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「打ちのめされるようなすごい本」

今日は朝から雨。午後から風も強くなるという嫌な予報。結局、予報は程々当たり、1日中グズグズした天気となりました。閉店後のこの時間も風がびゅうびゅう吹いています。当然お店は暇でしたが、開店前は売上ゼロ円を覚悟していていただけに、まぁ思ったほどは悪くない1日となりました。

そんな日に、何かを読んでやろうと野望を胸に自分の店を物色していると、以前から気になっていた本が目に付きました。それは米原真理さんの「打ちのめされるようなすごい本」という本です。

読書して確かに打ちのめされました。本のタイトルは「打ちのめされるような凄い本を紹介しますよ」という文脈にに読めますが、店主はこの本自体に打ちのめされました。

著者の米原万理さんはロシア語の通訳でありながら翻訳家。そしてエッセイストとして本を出版しています。とにもかくにも頭がよいだけでなくバイタリティーあふれる凄い人。

紹介される本はどれも厚くて重くて難しそう。みなさんは、定価1万円程の本を読んだことがありますか?とてもじゃないですが手を出せる品物ではありません。ものによっては辞書よりも重いです。とうぜん情報量も桁違い。紙は1枚1枚はとても軽いのですが、分厚い本は殺人事件の凶器として使えるほどの重さと硬さを備えます。それを米原さんが持って読んだとなると、頭だけでなく腕の力も相当な方かと存じます。

しかも米原さんが選んだ本はどれもマイナーで古本屋の店主でさえ知らない本ばかりです。それらマニアックな本を次々と読みこんだ米原さんが、自分の日常生活の中に読書を落とし込んでさりげなくレビューする。これだけで見事な一つのコンテンツとして成立させています。ただのブックレビューじゃない。そしてよくあるエッセイでもない。それが、この「打ちのめされるようなすごい本」の正体でした。

しかし結局、店主は途中で読了を諦めました。とてもじゃないですが、この厚い本は一気に読み切れない。そして、今自分が読む本でもないと思いました。本にしおりを挟み、古本屋の棚にそっと戻します。

ただ、読んでよかったと思います。もし、皆さんも機会があれば是非ご一読を。この本を読んでも頭はよくなりませんが、何か熱いものや読書欲のようなものが体に乗り移るかもしれません。


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