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本屋開業日記 その12

6月頭に内装工事が始まってからというもの、どんどん店の形が出来上がっていき、あれよあれよという間にオープン目前となりました。

前回までの様子はこちら。

前回までの状態でかなり仕上がってはいましたが、最後の1週間で照明が蛍光灯からLEDのスポットライトになり、出入り口のドアが新しくなり、窓にカーテンが付き、ガラスにはショップサインをペイントし、最高にカッコ良い箱の出来上がり。

放射線状に広がる板の意匠が特に格好良い。
色んなアイデアが出たなかなか決まらなかったショップサインは、最終的にシンプルなものに。
スポットライト。奥のガラス面にはハンドメイドのカーテン。


あとは、木の棚板がザラザラしていないか、釘がはみ出していないか、塗装が剥がれているところがないかなど、細かなところをチェックをしつつ、クリーニング。

本を店に持ち込んだのは、オープン前日の朝から。自宅にぎゅうぎゅうに押し込んでいたダンボールを車で数回往復して運び込み、箱から開封してとりあえず本棚においていく作業が終わったのが夕方頃。そこから一人で本格的な陳列を始めたのですが、まぁ終わるわけもなく。

とりあえず箱から出して置いただけの状態。ここからが本当の闘い。


とりあえず本を箱から出してみて思ったのが、まず「意外と本多いな…」。これだけ大きな本棚があるので、棚をしっかり埋めるには本が足りないんじゃないかと思っていたんです。なので、面陳列(本の表紙が見えるディスプレイ方法)をたくさんしようとか、本棚のテーマがわかるような小さい看板を設置しようとか、本と本の間を空けて少し空けてみようとか、そういう少ない冊数の本でも映えるようなアイデアばかり事前に用意していたんですが、ちょっと予想外の本の量だったので、やり方を変えないといけなくなってしまって。

それから、「ジャンルの偏りが予想以上にある」というのも本をずらっと並べてみて初めて気付かされました。
コミックって個人的には好きだけど、店のメインの商材ではないつもりでいたんです。でも、実は一番ボリュームがあるジャンルだったという。
あと自分で一番ビックリしたのが、音楽関連の本。映画の本とかそんなにないのに、音楽関連の本だけが、気づいたらムチャクチャある(笑)。

いわゆる独立系書店というのは、店主の個性が棚に反映されているのが良さではあるのですが、「さすがにちょっとバランス悪すぎないか」とオープン前日に思ってしまったわけです(笑)。

でもとりあえず今はこれで売り場作るしかないということで、一人淡々と作業を続けていたのですが、夜も更けていくにしたがってだんだんネガティブになってきて、「こんな無能が本屋やるとか言ってお金もたくさん使って…。結果しょぼい売り場しか作れなくて、今まで協力してくれた人達もガッカリするだろう」みたいな思考で頭が一杯になって、心が折れそうになってくる。

オープンまで12時間を切っててこの状態は泣く。

それでも、どうにかこうにか手だけは動かし、午前4時過ぎには何とか見れる状態にはなったところで、とりあえず一旦家に帰ってシャワーを浴びて仮眠を取って再び店でギリギリまで作業を続け、心身ともにボロボロの状態でオープンを迎えることになりました。

本当に疲れた。
ようやったと思います。

そんな感じで余裕なんか1ミリもない状態でのオープンになったのですが、いざ蓋を開けてみると、これまでの数ヶ月イベント出店を繰り返したり、SNSで告知を繰り返していたことが実を結んでくれたようで、初日からたくさんの方に来店して頂きました。みなさんじっくり棚を見て本を選んでいただき、店の雰囲気も並んでいる本も良いと、お褒めの言葉をたくさん頂戴しました。

お花や贈り物、差し入れなどもたくさん頂き、オープン初日は盛況のうちに終了。19時の閉店後に、特に準備に協力してくれた皆さんと軽い打ち上げをして、長かった1日はなんとかぶじに幕を閉じました。

このほかにも色々。本当にありがとうございました。

去年の年末頃から準備を始めて半年とちょっと。なかなか先に進めない時期もあったけれど、この1ヶ月ほどはまさに怒涛のような日々でした。
今の自分に出来ることは、とりあえず全て注ぎ込めたかなとは思っていますが、まだまだ納得の行く出来には程遠い状態です。本を並べる空間としては最高のものを用意してもらうことが出来たので、それにふさわしい売場づくりをしていこうと思います。店は毎日続いていくし、売り場に完成はない。本屋としての新しい日常が、これから始まっていきます。



「本屋開業日記」というタイトルでオープンまでの準備について書いてきました。無事オープン日を迎えたところで最終回、としたいところなのですが、実は開業に伴うあれこれでまだ終わっていないことがありまして、あと1,2回ほど続けたいと思います。

「本屋開業日記」が完結しても、noteは今後続けていくつもりです。オープン日から営業日誌をつけることにしているので、それは1週間分をまとめて定期的に投稿していこうかなと思っています。

何かを書くのって嫌いじゃないけど、得意でもないので、やりだすとすごく時間がかかってしまうんです。まだまだ店のことでやらないといけないことが山積しているので、よもやま話はある程度落ち着いてからになると思います。


それではまた。

ご来店の際は、「本」を目印に。

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