見出し画像

主役より周りのみんなが気になってしかたなかった第3話

観たんだけど、なかなか書けずにいたsilent第3話。
湊斗のモノローグから始まった時点で、ヤバイな、と思いました。
「すごく仲のいい友達とすごく好きな人だったから、切ないけど、嬉しかった」うーん、最初っから泣かせる!

案の定、今回は、主役2人の話があまり頭に残ってないほど、2人を取り囲む人々に目が、気持ちが向いてしまったのです。

まずはお母さん。
ノックに反応しない萌ちゃんに「もしかして聞こえなかった?」と。
あの、聞き方が、、「違うよね?でも、もしかして?うぅん、そんなはずはない、、」みたいな気持ちがすごく出てた気がします。「聞きたくない、でも確認したい、、」
萌ちゃんはサラッと否定してたけど、ここにもお母さんの「遺伝」を心配する様子が出てて、なんかの伏線なのかなぁ、と。

そして萌ちゃん。
ザ・今どきギャルな感じなんだけど、ちゃんと手話使ってましたね。
「声で話しかけられると聞こえてるって思っちゃう」
家族なのに、そんなことある?って思うかもしれないですが、家族だからこそ、「忘れちゃう」ってあると思うんです。
まして、18年以上聞こえてて、声でやりとりすることを意識もせず当たり前にしていたからこそ、「聞こえなくなった」という変化がなかなか身に染みない。
特に、「聞こえなくなる」って外見上、何も変わらないから、ましてや声を出したら今までと同じく声で返してしまう。実は「中途失聴あるある」
まして、萌ちゃん、想くんと離れて暮らしているから、しかたないな。
でも、「あっ、そうだった、聞こえないんだった」って思い出したらちゃんと手話を使って話をしてて、えらい!
家族が聞こえなくなって「手話を覚える」って、やはり聞こえなくなったことを受け入れないとなかなかできないこと。
信じたくない!もしかしたら良くなるかも、って思ってる間は手話とか考えたくもないだろうから。
もしかしたらお母さんはまだあまり覚えてないかもしれない、、、。
でも萌ちゃんは若さもあって、嘆いたりするだけで留まらず、次に踏み出したからこその手話なのかなーと。

このシーンで、中途失聴の場合、手話って実は聞こえなくなった本人が必要とするんじゃなくて、「聞こえなくなった人」に伝えるために「聞こえる人」が使うものなんだ、って気づいた人、いるでしょうか。音声では伝えられない相手に、手話やudlトークで伝えるんだよね、聞こえる人が。

想くんのように声を出さないとか出せない場合は自分の思いの表出にも手話が必要なのかもしれないけど、中途失聴・難聴者は、発話ができる場合が多いので、声で相手に伝えることはできます。だから手話はむしろ周りの聞こえる人が使うって感じなのです。私も家族にもっと「手話覚えて〜!」って言えば、もっと楽だったかな、と思ったり、、。

あと、萌→紬へのデスりに、家族としての葛藤の歴史が垣間見られた気がしたり、、。大変だったんだろうな、と。

それと、想が萌ちゃんに声を掛ける前に咳をするシーン。
聞こえないでいて、しばらく振りに発話するとき、「よしっ」て感じでちょっと気合いを入れる、スイッチを入れる、感じがリアルで良かった。
私も何気なく話しているようだけど、実は気合い入れてるんだよねー気づいてもらえないけど(笑)

で、萌ちゃん、今回一番心に響いたのはそんな手話のシーンではなく、その前のお母さんとのやりとり。
想が心配で見てきてほしい、と頼まれたのだけど、「余計なこと言いそうだから、やっぱり行かなくていい」とお母さんに言われて「お兄ちゃんの心配ばっかり、、」

さいきん「きょうだい児」「SODA」など、障害を持つ子の、障害のない兄弟のことが話題になるようになってきました。


SODAとは
Sibling Of  Deaf Adults/Childrenの略称。
聞こえない・聞こえにくい・ろう・難聴、聴覚障害のきょうだいをもつ、聞こえる子のことを指す。
SODAの会サイトより
https://soda-siblings.jimdofree.com/

病気や障害のある子どもがいると、どうしても親はそちらに気持ちも時間も費やしてしまいがち。
そんな時に取り残されたようになってしまう「きょうだい」の抱える問題、、萌ちゃんの一言にも込められているように思いました。

そして、萌ちゃんの元同級生=同世代の紬の弟・光くん。
彼の、細くて、か弱そうな姿と、でもお姉ちゃんの幸せを思う気持ちが健気で、、。

「ド?」って聞くのが可愛かった!
「稼いで姉ちゃんにもろもろ返していかなきゃだしね」ってセリフも何かの伏線なのかな。
個人的には、業務用ミシンを使ってるところも気になってます。

次は春尾先生。
紬ちゃん、サラッと聞いてましたね、手話を始めたきっかけ。

止まった手、そしてここでも自虐的な答え、ろう者はろう者と、、の言葉に、やはり何かあったのか?春尾先生?って思いました。この先が楽しみ。

あと、奈々ちゃん。
リュックのシーンとかであざといなんてコメントもあるみたいだけど(笑)、それより演じてる夏帆さんの手話が上手すぎ!
ただ、聞こえないのを知ってるのに電話してくることに対して、「嫌がらせ、性格悪すぎ」って言ってたけど、聞こえるのが当たり前の生活にいると、「聞こえない」と言われても、そのために「できないこと」が結びつかないのよ、すぐには。わかってあげて〜って思いました。
聞こえない人にとっての常識が、聞こえる人にとっては常識でないこともある。もちろん逆も。だから、思い込みや行き違いが起きるんだけど、ね。
それぞれの世界が別々で、どっちの人?ではなく、どちらの人も、どんな人も存在するように世界が広がればいいなぁと思います。

そして誰より湊斗。
みんなが(登場人物も視聴者も)心配していた、「想の出現で紬が湊斗から離れていっちゃうんじゃないか」ということで、彼が悩んだり、イライラしたり、、じゃなかったことが判明!

親友だと思ってたのに、打ち明けてもらえなかった
親友だと思ってたのに、頼ってもらえなかった
親友だと思ってたのに、一番辛い時に力になってあげられなかった。
変わってしまった想の状態を受け入れられない辛さが央士くんの演技でグイグイきて、、、。

本人はどうあっても現実と向き合わなければならない。
家族もそれをすぐそばで向き合わなければならない。
でも「友人」という、微妙な距離感は、実は一番難しいのかも。
切ろうと思えば簡単に切れるようでいて、もしかしたら親兄弟や恋愛対象よりも深いつながりがあったりする。
でもそのつながりがどれくらいなのか、外からは分からないから。

紬を間に置いた関係(想=紬=湊斗)でなく、本当に3辺(想=紬、紬=湊斗、湊斗=想)から成る三角形の関係なんだと思うラストシーンでした。

「いいところで流れる」とコメントされていた髭ダンの主題歌のタイトルは「subtitle」。副題とか、字幕っていう意味。
歌詞を見て「想から紬への想い」って解説してる人もいましたが、湊斗の想いのようにも感じたのは私だけかしら?
「主成分 優しさ」の湊斗くんのこの先が気になる。幸せでいてほしいなぁ。

で、最後に、ふと思ったこと。
今回の登場人物、色や季節にまつわる漢字が多いなぁ。
「青」野、「佐倉」(桜)、「春」尾、「桃」野
「光」や「萌」も季語になりそうだし。
何か、意味があるのかなぁ。

ともあれ、なんだかんだ何度も見直しているうちに、もう明日が第4話の放送日。リアタイで見れるかなぁ。
まだそれぞれがそれぞれの立場で苦しんだり涙したりする段階かもしれないけど、これから少しずつ笑顔になっていけるストーリーだといいなぁ、と思う私です。

この記事が参加している募集

テレビドラマ感想文

いただいたサポートは私の人生を支えてくれた聴導犬をはじめ、補助犬の理解啓発のための活動に生かさせていただきます。