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今週の全米No.1アルバム事情 #34 - 2020/7/4付

小池都知事が「東京アラート」解除後、逆に東京都の新規感染者が日々増えていて、このままいくと7/5の都知事選の頃は100を超えてるんじゃないかという勢い。なんだかなあ。是非現状を変えていくような開票結果がみたいものですね。

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さて現状が変わらん、という意味ではこちらも同じ、ということで、ディラン砲という強力(だと思った)リリースにもかかわらず、何と今週もわずかに3%しか票を落とさなかったリル・ベイビーの『My Turn』がとうとう通算4週目の1位をキープしちゃいました。ポイントは70,000ポイント、実売は公表されてませんが、NYタイムズによると1.07億ストリーミングを獲得してるということのようなので、ほぼほぼ実売はゼロ、ポイントのほとんどがストリーミングだと思われます。
アメリカではコロナ感染者数がNYを含む多くの州でまた急増しているようなので、正しくこのコロナの時代にはストリーミングに強いヒップホップ、中でも根強い人気のリル・ベイビーが強さを発揮しているということなんでしょう。

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そして期待されてたディランの『Rough And Rowdy Ways』は惜しくも53,000ポイント(実売51,000枚、当然今週トップ売上)で2位初登場。これ、実は2009年の『Together Through Life』の1位以来の最高ランキングだったんですね。『Tempest』(2012年3位)やスタンダード・アルバムの『Shadows In The Night』(2015年7位)や『Fallen Angels』(2016年7位)とかが間にあったのを忘れてて、最近ずっと1位だったような気になってました。でも今回の2位で、ディランは史上唯一、60年代から2020年代までの7デケイド連続でトップ40アルバムをチャートに送り込んできたことになり、やっぱり何だかんだいっても凄いもんです。

で、今回のアルバムで最大の話題曲は先行シングルとしてもリリースされた実に17分の超大作「Murder Most Foul(最も卑劣な殺人)」。これがアメリカNYのビートニク詩人達が活躍していた70年代前半の頃のディランを彷彿とさせるような、鋭い風刺と言葉遊びと含意に満ちた独得のスタイルの歌詞をあの語り口というか歌い口で淡々とラップ(という感じ)する、正にディランの面目躍如するような大作になってます。こういう作品を同時代で経験できるのもなかなかない体験ですよね。なおUKでは余裕の1位でした。

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そしてそのディランを危うく食いかねない勢いで、先週80位から一気に3位に急上昇復活してきたのが、2/29付チャートで2位初登場後、下降していたア・ブギー・ウィット・ダ・フディの『Artist 2.0』。何で今頃、というところですが、先週オリジナルの20曲に9曲が新たに追加されたこのアルバムのデラックス・バージョンがリリースされて、一気にストリーミングを稼いだための急上昇というわけ。最近のラッパー達がこの「デラックス・バージョン商法」を多用しているのは、ここでもリル・ウジ・ヴァートNAVの時にお伝えした通りですが、まさかこんなにリリースして時間が空いててここまで伸ばしてくるとは。ヒップホップのデラックス・バージョン商法恐るべしです

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今週はもう1枚、カニエのプロデュースで2014年に鮮烈にデビューした、ヒップホップR&Bシンガー、テイアナ・テイラーの3作目『The Album』が32,000ポイント(実売4,000枚)で8位に初登場、彼女にとって初のトップ10アルバムになってます。彼女のこの前のアルバム『K.T.S.E.』(2018年17位)はいいアルバムでねえ、大好きでパワロテで聴いてました。今回前回のセンシュアスなジャケとはうって変わって、何やらグレイス・ジョーンズか!ってなジャケになってますが、中身は今回も素敵なヒップホップ・ソウル満載の作品になってるようです。

前回予想に上げたジョン・レジェンドは19位、ブラック・アイド・ピーズなんて52位だった模様(S君、ラム・オブ・ゴッドは15位初登場、健闘だね!)。というということで今週のトップ10おさらいです(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

1 (1) (17) My Turn - Lil Baby ▲
2 (-) (1) Rough And Rowdy Ways - Bob Dylan
3 (80) (19) Artist 2.0 - A Boogie Wit da Hoodie
4 (3) (10) Blame It On Baby - DaBaby
5 (4) (42) Hollywood’s Bleeding - Post Malone
6 (2) (4) Chromatica - Lady Gaga
7 (5) (8) Dark Lane Demo Tapes - Drake
8 (-) (1) The Album - Teyana Taylor
9 (8) (16) Eternal Atake - Lil Uzi Vert
10 (9) (6) The Goat - Polo G

さて来週1位の予想ですが、6/26-7/2リリースのラインアップで光ってるのは何といっても既にシーンの評価も高い、ハイムの3枚目、さすがに来週はこれが来るでしょう。横からさらっていきそうなヒップホップのリリースもなさそうですし。ではまた来週。

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