
・3つの数列、推移で漸化式よくある

統計
・センター文章読むのは最小限
・直線上→相関係数±1
・共分散、分散の公式は覚えておく

軌跡
・交点の位置、無理に出さなくてもよい(できるなら出す)


私にとってはお守りだった

以上が私のヒューリスティクスである。すべてを頭に入れていたわけではない。が、試験前にこのメモを見返すことで、確実に「安心」できていたことは確かである。今まで勉強を積み上げてきたことを噛みしめ、自分ならできると心から思うために。私もヒューリスティクス作りを推奨する。

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