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貯金なし25歳女のHOW TO 脱サラ&スパイスカレー店創業〈前編〉

こんにちは。
菩薩咖喱 実店舗オープンから約3週間が経ちました。


おかげさまで、予想を大きく超える数のお客様に足をお運び頂くことができ、毎日一層身の引き締まる思いで厨房に立っております。

さて、今回は「菩薩咖喱」創業にあたって、準備過程のお話をより詳しくしたいと思います。

具体的に申し上げますと、創業までのスケジュールとお金の話です。

1. 脱サラまでのいきさつ

有り体に申し上げると、私は2019年の秋頃まで、自分のお店を持って、きちんと経営していこうという考えを全く持っておりませんでした

私は大学卒業後、大阪のプラスチック関係のメーカーに就職し、2年と少しの間働いておりました。

このご時世、新卒のもらうお給料などたかが知れていますし、私自身、うら若き女性の常、友人との食事会や顔面塗装道具の類を買い集めるのに忙しく、倹約家と呼ぶには少々支出の多い生活を送っておりました。カレーの食べ歩きにもある程度の金銭を注ぎ込んでいましたが、それも生活必需品のひとつと捉えていたため、節約しようという考えも全くなく・・・そのため、2年強の間に作った貯金は本っっ当に微々たるものでした。

▲外回りのついでという名目でカレー屋に向かう営業時代の私です。

2018年の12月より、カレーのイベント出店を始めた私ですが、会社勤めを辞め、カレーに身を捧げるに際して、大きなターニングポイントになったイベントがありました。

それは「アースデイ奈良」というイベントです。

地球環境について思いを馳せ、行動しようと呼びかけるこのイベントの2019年のテーマは、『こんな"ゆたかさ"はいかが?』でした。

私はこれまで環境問題について、四六時中考えを巡らせてきた訳ではありませんでしたが、作るカレーは野菜やお肉やお魚、スパイス、油、塩などとてもシンプルな材料のみを使用しており、体にも環境にもストレスの少ない料理である自負があったので、なにか共鳴するところがあるのではと思い、このイベントに参加させて頂く運びとなりました。

それまで菩薩咖喱は、顔見知りの方が主催の小規模なイベントや、学生中心のイベントへの参加が多く、1000人を超える人数が参加する規模のイベントへの参加は初めての挑戦でした。
幸い天候も良かったため、用意した70食ほどのカレーはおよそ1時間で売り切れとなりました。

大勢の初対面の方が自分の作るカレーを買い求めて下さり、目の前でおいしいと言って下さること、これは当時の私にとってほとんど初めての経験でした。
「自分がカレーに身を投じて拵えたものを、人が喜んでくれる、これが"ゆたかさ"ってヤツか・・・」と感じ入った単純な私は、その翌日、職場の上司に「カレーを真剣にやりたいので退職させて頂きたいです」と相談、周囲に心配されながら、2ヶ月後の2019年6月に退職しました。

2. 間借りっていいな

お店を始めるに際して、経済的に大きな負担となるのは

・設備投資
・物件の家賃

この2点が主になってくると思います。

会社を辞めた時点の私には、「いつかお店を構えたい!」という漠然とした目標はありながらも、先述の通り貯金なし計画なしの二本立てでした。

とりあえず一旦間借りでやるんやったら、初期投資もそんなにかからんし、家賃も普通の物件より安そうやし、いけるんちゃうか
と軽率に思い立ち、よく通っていたダイニングバーのオーナーさんのご厚意で間借り先を確保し、6月中に奈良市内の椿井市場という商店街で間借り営業を開始しました。

間借りという形態の特性(利用した日数に応じて地代を支払うなど、融通がききやすい)とオーナーさんのご厚意により、近鉄奈良駅から徒歩10分以内の好立地にも関わらず、格安の家賃でお店の営業が可能になったこと、これが何の準備も資金もない私にとっていかにありがたかったことか(本当にご厚意ありきのスタート、この先の人生、こちらのお店の方角に足を向けて寝られません・・・)

そのような経緯で、いつまで続けるか、ということはあまり考えずにスタートした間借り営業ですが、この期間に私が心掛けていたのは

・ターゲットの設定
・売上の推移の記録、観測

この2点でした。

まず、奈良の街なかで、無名の新人が提供する、ダルバートという耳慣れないスタイルのカレーを求めてやって来てくれるのはどのようなお客様か、少しずつデータを集め、ターゲットとなる層を設定しました。
ターゲットをはっきりさせることで、提供する料理、宣伝の方法などに無駄がなくなると考えたからです。

そして、経営というものをしっかりと理解していないながらも、日々の売上を記録し、支出と照らし合わせて「ちょっと儲かった」「渋い」など簡単な記録を続けました。

3. 猿でもできる!はじめての資金調達

間借り営業を始めて3ヶ月目、夏の暑さも和らいできた9月中ごろ、私は偶然Twitterでこのような取り組みを知りました。

奈良県起業家支援事業補助金。

簡単に言うと、県内に住んで、奈良県が抱える地域課題の解決に何らかのアクションをともなう起業をすることで、最大200万円の補助金がもらえるというものです。

私の場合、奈良県に住むという条件は既に満たしていました。学生時代から奈良市に住んでおり、2019年の8月には「いつかここでお店をできればいいな」ときたまちエリアに引っ越し済み、そのため第一条件は難なくクリア。

そして、奈良県の地域課題の解決・・・という部分に関しては、この土地に住んでいるものとして、主に観光の面で課題があるのだろうという予想が容易でした。

このような公募に参加するのが初めての私は右も左もわからないまま、起業の相談を無料で請け負ってくれる窓口を探し、補助金の申請書を握りしめ『奈良県よろず支援拠点』というところを訪ねました。

『よろず支援拠点』とは、国が各都道府県に設置する、中小企業・小規模事業者のための経営相談所です。

自己資金も大してないのに、計画も不十分なのに、起業したいなどと抜かして訪ねてきた小娘こと私、さぞかし怒られるのでは・・・と震えながら扉を叩いた私に、コーディネーターさん達はとても優しく、事業計画の立て方について解説して下さいました。先に結果を申し上げますが、私がこの度、起業家支援事業補助金をいただくことができたのは、99.7%よろず支援拠点さんのおかげと言っても過言ではありません。勇気を持って相談すれば、猿でもお店が開けるのではなかろうか。と思えるほどの手厚さです。間借り先のお店とよろず支援拠点さんは、我が家からどちらも近い方角に位置するので、足を向けて寝られない方角もほぼ一致しており、大変助かっております。

漠然と起業を考えている方、お店の経営に関してお悩みをお持ちの方、どなたでも無料でご相談ができますので、「とりあえず何から始めていいかわからない・・・」という方には、真っ先にこちらへ足をお運びいただくことをお勧めいたします。

事業計画を立てる際、間借りをしながら漠然と意識していたターゲット層の絞り込み、売上の記録がとても役立ちました。

そして、2019年10月、奈良県起業家支援事業補助金の内定を頂き、この資金をもって「菩薩咖喱」の実店舗オープンに向けた本格的な動きがスタートした次第です。

〈後編へ続く〉

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