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坊主女子になるまでの人生〜生誕から中学時代〜

バブル経済が崩壊し好景気の残り香さえ消え去ろうとしていたであろう平成X年、私は西日本の地方都市で生まれた。

🧑‍🦲幼稚園🧑‍🦲


お寺が経営する私立の幼稚園に入り、毎日般若心経を唱えるなどして奇しくもこの頃から坊主女子としての片鱗を見せる。
当時は何もわかっていなかったが、親がこの幼稚園に決めたのは【世帯収入によって費用が変わるからお得】という理由からであって、我が家は特に般若心経を読む宗教を信仰していないので、費用優先で選んだところにたまたま仏教もついてきたということらしい。

その幼稚園には例えば毎日お昼ご飯の前にはお弁当を作ってくれた母や食材を作ってくれた人々に感謝を述べ、般若心経を唱えてから食すという少々カオスで仏教チックなイベントがあった。
それだけではなく、季節の行事や芸術・教育にも力を入れていた。
改めて思い出すと、本当に親の狙い通りにコスパが高く充実した教育内容の幼稚園だ。
普段から簡単な漢字も含めた読み書きの練習はもちろん、外国人の先生による英語の授業も定期的に行われていた(今となっては何ひとつ覚えてないけれど)。
地元では比較的大きなアリーナで音楽発表会をしたり、年に一度、鼓笛隊を作ってそれぞれ色んな楽器を担当して園の周りを練り歩くイベントもあった。
鼓笛隊の花形は先頭に立って指揮する女の子なのだけど、私は目立つのが好きではなかったので毎年簡単そうで地味な小太鼓を希望して後方からトコトコと演奏しながらついていっていた記憶がある。
音楽発表会でも同じ理由で毎回カスタネットを担当していた。

小学校受験をする子もいたけれど、我が家はそこまで教育熱心ではなかったしコスパで幼稚園を選ぶくらいなので当然公立の小学校へ入ることになり、あっさりと坊主英才教育は終わりのときを迎えた。

🧑‍🦲小学校時代🧑‍🦲

公立なので小学校生活は至って普通だったと思う。
幼稚園の途中からマイナーな病気にかかっていたので、途中普通に学校へ通えなくなるかもしれないという話が出たりはしたけど、概ね普通の小学生として勉強に運動に遊びに精を出していた。

親に許可を取ってはいたけど友達の家に頻繁にお泊りをしすぎて学校から電話がかかってきたり、公園で水遊びをしていたら近所のおばちゃんに1時間くらいこんこんとお叱りを受けたり、多少やんちゃ坊主ではあったかもしれない。

🧑‍🦲中学校時代🧑‍🦲


中学校時代はかなり特殊な生活を送っていたと思う。
先に書いた病気の影響もあり、まず入学から2日目で学校に行かなくなった。
俗に言う不登校である。
中学校の3年間はほとんどの時間を家か特殊学級で過ごしていた。
普通の学生が学校に行っている時間は基本的にテレビを見ていて、ワイドショーや音楽番組を特に好んで見ていた記憶がある。
その他は本を読んだりラジオを聴いたりして過ごしていた。
この頃、深夜家族が寝静まった後に、唯一明かりをつけても迷惑がかからないトイレで貪るように読んでいた松本清張は大人になった今でも変わらず一番好きな作家だ。
勉強に関しては一応教科書を読んでノートにまとめたり、進研ゼミを受講していたので独学でこなしていた。
学校に行かないので誰にも怒られないからと、自分で髪を染めたり切ったりもしていた。
「酢で髪を浸すと茶髪になる」「消毒液をつけると茶髪になる」というネットで仕入れた情報で、髪を染めようとチャレンジしたこともある(気持ち茶色くなったような気もするけど、あんまり変わらなかった)。
とにかく暇で娯楽を欲していたけどお小遣いを一切もらっていなかったので、ネットで安く買ったアイドルの写真を少し高めの値段でファンに売ったりして、今で言うせどりのようなことをして多少のお小遣いを捻出してCDを買ったりしていた。

3年間そんな浮世離れした生活をしていた私にも高校受験の時期がやってきた。
我が家は公立しか選択肢がなかったためその時点でもわりと絞られてはくるのだけど、とことん浮世離れしていたせいで内申点がほとんどないこともあり、バス代がかからず家から自転車で通えて受験当日の成績を重視する(内申点は必要ない)高校を受験することになった。
選択肢がない状態なので逆に何の迷いもなく淡々と勉強をして受験当日を迎えた。
そして試験前日に母がカツ丼を用意してくれたおかげなのか、結果的に無事合格してなんとか女子高生の称号をゲットしたのであった。

あ、ちなみにほとんど3年間不登校だったとはいえ、中学2年生の終わり頃から病気はかなりよくなってきていた。
様子を見ながら登校して社会復帰ならぬ学校復帰への下地も多少できてはいた。
改めて一般的な高校生活を送れるだろうということで、雑誌で見たギャルバッグを買ったりローファーを買ったりして入学の日を待つことにした。

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