陶ばいせん - 概念を変える焙煎器【陶ばいせん】は、クラブハウスの朝ラジオから始まった Thanksヨッシー
2019年末、私Boooogoは、陶器の焼酎サーバーの廃棄品を使って珈琲の焙煎するというアイデアを思いつきました。そこで、同級生の鈴木さんに2020年5月28日に開発と製造の打診をしました。彼は快く協力してくれることになり、設計図を何度も書き直し、ついに試作に取り組むことになりました。
試作第一号機の完成と同時に、2020年7月10日には初めて生豆を購入しました。翌日、回転するレバーがついた陶器の焙煎器(当時は名前がありませんでした)で初めての焙煎を行いました。その焙煎器は独自の設計で、自立する土台も付いていました。
その後も2号機、3号機の制作が進み、2020年7月18日には2号機を使って私自身が実家の庭でキャンプのように初めての焙煎を行いました。この時、私と鈴木さんは多くの購入者が現れることを期待していました。
でも、焙煎器には【致命的な欠陥】がありました。焙煎具合が見えず、毎回同じように焼けず、希望のタイミングで焙煎を停めることができないのです。この欠陥のために製品の販売は実現しませんでした。
そのような中ではありましたが、設計者の鈴木さんの奥さんはその焙煎器を非常に気に入り、週に一度、2〜3回の焙煎を続けました。最初は2kgで購入していた彼女も、5kg、8kgと1回に購入する生豆の量も増えていきました。
彼女は私に会うたびに「うちの旦那にこの仕事をくれて感謝しているわ。毎日、焙煎した珈琲を飲むことができて幸せよ」と言って、毎回焙煎した珈琲豆をくれました。
私は、売れなくてもただ一人喜んでくれて愛用してくれる人がいるだけで、この焙煎器を企画したことが良かったと思うようになっていきました。
しばらくして、売れ行きが思わしくないまま、諦めかけていた時、2021年6月21日に音声SNSのクラブハウスで知り合った岩田ヨッシーさんと面会しました。私たちはさまざまな話題を共有しましたが、その中に焙煎器の話もありました。
ある日、ヨッシーさんは興奮しながら「この陶器の焙煎機で焼いた豆で淹れたコーヒーは、今までの珈琲の概念を変える味だよ、すごいよ♪」と絶賛しました。その瞬間、私は彼の情熱がこの焙煎器に注ぎ込まれたことを感じました。
その後も、ヨッシーさんは「陶器」と「焙煎」の言葉を組み合わせて「陶ばいせん」という名前を考え、彼のパートナーである きんのいちごまきさんの意見も取り入れながら、2021年8月15日にバージョンアップされた「陶ばいせん」が完成しました。
そのころ並行して進んでいたヨッシーときんのいちごまきさんが企画したお店「棚田カフェ」が2021年7月18日にオープンしました。その時は、土台も今とは異なる姿だった試作3号機(まだ陶ばいせんではない)で焙煎した豆を使ったコーヒーが提供されました。
もちろん、焙煎しているいちごまきさんの絶妙な焙煎具合と焙煎したてのフレッシュなコーヒーが飲めることもあって、たちまち人気商品になりました。
しかし、途中
でヨッシーさんの体調が悪化。きんのいちごまきさんが一人で店を切り盛りしていました。。
2021年9月23日には棚田カフェが閉店してしまいました。彼の体調は詳細を明かすことはできませんが、
ますます悪化し、手術を受ける必要があるほどでした。私は彼と一年以上も会えずにいましたが、2022年8月16日にヨッシーさんが亡くなったとの知らせを受けました。
ヨッシーさんが亡くなるまでの出来事を聞いた時、彼が陶ばいせんを愛していたことが明らかになりました。手術後、彼は施設に入所し、看護師さんに「陶ばいせんは素晴らしいんだよ!」「コーヒーの概念を変える味なんだ」と熱心に、ニコニコ笑いながら、陶ばいせんを勧めていたそうです。
そして現在、陶ばいせんは全国で約15台の愛用者がいるアイテムになりました(2023年5月現在)。
【致命的な欠陥】だと思っていた①焙煎具合が見えず、②毎回同じように焼けず、③希望のタイミングで焙煎を停めることができない、にも関わらずです。
現在のご愛用者さんは、焙煎の時間を楽しみ、中の焙煎具合の違いも楽しみ(同じように焼けるらしい)、自分の家族や仲間、そしてプレゼントに自家焙煎のコーヒー豆を渡しているようです。それを楽しめる方がこの陶ばいせんのご利用者様になるのだと思います。
私たちは現在、さらに12台の追加生産に取り組んでおり、そのうち4台が完成しました。ゆっくりと時間をかけて、陶ばいせんを愛し、使ってくださる方々にご紹介していく予定です。
ヨッシーさんの思いは陶ばいせんにしっかりと受け継がれています。彼の情熱と愛情が込められた陶ばいせんは、その特別な味わいと使いやすさから、あのころと比べ、ますます多くの人々に支持されるようになりました。
陶ばいせんの愛用者たちは、その独自の焙煎方式に魅了されました。焙煎器の内部には、豆が回転しながら均等に加熱される仕組みが取り入れられており、豆の風味を最大限に引き出すことができるのです。さらに、陶器製なので熱の伝導性が良く、陶器ではないほかの手段に比べると味わいに特徴が出ます。
陶ばいせんを使用したコーヒーは、従来の珈琲とは一線を画し、深みのある香りと豊かな味わいが特長です。ヨッシーさんの言葉通り、多くの人々が陶ばいせんで焙煎した豆から淹れられるコーヒーに出会い、その味覚体験を通じてコーヒーの概念が変わっていくはずです。
棚田カフェの閉店後も、陶ばいせんを愛し続ける人々は自宅で焙煎を楽しみ、その味わいを共有しています。
陶ばいせんの成功は、ヨッシーさんの情熱と陶ばいせんを支えた鈴木さんの協力、そして私Boooogoの想いが重なり合った結果と言えるでしょう。私たちはヨッシーさんの夢を受け継ぎ、陶ばいせんを世に広める使命を果たすために努力しています。
現在、追加の生産に取り組んでいる陶ばいせんは、ますます多くの人々に愛される存在となっています。私たちは、これからも一人でも多くの方に陶ばいせんの魅力を伝え、その特別な味わいを楽しんでいただけるよう努めてまいります。
陶ばいせんはただの焙煎器ではなく、ヨッシーさんの情熱と愛が詰まった存在です。
彼の喪失感は私たちにも深く伝わり、彼の思いを胸に、さらなる成長と発展を目指しています。
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