奈良をカレーの総本山にする
前回の記事で、お店を持つに至った環境とマインドの変化について、私自身のことをペラペラとお話し致しましたが、今回は"菩薩咖喱"というお店のことについて、お話をしたいと思います。
1."菩薩咖喱"というネーミング
"菩薩"という名前を冠して活動をしていると、実にさまざまなご感想を頂きます。「えらい立派な名前やねえ」と嫌味を言われたり、反対に何故かありがたがってもらうこともありました。
『広辞苑』では、"菩薩"という言葉をこのように紹介しています。
この語義の「さとりを求めて修行する人」という一点に"菩薩咖喱"は紐づいています。
まだまだ若輩者ながら、カレーというジャンルのなかでさとりを開きたいという熱量、そして今後真摯に修行を重ねていくという決意、その両方を表現したものがこの名前です。
ちなみに、ロゴのデザインは弥勒菩薩半跏思惟像の手の造形をイメージしています。
2."菩薩咖喱"のビジョン
“菩薩咖喱”のビジョンは、
「奈良をカレーの総本山にする!」です。
以下、詳しくご説明を致します。
まず、私が奈良という土地を選んでカレー屋をやる理由は以下の2点です。
①奈良に魅力のあるコンテンツを増やす必要があるから
②奈良にカレー店が少ないから
関西の他府県の方などからは、大抵「鹿と大仏以外に何があるの?」と聞かれがちな奈良ですが、それだけ広く認知されているコンテンツが少ないのも事実。
先にもご紹介を致しましたが、私は奈良という地に生まれ育ち、これからも奈良を拠点として活動をしていくことを決意しています。生まれ故郷への愛着ももちろんありますが、それ以上に、この場所には訪れる人の心を掴む魅力があると思っています。
奈良でずっと過ごしてきた私にとって、奈良はお気に入り散策コースも気の利いたお店も無数にある魅力的な場所ですし、観光で儲けてやろうというギラつきがあまり感じられない、品の良い感じも気に入っています。
しかしながら、違う土地から訪れる人にとって、その魅力が「わかる人にはわかる」状態というのは、とっつきにくいと感じさせる要因のひとつでもあるのではないでしょうか。(鹿と大仏以外に…のくだりはとっつきにくいと言うより煽られている感じが致しますが、まあとにかくそういうことです)
また、昨今のスパイスカレーブームの影響を受け、その中心である大阪などは特にカレー店の増加が著しく、至るところに「激戦区」とも呼べるような密集地域があります。
マニアともなると、ひとつのエリアで一日に複数の店舗を巡る方も…(私もその一員です)
言わば、大阪はそれぞれの地域がひとつのカレーのテーマパークとも呼べる状態になっているのです。
対して奈良は、近年少しずつカレー店が増えてきているものの、まだまだテーマパーク・ドリームからはほど遠いのが現状です。
以上、ここまでは環境についてのお話でした。
続いて、"菩薩咖喱"の強み、それは
店主のカレーに対する執着がものすごいこと
に他なりません。
その執着(怨念?)について蕩々と語った記事はこちら↓
毎日カレーが食べたいがためにカレー屋になって、日々カレーを作っておりますが、カレーというものは本当に幅が広く、奥も深い。ひと口にカレーと言っても、国もジャンルも様々です。
菩薩咖喱ではネパールのダルバートという形式の定食をメインにしていますが、勿論おいしいカレーは他にもたくさんあります。
大阪におけるカレーの一大テーマパーク化については先述しましたが、大阪に行けば王道スパイスカレー、南インドのミールス、スリランカカレー、出汁カレーなどなど、ありとあらゆるジャンルのカレー店が軒を連ねています。正直、毎日のカレー生活を充実させるためであれば大阪に移住するのがいちばん簡単な方法だと思います。
しかし、それでは面白くない。
私は奈良が大好きで、しつこく住み続けること四半世紀、「鹿と大仏だけ」と煽ってくる連中に中指を立て続けて四半世紀です。
カレーのために県外に赴き、知見を広げることも大切ですが、ゆくゆくはカレーが奈良に来いよ!と思っています。
奈良にいながらにして毎日様々な種類のカレーが食べられる、この妄想を現実にしたい。
つまり、奈良とカレーの結びつきをより強固なものにし、奈良にありとあらゆるカレーを集結させることこそ、私の野望です。
そして、これを私なりの表現に変換すると、
「奈良をカレーの総本山にする!」
となります。
「総本山」には、
①一宗の各本山を総轄する寺院。一宗・一派を総轄する寺。
②比喩的に、ある組織・流派などの大もと。
の意がありますが、ここでは②の解釈に当てはめてご説明したいと思います。
組織・流派の大もと、と言っても、カレーの大もとが奈良、これにピンとくる方は少ないと思います。
しかし、日本におけるスパイスの歴史を遡ったとき、その起源は奈良にあるのです。聖武天皇の治世には、シルクロードを経由して胡椒などのスパイスが伝来した記録が残っています。正倉院には胡椒、クローブ、シナモンなどが奉納され、貴重な薬として用いられていました。
つまり、日本におけるスパイスの歴史を語る上で、奈良は欠かすことのできない起源の地とも言える訳です。
これらの点から、スパイスの歴史のはじまりの地・奈良が「カレーの総本山」を目指すことはごく自然なことと心得ます。
3.まとめ
このようにつらつらと奈良とカレーのことをお話し致しましたが、まとめて申し上げると、
"菩薩咖喱"は「奈良をカレーの総本山にする!」をビジョンに、今後活動していきます。
ということになります。
まだまだ視野も狭く、目の前の課題に追われる身ですが、ひとまずの決意表明を致しました。
2020年2月29日、実店舗のオープンまでついに一週間を切りました。非常に落ち着かない気持ちでこの文章を綴っています。
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