懐かしさとリアリティさと若き俳優たちの熱演に涙が出ちゃう 〜映画『雑魚どもよ、大志を抱け‼︎』
公開前、バリアフリー字幕のモニターをさせていただいた作品。その後、劇場でも字幕メガネで観たのですが、たまたまwowowでの放送を見つけ、3度観(なんて言葉あるのか??)し、以前書けなかった思いを綴ってみたいと思います。
※wowowは、オンデマンドは日本のドラマや映画に字幕つかないのですが、CSのシネマやプライムではほとんど字幕付き!)
あらすじ
地方の町に暮らす平凡な小学生・高崎瞬(池川侑希弥)。心配のタネは乳がんを患っている母の病状……ではなく、中学受験のためにムリヤリ学習塾に入れられそうなこと。望んでいるのは、仲間たちととにかく楽しく遊んでいたいだけなのに…。
そんなある日、彼は映画監督を夢見る友達の西野がいじめられている現場を見て見ぬふりしてしまう。
少年時代の葛藤、勇気、そして旅立ちを描いた感動の物語!
感想
アイドルやトップスターが出演しているわけでなく、すごく話題になった訳でもないのですが、観ていると、いろいろなシーンやセリフに胸がグッと締め付けられました。
いろんな環境に置かれてて苦しんでいる友人たちと比べ、「普通」な家庭にいることに対しての申し訳なさ、そして、辛い環境にありながらも懸命に明日を夢見て必死に生きている友人に対して劣等感を抱える瞬。
その彼に対し、犯罪歴のある父親を持ち、「普通」でありたかったと叫ぶ親友・隆造。
このシーンは何度見ても胸が苦しくなります。
この映画の舞台は昭和の末期。駄菓子屋さんとか、水銀の体温計とか私達世代から見ると懐かしいものがいっぱい出てきます。
撮影したのが飛騨ということも、昔風情を醸し出しているのかもしれません。
貼られているポスターが「あぶない刑事」とかジャッキーチェンとか、映画見るのがVHSビデオとか、きっと演じてる若い俳優さんたちは知らないものばかりでしょうね。
小学生なのに、いきがって掛けてるでっかいサングラスとか、みんなが恐れ慄くつっぱり中学生・政ちゃんの服装や髪型とか、今の時代から見たらギャグ漫画かと思えちゃうかもしれませんが、あったよね、こんな時代、いたよね、こんな人、、って感じ。
だからこそ、私たち世代の心をギュッと掴むのかもしれません。
(私的には、永瀬正敏さんも懐かしかった!)
少年たちの友情や対立や別れ、成長を描いていて、また廃線やトンネルが出てきたり、、ということで私としては映画『スタンド・バイ・ミー』が思い出されました。
足立紳監督は、原作「弱虫日記」の著者でもあり、登場人物にはそれぞれモデルとなった人がいるとのこと。だからこそ、時代を超えて、リアリティのある作品になったのかもしれません。
(ちなみに、今期のNHK朝ドラ「ブギウギ」の脚本も足立監督だそうです)
まとめ
「親ガチャ」なんて言葉が流行ったように、子どもは親を選んで生まれてこれない訳で、、。
なのに、生まれたその環境に、親に、無力な子どもたちは影響され、流されてしまいます。
残念なことに、それは昔も今も変わりません。
そんな中でも、幼いなりに、なんとかもがいて、もがいて、成長していく子どもたちの姿に、「親」である私は「ごめんね」だったり、「ありがとう」だったり、そんな言葉が出てきちゃう映画でした。
海外の映画祭にも出品されたり、国内の映画祭でも最優秀賞を受賞したりしたにもかかわらず、あまり取り上げられてなかったようなのが残念。
公開時、[PG-12] だったのは、虐待や暴力、反社などが描かれていたからかなぁ、と思いますが、現代社会の問題でもあるから、避けて通るべきではないとも思ったりします。
公開から1年近く経ち、DVD&Blu-rayも発売されていますし、動画配信やwowowでの放送もまだあるようです。
DVDやBlu-rayは私が調べた限り、残念ながら字幕が付かないようで、おそらくU-NEXTも字幕なし。
でも、wowowは、オンデマンドでの配信はまだ字幕なしがほとんどですが、CSの「wowowプライム」や「wowowシネマ」で放送されるドラマや映画にはCC(クローズドキャプション)で日本語字幕が見れます。
なので、この機会にぜひご鑑賞下さい。
ただ、、、劇場公開時はバリアフリー上映として「日本語字幕」に加え、「音声ガイド」もあった場合でも、配信や円盤となると、ことごとく、無くなってしまうのが現状。
音声多重とか、方法はあるだろうに、、、まだまだ残念だなぁ、と思う私です。