0725 眼鏡なしで散歩する

いつも通りちゃんと眠れずに散歩。もう眼鏡をかけるのもめんどくさくて、とりあえず体だけで散歩に出る。

雨が降ったらしくて道がきらきらしてる。視力が測定できんレベルで悪いから、目に映るものすべてがメッセージで、一眼レフで開放で撮った時の背景みたいなボヤボヤした丸い光の玉が、うっすら住宅街の路地っぽいなにかを照らす光景だけ見える。その光の玉の多さに、外灯とか街の明かりってこんなにたくさんあったっけと思う。まじで抽象画みたく見えて綺麗やから、俺の目から見える光景をみんなに見せてあげたい。看板も路地の先も見えんし、住宅街の建物はぜんぶ角が取れてぬるっとしてるし、駅の方に見える光は怖くなるくらい巨大な光の玉にしか見えんけど、割といい景色を独り占めしてる気分になれるから共有してあげたい。してあげたいって誰目線なんて話やけど。

こうやって散歩して歩いてると、緑道に猫がよくおる。猫がよくおる、とか言うたけど、しっかり確認できてないから、たぶん猫。そのフォルムさえぼんやり猫っぽいだけで、もしかしたら世界に一匹しかおらん希少な白狐とか巨大なフェレットかもしれん。これを確かめるためには視力が必要になります。猫(たぶん)はよくこの時間の緑道の真ん中で寝とって、我が物顔で夜の緑道を占有してる。中には猫(たぶん)同士で肩を寄せ合って喋ってるみたいなんもおって、ああいう子らはどういう気持ちであそこに集ってなにを共有してるんやろうな。猫の集会。ちょっと近づいていくと、俺を中心にした円を描くように方々に散っていくから、なんか聞かれたくない話をしてるんかもしれん。猫が人に聞かれたくない話、それぞれの飼い主のじゃらし下手エピソードみたいな愚痴とか、ちゅーるの品質についてとか。はたまた同じ町内で起きた猫の横恋慕の話とか。なにも喋らず横におるだけに見えるけど、あれまじで一体なんなんやろう。そんで、たぶん一回くらいは伝説の白狐とすれ違ってると思うんやけど、俺はただの猫やと思って通り過ぎてるんやろうな。なんの話?

そんでやっぱ住宅街は綺麗で静かなんやけど、緑道の緑とか川沿いの植物とか見てると、住宅街よりも静か。静かっていうか、主張しない方のうるさくなさ。すんってそこにおって、ここにおりますよ、みたいなことも言わん。そりゃそうやけど。ただそこにあるのは同じなのに、我が物顔の度合いがちがうというか。耳をすませばセミっぽい何かが鳴いてるし何を思ってか鳥も鳴いてる。あいつらはなにきっかけで鳴き出してなにきっかけで鳴き止むんやろうな。都会の中でも十分に自然はあって、そこに住み着いてるやつらがおる。この時間に散歩すると猫(たぶん)とかと会える以上に、ふだん見えん景色が見えて楽しい。

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