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色々な価値観のフランス語話者(フランコフォン)中で仕事をするーびっくり人材編 その1


私が今働く病院はモントリオール市内でも東側に位置している。職場の会話、記録、すべてがフランス語環境。
病院で働く職員もフランス語圏からの移民が大多数を占める。勤め先は3交代、勤務帯固定制なので(日勤:7時45~16時、準夜:15時45~24時、夜勤:23時45~8時、残業などしない限り、各固定の勤務帯で働くので、交替制ではない 例→日勤者は基本年中、日勤のみ)
特に人数が少ない深夜帯となると、移民のみで構成されているメンバーの時も多くなる。
例えば、私の現在の勤務先の病棟では16名の患者さんを看護師2名、介護士2名で看る。
夜勤のチームの看護師は私を含め3名、これでずーーっと夜勤をまわす。ギリギリというよりも実際人員不足なので、私以外の二人が人員不足の日に休みを削り超過勤務として仕事を増やすか、院内の派遣部署(英語だとフロートナースという)から准看護師が補填されるか、準夜の看護師に強制残業(TSO : Temps supplémentaire obligatoire)という非人道的な16時間労働を強いて自転車操業をしている。
ケベックの慢性的な看護師不足というのは年々厳しくなってきており、コロナの影響でまた大打撃を受けた。

人員不足、「人数」が足りているだけで良いのか?
人員不足を鼻先の人参でつる?

医療従事者の慢性的な人員不足、また福利厚生での職員の夏季、冬季の長期休暇、それで医療施設は毎回と言っていいほど打撃を受ける。これはここで働くようになって初めて身をもって実感した。長期休暇を交代でとれるのは良いことだが、その間の穴埋めは?場合によっては、日本は考えられないようなことが次々起こることになる。
長期休暇は(一人一回に1~4週間ほど)つい最近始まったことではなく、医療関係だけでなく、公私共にほぼ全ての企業にそのシステムがある。誰かが休暇の間はもちろんその人数が足らず、当然のことで穴があく。お互い様なので、残りの人数で勤務調整をしたりということはあるが、フルタイムで働くと休みを削って入るというのはそれなりの健康リスクがあり、家族のある人には難しい。しかし、政府/病院側は「対価を払うので気力と体力があるならいくらでも働いてくれる人は大歓迎!!」でその有志の中には数週間休みを全く取らず、ひたすらお金の為に働く、というのを繰り返すことになることもある。(労働の基準の法律というのはどうなっているのだろうと、まだ調べはしないが気になるところ。)
しかし、、その働きます!と言う有志の中には。。。

それでも、大歓迎?なのか?

この話をするとどうしても語らずにはいられない准看護師がいる。
州管轄の医療施設にはほぼ全て院内派遣部署というものがあり、准看護師は大多数がここに所属し、事前にオリエンテーションを受けた院内の色々な部署に1日~数年単位と大きな差があるが、上から配置され働くことになる。私も今の部署に入る前は数少ない「夜勤の院内派遣看護師」で働いていた。
とりあえず、看護師にとっては新人看護師の入門編という感じの部署だ。

そこでもひと際目立つアフリカからの移民のE。彼女は休日返上や16時間勤務を進んで請け負うこともも多く、人数不足の日にはこの人と何度となく絡むことになるのである。

まず病棟に着くとパソコンでYoutubeを開くのが優先

まず、信じられますか?
これは以前に働いていた老年内科(75歳以上を対象としたまぁ疾患的にほぼ内科)にいた時。その日人数が足りないと、勤務直前になって知らされる。準夜も誰も希望で残業で残る人はいない(そりゃそうだ、前の勤務から突然、上から宣告を受けて続けて16時間働くことになるんだから)。そこでその穴を埋めにやってきたのが彼女である。
申し送りを過ぎ、彼女はのそっと挨拶もなくナースステーションに入ってきた。
「こんばんは、今日働く准看護師の方ですか?」

挨拶もそこそこに続ける。手にはスマホが握られている。

「待って。このパソコンのコードは?」

こちらは一同「???」

その病棟は一律特記事項は申し送り項目に手書きで記載されており、准看護師の受け持つ患者は、担当の看護師が責任を持って与薬なども確認、急変時なども対応することになっている。まずは申し送りをしないことには始まらない。
しかし、この彼女はまずパソコンを開かんことには、という雰囲気。勤務表、給料明細に至るまでネットで管理されているため、そういうのを到着早々オンラインで確認するのかと思いきや、なんとおもむろにYoutubeを開くではないか。
初対面、来て早々挨拶もしない、そしてこの行動。一緒に働く現地人のベテラン看護師Mさんと「え?ヤバくない?」のフラグが立つ。

どうしようもないので、私とベテランMさんはまず巡視から始め、戻ってくるとスマホで誰かと話している。

「担当の患者さんの送りをしますよ」

不服気に「あぁ、で?何人なの?」
基本准看護師の方と働くときは12名持ってもらうと説明、送りを始めようとすると、、

「冗談じゃない。それは多すぎでしょう。そんなの聞いてない、話にならない。もう帰るわ。」

「え?」「え?」

どういう風に聞いているか知らないけど、うちの病棟の通常であり、今日に限ったことではないとMさんと必死に説明、不服ながら、相手も渋々了承で申し送りを始める。
こんなに暗雲の立ち込める夜勤、初めてだよ。


長くなるので、(その2)へ続きます。
看護師になる道のりを書く途中ですが、たまにこちらで働いてみてびっくりしたことなども織り交ぜていこうと思います。
読んで下さってありがとうございます。


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