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【恒例洋楽新年企画】DJ Boonzzyの第65回グラミー賞大予想#12(完結編)~主要4部門

さていよいよ第65回グラミー賞の授賞式もあと一週間ほどに迫り、この大予想ブログもようやく最終、主要4部門の予想の回になりました。昨年はコロナによる授賞式日程の延期などもあった関係で、1月22日にこのシリーズブログの第1回を書いてから完結する4月3日までたっぷり10週間かけて連載したんですが、今回は開催日が例年の時期2月5日(日本時間2月6日)に戻ったにもかかわらず、第1回をポストしたのが1月8日。今日までわずか3週間強と、去年の3分の1の期間で完走。しかも昨年より予想部門数が3つ増えてたわけですから、まあ我ながらよくやったな、という感じです。まあそういうスケジュールだったので、主要4部門の予想をこのブログで上げる前に、先日1月24日開催の吉岡正晴さんとの「ソウル・サーチン・ラウンジ〜グラミー賞大俯瞰・大展望・大予想会」で発表することになっちゃいました。イベントに来られた方は既に予想内容ご存知ですが、そこで発表した予想をここでご披露して今年のこのシリーズの完結編とさせて頂きます。そのイベントの様子は、吉岡さんnote.comで記事でポストされてますので下記のリンクからどうぞ。

折しも授賞式当日のパフォーマーもこの週末に発表され、バッド・バニー、メアリーJ、ブランディ・カーライル、ルーク・コムズ、スティーヴ・レイシー、リゾ、サム・スミス&キム・ペトラスらのパフォーマンスが予定されてます。あとまだ発表されてはいませんが、今年に入って大物ミュージシャンの訃報が相次いでますから、去年もテイラー・ホーキンス追悼パフォーマンスがあったように、今年はジェフ・ベック、そしてデヴィッド・クロスビー追悼パフォーマンスが企画されてるんじゃないか、と睨んでます。やるとしたらどういうメンツでトリビュートするのか、大変興味ありますね。
ということでいよいよラストの主要4部門の予想、まずは新人賞部門から

51. 最優秀新人賞部門(Best New Artist)

  Anitta
  Omar Apollo
○ DOMi & JD Beck
  Muni Long
  Samara Joy
  Latto
◎ Måneskin
  Tobe Nwigwe
  Molly Tuttle
✗ Wet Leg

去年と同様今年のノミニー構成をまず見てみましょう。まず一見して目に付くのは圧倒的に女性アーティストの割合が多いこと。男性は白人R&Bシンガーのオマー・アポロ、天才ジャズ・デュオDOMi & JDベックの片割れのベックの方、マネスキンの2人とナイジェリア系アメリカ人、トーベ・ンウィグウェの5人なのに対して女性は10名と圧倒的女性上位になってます。去年はオリヴィア・ロドリゴなど女性5人対グラス・アニマルズの4人を含めて男性8人とほぼ対等だったんですが。あと、分野的にはロック系2組(マネスキン、ウェット・レッグ)、R&B・ヒップホップ系4組(オマー・アポロ、マニー・ロング、ラット、トーベ・ンウィグウェ)、ジャズ系2組(DOMi & JDベック、サマラ・ジョイ)、カントリー系1名(モリー・タトル)、(ラテン)ポップ系1名(アニッタ)と、今年もいろんなジャンルをカバーして多様性をアピールしてますが、なかなか去年のオリヴィアのような強力な候補がいない状況。

これも毎年言ってますが、ここ最近ノミネーションの選考プロセスがかなり透明化されているにもかかわらず、この部門の資格基準が「対象期間中に一般大衆に認知されるブレイクスルーを達成し、音楽シーンに特筆すべきインパクトを与えたこと」と非常に曖昧かつ主観的に判断され得る定義になってるため「何でこのアーティストが選ばれてるのにあのアーティストが選ばれてないの?」という事態が起きることが多く、今年も例外ではないですね。例えばかなりアメリカ音楽シーンにアンテナ張ってるつもりの自分でもトーベ・ンウィグウェさんサマラ・ジョイさんの名前は今回初めて聴きましたから、この2人が「一般対象に認知されるブレイクスルーを達成した」というのはかなり苦しいんじゃない?って感じです。一方、この定義により当てはまるのに、この部門以外のジャンル部門にノミネートされてるザック・ブライアンとかコディ・ジョンソン、レイニー・ウィルソンCMAACMでは堂々新人賞受賞してます)といったカントリー系のアーティストや、マディソン・カニンガムゲイルSOYにノミネートされてるのに!)、ミツキ、リナ・サワヤマといった、明らかに去年ブレイクスルーしたシンガーソングライター達が全く無視されますね。特にミツキリナは共に日本人ということでノミネートされてたら大いに盛り上がったんですが。あと、自分の予想ではTWICEもチャンスあるのでは、といっていたのですが、Kポップには関心なさそうなグラミー・アカデミーからは見事に無視されてます。

さて、前置きが長くなりました。肝心の予想ですが、本命◎はずばり、マネスキンと見ます。世界的には2017年頃からブレイクしてるんですが、全米で「Beggin’」で全米ロック・エアプレイ・チャート16週1位とブレイクしたのは一昨年10月だったから対象期間の問題ないこと、そして何よりも去年のグラミーのノミネート発表イベントに呼ばれてライブしときながら去年はノミネートされなかった、という経緯もあるので、他に突出した候補のいない中、彼らの受賞は大いに可能性あります。彼らが取ると、1969年第11回のホセ・フェリシアーノ以来の非英米系アーティストの受賞という歴史を作ることになりますね。

そのマネスキンに唯一対抗○しそうなのは、フランス人キーボーディスト、DOMiとアメリカ人ドラマーのJDベックのジャズ・デュオ。アンダーソン・パークに見出されて、デビュー・アルバムではそのアンダーソン・パークの他、サンダーキャットハービー・ハンコック、更にはスヌープバスタとも共演している、高速で複雑なドラミングのJDベックとそれにグルーヴを合わせたキーを弾くDOMiは二人とも20歳そこそこで言わば天才ミュージシャン。こういうのってグラミー・アカデミー、好きそうですよね。そして穴✗は昨年英米のロック・シーンで大きな話題になり、アメリカでもデビューアルバムがトップ20入りしていた女性2人組のインディ・ロック・デュオ、ウェット・レッグに付けます。彼らはグラミーの翌週発表のブリット・アウォードでは最優秀新人、最優秀UKグループ、最優秀UKロック・オルタナ・アーティスト、そして最優秀アルバムの4部門ノミネート。来月初来日も果たします。彼らも含め、この3組どれが取ってもおかしくないと思うので楽しみですね。

52.最優秀アルバム部門(Album Of The Year)

  Voyage - ABBA
  30 - Adele
  Un Verano Sin Ti - Bad Bunny
  Renaissance - Beyoncé
  Good Morning Gorgeous (Deluxe) - Mary J. Blige
◎ In These Silent Days - Brandi Carlile
  Music Of The Spheres - Coldplay
○ Mr. Morale & The Big Steppers - Kendrick Lamar
  Special - Lizzo
✗ Harry’s House - Harry Styles

今回のノミネート発表で、この部門アバメアリーJコールドプレイ以外はほぼ予想通りというか、あまり驚かなかったですね。アデル、ビヨンセ、ハリー・スタイルズ、ブランディ・カーライル、ケンドリック・ラマー、バッド・バニーの6作は昨年11月の自分のノミネート予想でも挙げてましたから。その時の記事はこれ↓です。

アバは去年もROYノミネートされてたように一種のリスペクト票が集まったということでまあ納得できますし(ノミネートに値するかは微妙ですが)、グラミー・アカデミーコールドプレイに甘いのは今に始まったことではないのでコールドプレイもある程度「ああ、なるほどね」という感じで聴いてました(ちなみにこのアルバムで「My Universe」で共演しているBTSもフィーチャード・アーティストということで晴れて主要4部門ノミネートを果たしたことになります)。一番意外だったのはメアリーJ。アルバム出てたのは知ってましたがあまり印象なく、今回聴き返してみましたが他の明らかに去年を代表するような存在感はあまり感じられず。唯一このアルバムのノミネートに大きく寄与した要素として考えられるのは、タイトル曲のプロデュースが、シルク・ソニックを手がけたDマイル(今年最優秀プロデューサー部門にもノミネート)とグラミー・ダーリンのH.E.R.であることくらいでしょうか。もちろんメアリーJは素晴らしいアーティストですし、彼女のこの作品も悪くないとは思いますけど、この部門にノミネートされたのにはちょっと違和感がありますね。それだったら昨年大ブレイクして、現在もロック・アルバム・チャートとアメリカーナ・フォーク・アルバム・チャートの首位を独走中のザック・ブライアンの『American Heartbeat』が入っていても良かったんではないかと思うんですが。

で、予想ですが、今年のグラミー予想の自分のシナリオとして掲げたのは「今年は2017年第59回以来のビヨンセとアデルのガチ対決モードだが、今回はビヨンセもアデルも主要部門の受賞はない」というもの。ビヨンセアデルのファンの方々には申し訳ないのですが、今回の『30』と『Renaissance』はそれぞれそれなりのクオリティのある作品ですが、それぞれ前回の『25』と『Lemonade』と比較して、彼女達の作品としてはレベルは一段落ちると見てるんです。それに単純にこのノミニー・リストを見て「このアルバムは取るべきレベルの作品だな」という順番に並べると、この2人のアルバムはトップ3に入ってこないんですよね。では誰が受賞するか。自分は思うにこの部門はブランディ・カーライル、ケンドリック・ラマー、ハリー・スタイルズの3つ巴の戦いだと思ってます。どれも甲乙付けがたい素晴らしいアルバムですし、それぞれ2022年を代表する作品、という存在感を充分有してます。個人的にはこれでこの部門4回目のノミネートとなる(ブラック・パンサーのサントラも入れると5回目)ケンドリックに2004年第46回のアウトキャスト以来史上3作目のヒップホップ作品受賞を決めてもらいたいなあ、と強く思ってるんですが、本命◎はタッチの差でグラミー・ダーリンの地位をここ数年でガッチリ固めたブランディ・カーライルなんだろうなあ、と思ってます。ケンドリックは残念ながら対抗○ですが、いやあ取って欲しい

そして前作を遙かに上回る極めて完成度の高い、捨て曲が一切ないポップ・アルバムを構築したハリー・スタイルズもこの2作がなければ間違いなく受賞の可能性が高いと思うんですが、予想としては穴✗ということになってしまいますね。

53.ソング・オブ・ジ・イヤー(Song Of The Year - 作者に与えられる賞)

  abcdefu - GAYLE (Sara Davis, GAYLE & Dave Pittenger)
  About Damn Time - Lizzo (Melissa "Lizzo" Jefferson, Eric Frederic, Blake Slatkin & Theron Makiel Thomas)
✗ All Too Well (10 Minute Version) (The Short Film) - Taylor Swift (Liz Rose & Taylor Swift)
○ As It Was - Harry Styles (Tyler Johnson, Kid Harpoon & Harry Styles)
  Bad Habit - Steve Lacy (Matthew Castellanos, Brittany Fousheé, Diana Gordon, John Carroll Kirby & Steve Lacy)
  Break My Soul - Beyoncé (Beyoncé, S. Carter, Terius "The-Dream" Gesteelde-Diamant & Christopher A. Stewart)
  Easy On Me - Adele (Adele Adkins & Greg Kurstin)
  God Did - DJ Khaled Featuring Rick Ross, Lil Wayne, Jay-Z, John Legend & Fridayy (Tarik Azzouz, E. Blackmon, Khaled Khaled, F. LeBlanc, Shawn Carter, John Stephens, Dwayne Carter, William Roberts & Nicholas Warwar)
◎ The Heart Part 5 - Kendrick Lamar (Jake Kosich, Johnny Kosich, Kendrick Lamar & Matt Schaeffer)
  Just Like That - Bonnie Raitt (Bonnie Raitt)

新人賞部門にはノミネートされてないのに「abcdefu」がここソング・オブ・ジ・イヤーにノミネートされてるという、2015年第57回のメーガン・トレイナー状態になってるゲイルメーガンはその年ROYSOYに「All About That Base」でノミネートされるも受賞を逃しましたが、それが幸いして翌年58回の新人賞部門を受賞してます。何じゃそら、って感じですけど。だからゲイル、今年はチャンスないと思うけど来年新人賞取れるかもね。

そんなことはどうでもいいんですが(笑)この部門もゲイルとホントになぜここにいるのか意味がわからないDJキャレド、そして嬉しい驚きのボニー・レイット以外はほぼ想定範囲内のノミネートになっています。去年11月の予想で自分が挙げていた、エド・シーランの「Shivers」やザック・ブライアンの「Something In The Orange」、レッチリの「Black Summer」などは入ってておかしくないと思いますが、ザックレッチリはジャンル部門でノミネートされているものの、今年はエド・シーランは1曲、カミラ・カベロとのデュエットがポップ・デュオ・グループ部門にノミネートされてるだけ。エドグラミーの蜜月時代は早くも終わりということなんでしょうかね。

で予想ですが、前の部門でお話しした今年の自分の予想シナリオについては、ソング部門でも同様で、特にビヨンセの「Break My Soul」はなーんも考えなければ普通にキャッチーな4つ打ちダンクラナンバーなんですが、これだけ多様性や人種・ジェンダー問題コンシャスになっているアメリカで、その年を代表する曲ってこれじゃないでしょう、って感じしか自分的にはありません。去年のシルク・ソニックの伝統的R&Bオマージュ感たっぷりでかつ楽曲のレベルも高いのとは訳が違うと思ってまして。では何が取るか。自分としてはここで2019年第61回に、『アリー〜スター誕生』のレディ・ガガShallow」やブランディ・カーライルThe Joke」、映画のブラック・パンサー主題歌「All The Stars」といった強豪を抑えてSOY、ROYを独占してしまったチャイルディッシュ・ガンビーノの「This Is America」現象を、ケンドリックの「The Heart Part 5」で再現してくれないかなあ、と切に希望しているのです。シングルのみリリースで、アルバム『Mr. Morale & The Big Steppers』に収録されていないこの曲を敢えてSOYROYにノミネートしたアカデミー・メンバーの意思も何となく感じるんですよね。そして音楽ビデオ部門受賞必至な、ケンドリックカニエウィル・スミス、コービ・ブライアント、二プシー・ハッスルといったそれぞれに悩みや闇を抱えた有名人たちに次々に顔を変えていきながらそれぞれの立場の心情を吐露することで、今のアメリカを生きる黒人としての悩みや思いを表現するというこの曲はそういう快挙を成し遂げる力と価値があると思うので、本命◎は「The Heart Part 5」。そういえばマーヴィン・ゲイの「I Want You」のインターポレーションをベーストラックに使っているこの曲、SOYの作者クレジットに「I Want You」の作者のリオン・ウェアが載ってない、と吉岡さんが指摘してましたが、Wikiとかにはリオンの名前があるんですが、グラミーのノミネート資料にはないんですね。これってちょっと問題かも。

対抗○は楽曲単位での評価であれば、ぐっと強さが増すと思われるハリー・スタイルズの、昨年15週全米ナンバーワンだった「As It Was」がリゾスティーヴ・レイシーの上を行くのでは。そして穴✗はこの部門だけにひょっこりノミネートされてきた(それも既存の楽曲だけど新録音ということで、最終段階で対象となることをグラミー・アカデミーがわざわざアナウンスしたというのがちと臭う)テイラーの「All Too Well (10 Minute Version)」に一応付けておきましょう。一応これも全米ナンバーワンですしね。

54.レコード・オブ・ジ・イヤー(Record Of The Year - アーティスト/プロデューサー/エンジニアに与えられる賞)

  Don’t Shut Me Down - ABBA (Benny Anderson / Benny Andersson, Bernard Löhr & Björn Engelmann)
  Easy On Me - Adele (Greg Kurstin / Julian Burg, Tom Elmhirst, Greg Kurstin & Randy Merrill)
  Break My Soul - Beyoncé (Beyoncé, Terius "The-Dream" Gesteelde-Diamant, Jens Christian Isaksen & Christopher "Tricky" Stewart / Brandon Harding, Chris McLaughlin, Stuart White & Colin Leonard)
  Good Morning Gorgeous - Mary J. Blige (D'Mile & H.E.R. / Byce Bordone, SErban Gheenea & Pat Kelly)
  You And Me On The Rock - Brandi Carlile Featuring Lucius (Dave Cobb & Shooter Jennings / Brandon Bell, Tom Elmhirst, Michael Harris & Pete Lyman)
  Woman - Doja Cat (Crate Classics, Linden Jay, Aynzli Jones & Yeti Beats / Jesse Ray Ernster, Rian Lewis & Mike Bozzi)
✗ Bad Habit - Steve Lacy (Steve Lacy / Neal Pogue, Karl Wingate & Mike Bozzi)
◎ The Heart Part 5 - Kendrick Lamar (Beach Noise / Beach Noise, Rob Bisel, Ray Charles Brown Jr., James Hunt, Johnny Kosich, Matt Schaeffer, Johnathan Turner & Michelle Mancini)

  About Damn Time - Lizzo (Ricky Reed & Blake Slatkin / Patrick Kehrier, Bill Malina, Manny Marroquin & Michelle Mancini)
○ As It Was - Harry Styles (Tyler Johnson & Kid Harpoon / Jeremy Hatcher, Spike Stent & Randy Merrill)

さて以前も書いたと思いますが、「ソング・オブ・ジ・イヤー」と「レコード・オブ・ジ・イヤー」の違いの最大のポイントは、SOYが楽曲としてのクオリティ(曲構成、メロディと歌詞)を評価されるのに対し、ROYは「そのレコードがその年を代表するレコードか」ということと、アーティストのパフォーマンス、プロデューサーやエンジニアによるコンテンツやテクニカルな卓越性を評価するというもの。そして「その年を代表する」という場合、やはりチャート的、商業的成功は一定要素に入ってくることになります。従って2000年以降で、Hot 100チャートインしていない曲でこの部門を受賞したのは、2009年第51回のロバート・プラント&アリソン・クラウスPlease Read The Letter」と2005年第47回のレイ・チャールス&ノラ・ジョーンズの「Here We Go Again」の2回のみ。この2年についてはこの2組のアルバムも最優秀アルバムを受賞してますのでちょっと別格だったと思います。そうなってくると、明らかにリスペクト・ノミネーションの色が濃いア(2年連続グラミー主要部門ノミネートというのはそれはそれで凄いことですが)と、ブランディ・カーライルの2つはまずは受賞確率は低くなるでしょうね。
ここでいつものように、数字の面から2022年を代表する曲って何?というのをチャートや売上、ストリーミング数のランキングで検証してみましょう。

<2022年Hot 100年間チャート(ビルボード誌)>
1.Heat Waves ▲5 - Glass Animals
2.As It Was ▲2 - Harry Styles
3.Stay ▲9 - The Kid LAROI & Justin Bieber
4.Easy On Me ▲4 - Adele
5.Shivers - Ed Sheeran

<売上(RIAA認定)>
▲9 Stay - The Kid LAROI & Justin Bieber
▲6 Industry Baby - Lil Nas X & Jack Harlow
▲5 Wasted On You - Morgan Wallen
▲5 Die For You - The Weeknd
▲4 Easy On Me - Adele
▲4 Love Nwantiti (Ah Ah Ah) - CKay

<2022年オン・ディマンド・ストリーミング数(Luminate社(旧MRCデータ)調べ、オーディオ・ストリーミング数+ビデオ・ストリーミング数>
1.Industry Baby - Lil Nas X & Jack Harlow(8.8億=3.2億+5.6億)
2.As It Was - Harry Styles(7.63億=6.1億+1.53億)
3.Heat Waves - Glass Animals(7.58億=5.29億+2.29億)
4.We Don’t Talk About Bruno - “Encanto” Cast(7.47億=4.22億+3.25億)
5.Stay - The Kid LAROI & Justin Bieber(6.2億=3.6億+2.6億)

こうしてみると「あれ?そういえばグラス・アニマルズの曲って何で影もかたちもないんだろう」って思いませんか?年間チャートで1位、ストリーミングでも3位なのに、彼らは昨年の新人賞部門にノミネートされただけで今年はどこにもいません。チャートインしたのは一昨年2021年の2月ですが、トップ10入りして1位を5週記録したのは2022年になってから、という2年またぎのヒットだったというのがマイナスに働いてどっちつかずになったという面はあるでしょうね。同じことはキッドLAROIの「Stay」にも言えますね。

そういうことを別にすると、ここで強さを見せているのは年間チャートとストリーミングの両方で2位に付けているハリー・スタイルズの「As It Was」。しかもオーディオ・ストリーミングだけで見るとこの曲はぶっちぎりの1位なんですね。RIAA認定も▲2のダブル・プラチナです。そうなるとここのROYの本命◎も普通に考えるとハリーの「As It Was」ということになるんですが、SOYのところでも述べた通り、今年はケンドリックチャイルディッシュ・ガンビーノ現象を「The Heart Part 5」で再現するのでは!というのが自分の予想になるので、本命◎はケンドリック、そしてハリーの「As It Was」は対抗○ということにさせてもらいます。「The Heart Part 5」もチャート的には最高位15位には入ってましたから。

最後に穴✗ですが、まったく別の意味で2022年を代表するレコード、という観点で考えると、Hot 100で3週1位、R&B・ヒップホップ・ソング・チャートでは9週1位、R&Bソング・チャートでは13週1位、そしてロック・ソング・チャートとオルタナティブ・ソング・チャートでは今週現在で22週1位継続中、とジャンルをまたぐ大ヒットを記録したスティーヴ・レイシーの「Bad Habit」に付けなくてはいけないと思います。どっちかというと知る人ぞ知る、というオルタナR&Bアーティストのスティーヴが去年一気にメインストリームにブレイクしたというこの現象は、今年のグラミー、どこかで評価してあげて欲しいものです

以上、全91部門中54部門の予想を書き綴って来ましたこの「DJ Boonzzyのグラミー賞大予想」ブログ、ようやく完結となりました。これまで12回に亘ってお付き合い頂きありがとうございます。
本番の授賞式も来週日曜日2月5日(日本時間は2月6日午前)に、去年のラス・ヴェガスから今年はお馴染みのLA、クリプト・ドット・コム・アリーナ(旧ステイプルズ・センター)に戻って来て、3年連続の司会となるトレヴァー・ノアのMCで開催されます。また今週は冒頭でお伝えしたパフォーマー・ロスターに追加のアナウンスがあるでしょうし、最近訃報が伝えられたジェフ・ベックデヴィッド・クロスビーらのトリビュート・コーナーが実施されるかどうかも楽しみですね。そして今年も例年同様、授賞式当日の生ブログもやりますので、当日はお楽しみに。では授賞式の日にまた会いましょう!

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