おさかな屋さんのひとりごと #1
緊急事態宣言に伴う外出自粛により、例年よりも「春らしさ」を感じられないまま、4月、5月を消化してしまった印象の方も多いと思います。気が付けば6月も終盤、本来であれば梅雨真っ最中、暑さも半端なく過ごしづらい日々なはずですが、今年はマスクも必須な状況なのでプラスのうっとうしさがありますね。
さて、梅雨の時期に旬を迎えるおさかなはたくさんあります。「梅雨の水を飲む魚」といわれます。代表例として、「入梅いわし」、「梅雨いさき」。そのほかに「きす」、「はも」なども有名です。
でも今回は、#0で宣言したとおり「本まぐろ」を取り上げたいと思います。
本まぐろと聞いて頭に浮かべるのは「大間の本まぐろ」でしょうか。毎年初競りのご祝儀相場で高額な取引でニュースになってます。一本釣りが主な手法で、脂ののりと質ともに最高の部類です。
その大間と津軽海峡をはさんで対にある「北海道 戸井」も有名です。延縄という漁法で捕りますが、処置が迅速なので見質が非常に良く、色変わりもしないので、お寿司屋さんなどで人気だそうです。
「大間」と「戸井」が人気を二分しますが、まぐろは回遊魚のため全国、または世界各国で漁獲され、それぞれの特徴、おいしさがあります。
さて、この梅雨の時期に大量に捕獲され、量販される本まぐろの産地があります。「ゲゲゲの鬼太郎」の作者水木しげる氏の出身地、鳥取県境港です。この時期のマグロは、まだ魚として若いため、中とろ、大トロもあっさり、赤身も味が薄いのですが、何よりも大量にとれるためとにかく安い!天然の本まぐろが低価格で食べられるというのはただただ魅力です。私の鮮魚店にも丸(頭がついている)の状態でたくさん入荷しておりますので、解体しながら説明したいと思います。
今回の本まぐろは約40㎏、この時期のマグロは小型です。大きくても90㎏くらいでしょうか。このサイズのマグロは、よく解体ショーで見かける刀を使わずに、普通の出刃包丁(もしくは牛刀)で卸します。
片側の身を卸すと中落ちがあります。余談ではありますが、人気のねぎとろ、葱は関係ありません。中落ちや、皮についた身を「ねぎ取る」ことが由来となってます。最近よく聞きますね。
同じように骨をはがしていきます。「丸」の状態から「ロイン」、「コロ」となっていきます。「コロ」から「柵」をとったものが店頭に並んでいます。よく店先で聞かれることなのですが、筋がないところを選んでといわれます。ポイントとしては筋目がまっすぐで、等間隔で平行に並んでいる柵(①)が食べやすいです。しかし、脂が強い部位に近づくほど筋が込み合ってきます(②)。脂がのっておいしいのですが、少し筋が気になってきます。そういうところは筋に対して垂直に切るとあまり気にならないと思います。
コロの状態
①の柵
②の柵
もちろんそのまま食べてもおいしいまぐろですが、この時期の脂の薄いまぐろは、ヅケにして食べてもおいしいです。たくさん買っちゃって残ってしまった場合もヅケにすれば翌日もおいしく召し上がれます。市販のたれも売っていますが、ご家庭にあるお酒としょうゆとみりん、1:1:0.5(お好みで調節してください)のたれに20~30分漬け込めば出来上がりです。どんぶりにしてもいいし、粉をまぶして揚げてもおいしいです。今だけとてもお買い得に手に入るので、天然のおいしさを味わってほしいです。
(また入荷した際、さらに写真を追加します。)
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さて、次に紹介するおさかなは本まぐろの餌にもなる「いわし」です。先ほども出ました「入梅いわし」と称される旬真っ盛り。ご家庭での簡単なさばき方を交え紹介したいと思います。
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