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「噛みあわない会話と、ある過去について」という辻村深月さんの短編集を読み、その糸を考えた。

閑古鳥という鳥が本当にいるのかどうかは知りませんが、当店には確実に存在しています。今日も奴らはやって来た。天気がよいにも関わらず、古本屋の売上は末期的となりました。ただ、Twitterで狙ってないツイートが拡散されるという偶然も手伝って、夕方からは久々に売上が上がりました。

そして今日も読書の時間が少ししか確保できなかったので、薄めの短編集を読みました。先日、夢中になって読んだ「傲慢と善良」を書かれた辻村深月さんの作品、「噛みあわない会話と、ある過去について」という本です。

正直に申しますと、店主はこの本を読み終わったときにこの本のテーマや内容を理解できませんでした。もちろん面白く読まさせていただきましたが、その先を深く考えることができませんでした。

短編集というのは、作者が意図して短い小説を集めて一冊の本としてまとめたものです。だから、そこには作品を結びつける糸のような意図が存在するはずで、その意図を見抜くことが出来なければ短編集を読んだとはいえないと思うのです。

しかし、店主はその意図がわからない。どの話も興味深く読みましたが、どの作品も読書後に「だから?」という疑問が頭に残ります。

そこでAmazonのレビューを丁寧に読み込んでみました。すると、作者の意図を感じ取れた人の投稿をチラリと目にします。店主はその一瞬で理解しました。そして慌てて目を閉じる。作品の意図に気がついた以上、レビュー全文は見たくない。残りは自分で考えたいと思いました。

整理して考えると、この短編集には1作品につき1つのテーマ(世界観)が与えられており、全4作を並べてみるとそこに共通する異様さのようなものが見えてきました。先ほどまでは見えなかったのに…不思議です。そして、それはよくよく考えてみたらこの本のタイトルそのものでした。

短編集を読むときは、作品としての面白さとは別に、なにゆえ作者はその作品を選び、どんな意図でそれらの作品を束ねたのか?その理由や答えをいち早く感じる読書ができれば、それこそが読書力が上がったと言えるかもしれません。今日の店主は自分はまだまだだと反省する読書となりました。



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