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本屋開業日記 番外編2

実店舗オープンに向けての準備について記録している本屋開業日記、今回は番外編その2です。番外編では、自分が本屋を開くことに至った経緯などを書いています。前回、ヴィレッジ・ヴァンガードやCOMIC CUEとの出会いで、サブカルチャーの世界の扉を開いたあたりまでを書いたので、今日はその続きです。前回はこちら。

前回、学生生活のことを全然書いていなかったんですが、福岡県の大牟田高校という私立高校を卒業して、熊本大学の文学部・人間科学科というところに進学しています。

高校は普通科の進学コースだったんですが、とにかく拘束時間が長かった。朝も放課後も課外授業があって、家を出るのは朝早いし、帰ってくるのも遅い。バイトや部活をする時間はなく(実際に部活動に入ることが規則的に出来なかった)、毎日学校と家を往復するだけで、休みの日は疲れて昼まで寝てるというような生活でした。バイトできないからお金もないし、恋人もいない。思春期のモヤモヤだけ抱えて、音楽だけが救いの日々。高校の同級生と話すと、何だかんだで楽しいこともあったみたいだけど、完全に忘れてる。本当にこの頃の記憶があんまりないんですよね。

ただ、長い拘束時間の中で強制的に勉強させられていたことが自分には合っていたようで、大学は無事志望校に進学出来ました。それは良かったんですが、大学に入った途端に、履修計画を立てるのもいつ学校に行くか決めるのも自分、という野放しな環境になってしまったため、それまで囚人のような生活をしていた自分はどうしたら良いか分からなくなってしまったんです。

熊本大学の文学部・人間科学科というのは、哲学、倫理学、心理学、芸術等を学べる学科です(以前は哲学科という名称で、現在はまた違った学部構成になっているようです)。高校生の時この学科を選んだ理由は、「将来の職業どころか、頭の中がこんがらがってこの先どう生きたら良いかわからないから、哲学の勉強をして考えを整理したい」というものでした。

ですが、知人で同じ大学に進学した人もおらず、完全に孤立してしまい、自分から勉強したいというモチベーションも大してなかったことで、学校に行くこと自体が億劫になってしまい、2年目には休学することになります。1年間の休学を経て、何とか卒業に必要な単位をギリギリ稼いで、卒業することが出来るまではこぎ着けたのですが、こんな体たらくで就職活動などしているはずもなく、卒業後のことは何も考えていませんでした。

見かねたゼミの先生が「とりあえず職につけ」と、熊本市役所での1年間の期間限定の就業を薦めてくれ、「やることがあるわけでもないし、ほなまぁやります」くらいの軽い気持ちで、とりあえずの社会人生活が始まりました。この時平成15年、2003年です。


突然ですが、「魔法のiらんど」というサイトを御存知でしょうか。1999年のリリース以降、サービス内容の変遷があるので、知っている方でも世代によって印象が異なると思うのですが、2000年代始めくらいまでの「魔法のiらんど」は、無料ホームページ作成サービスの大手として人気(”i”はおそらく”iモード”を由来にしていて、携帯電話でもPCでも閲覧できるホームページの走り的存在でした)で、僕も当時「魔法のiらんど」を使ってホームページを作成し、掲示板などで色んな人との交流を楽しんでいました。「魔法のiらんど」についてはこちらを見ていただくとよく分かると思います。

大学デビューに失敗し(別にするつもりもなかったけどん)、日々悶々としていた僕にとっては、ネット上で自分の好きなものについて書いたり、遠くにいる顔の見えない誰かと掲示板で交流したりするのは本当に楽しく、たまたま隣県に住んでいた人たちとは実際に会って一緒にライブに行ったりレコ狩りをしたりもしていました。大学時代で楽しかった思い出って本当にないんですが(コイツいつも楽しい思い出ないな)、ネット上で好きなバンドとか漫画の話をしていたことだけは今でも良い思い出です。この時に独学で学んだHTMLの知識とか、ちょっとした画像処理ソフトの使い方とかがなければ、今の自分はなかったんじゃないかと思います。


大学卒業後、熊本市役所に勤務することになるのですが、1年間の期間限定だったところを1年間延長させてもらえることになり、結果的に2年間勤めました。

その後のことは例によって何も考えておらず、とりあえずハローワークに行って雇用保険をもらいながら、行きあたりばったりな日々を過ごしていました。そして、雇用保険の給付が終わった7月から、アルバイトを始めます。ヴィレッジ・ヴァンガード熊本パルコ店です。そこから僕の、書店員人生が始まりました(ヴィレッジ・ヴァンガードって本屋なんですよ念のため)。


なんだかんだで長くなってしまったので、残りは次回書くことにします。たぶん次で番外編は終わりです。それではまた。

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