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店主と、本のある暮らし October 2022

こんにちは。いどうほんやKOKOです。
Instagramにて連載中の、【店主と、本のある暮らし】を
noteにも投稿していきたいと思います。

本との出会いや、交流のきっかけになればとても嬉しいです。


こわす たてる

October 2, 2022

ラジオを聴いてくださった皆さま、ありがとうございました。
全国放送での生電話、とってもドキドキしましたが、イベント前の高揚感が、緊張を緩和してくれました。

その中でお気に入りの一冊としてご紹介した絵本をあらためてご紹介します!

『こわす』と『たてる』

ニュージーランドの絵本で、邦訳はパーカッション奏者の新谷祥子さん。
絵もとても勢いがあって、音の表現も印象的な、パワフルな絵本です。

工事を扱った絵本で、建てるものはあっても、壊すものは珍しいのではないかと思います。
でも、壊すこともとても大切な工事なんですよね。
循環、再生といったストーリーが感じられる、とてもクリエイティブなものだなと感じます。

『つくる』では、読書の秋にぴったりの建物を作っていますよ!
ぜひお手にとって、確かめてみてくださいね。

今日は「なんぽろラジフェス」に来ています!
大盛り上がり!

***
『こわす』
作:サリー・サットン
絵:ブライアン・ラブロック
訳:新谷 祥子
発行:福音館書店 2019年初版

『たてる』
作:サリー・サットン
絵:ブライアン・ラブロック
訳:新谷 祥子
発行:福音館書店 2019年初版


せかいでさいしょのポテトチップス

October 7, 2022

今日のママ夢ラジオを聴いてくださった皆さま、ありがとうございました。
手に汗握りながら、パーソナリティのマイコさんにだいぶ助けられての収録でした。
ありがとうございました。

その中でご紹介した絵本をあらためてご紹介します!

『せかいでさいしょのポテトチップス』

みんな大好きポテトチップス!
実はこのポテトチップス、あるアメリカのレストランで、お客さんのクレームから生まれたというエピソードがあります。
そんなエピソードが楽しいおしゃれな絵本になりました。
アメリカでは、ポテトチップスが食事の時に出てくるって、知っていましたか?
日本だと、「もうご飯だからおやつはやめなさい」って言わちゃいますよね。
食文化、奥が深いです。

ポテトチップス、秋から冬にかけて、我が家でもよく作ります。
ピーラーでスライスして、しばらく水に浸けておくのがポイント。
揚げた後は、油もしっかりきりましょう。

ポテチ好きのあなたに、ぜひ読んでほしい一冊です。

***
『せかいでさいしょのポテトチップス』
文:アン・ルノー
絵:フェリシタ・サラ
訳:千葉 茂樹
発行:BL出版 2018年初版


わたしのかみがた
イエペはぼうしがだいすき

October 9, 2022

明日はスポーツの日ですが、KOKOの選書テーマは、「おしゃれをしたい季節」です。
屋内での出店のため、テーマの看板は用意できませんが、おしゃれに関する絵本を用意してお待ちしています。

おしゃれは、ちょっと自分を強く、ご機嫌にしてくれるものだと思っています。
実はわたしは帽子が好きで、よくかぶっています。
以前は仕事の時に帽子をかぶることはできませんでしたが、今は仕事の時ほど帽子をかぶることができて、ちょっと嬉しく思っています。

『わたしのかみがた』は、帽子の絵本ではありませんが、表紙の帽子が印象的な一冊。
この帽子の中はどうなっているのでしょう!
控えめだけどどこか誇らしげで、ちょっと照れているようにも見える表情がなんともかわいいですよね。
気になった方は、お手にとって確かめてみてください。
きっと、不思議でかわいい世界観のとりこになってしまうはずです。

帽子といえばぜひご紹介したいのが、『イエペはぼうしがだいすき』
帽子がだいすきなデンマークの男の子のお話です。
イエペがどんなに帽子が好きか、微笑ましく見守りながら読むことができる絵本です。
小さなお子さんは、きっとイエペを身近に感じるのではないでしょうか。

お気に入りのものを持っていないと気がすまないということ、幼児期にはよくあることですが、大人だって、お気に入りのものを身につけていると、気分が上がる、自分らしくいられるってこと、ありますよね。

写真家の石亀さんは、まるで童話の主人公のようなイエペに出会い、この本を作らずにはいられなかったのだろうと想像します。
初版は1978年。40年から50年前のデンマークの暮らしも垣間見える一冊です。

2つとも、明日持って行きますよ⭐︎

最後に……
おしゃれといえば、本もおしゃれをしていることにはお気づきでしょうか?
お手元にあるハードカバーの単行本を見てみてください。
背表紙と本文の間にある小さな布のことを「花布(はなぎれ)」というのですが、この布は、本の補強と装飾を兼ねています。
これぞ、おしゃれだ!と感じます。
よく見ると、表紙や見返し、スピンと色が合わせてあったり、こだわりが見えてくると思います。
読書の秋、本のおしゃれにも、ぜひ注目してみてくださいね!

***
『わたしのかみがた』
作:樋勝 朋巳
装丁:名久井 直子
発行:ブロンズ新社 2021年初版

『イエペはぼうしがだいすき』
写真:石亀 泰郎
文:文化出版局編集部
発行:文化出版局 1978年初版


もりのなか

October 12, 2022

今日の放送をご覧くださった皆さま、ありがとうございました。
TVhさんのYouTubeチャンネルでも、ご覧いただけますよ!(KOKOのチャンネルの再生リストにも追加しています。)

この日のテーマは「芸術の秋」ということで、絵描きのお話や音楽のお話などを持っていっていました。
ちょっと強引かなとも思いましたが、らっぱやたいこ、手拍子などが音楽にも通ずると考え、『もりのなか』も、目につくところに出していました。

この絵本に色彩はありません。
暗い森の中を、男の子は動物たちを次々と引き連れて行進して行きます。
色がないからこそ、より強く深く、空想の世界に引き込まれていくような気がします。
読み始めると、もう色がないことなど忘れてしまうはずです。
男の子は動物たちと一緒に食事をしたり、ハンカチ落としで遊んだり……
さあ、空想の世界はどのように終わりを迎え、現実に戻っていくのでしょうか。

ストーリーはとてもシンプル。
でも、読む人によって、感じ方に違いがあるかもしれないなと思う一冊です。
楽しいと感じる方も、寂しいと感じる方も、色彩を感じる方も、感じない方もいらっしゃるかもしれません。
小さい頃に読んでいたという方も、ぜひまた、読んでみてください。

大人の方が自分で絵本を読むときは、文字を追うあまり、絵を見ているようで見ていないことがあります。
意識して、絵をみるようにすると良いですよ。
誰かに読んでもらうのもおすすめです!

***
『もりのなか』
著:マリー・ホール・エッツ
訳:まさき るりこ
発行:福音館書店 1963年初版


もっかい!

October 19, 2022

寝る前にお布団の中で読み聞かせをしているという方、あるいはしていたという方、してもらったことがあるという方、いらっしゃいますか?

わたし自身、子どもの頃の読み聞かせの思い出といえば、お布団の中で『ママお話きかせて』シリーズを一話ずつ読んでもらったことで、暖かい布団と、柔らかい母の声に包まれて、心地よい時間だったなあという記憶があります。

これまで、就寝前の絵本タイムの思い出を幸せそうに語ってくださる方にもたくさん出会いましたし、その絵本の中にだって、ベッドで絵本を読む親子はよく登場しますよね。

思い浮かぶシーンは、どれもみんなとろりと幸せそうな雰囲気です……

そう、寝る前の読み聞かせは、あたたかく心地よい眠りに誘ってくれるもの、というイメージだったのですが

我が子たちにとっては少し違ったようで。

今は事典を1日1ページ読み、眠れない時はお話を語り聞かせるという流れに落ち着きましたが、絵本を読んでいた頃は大変でした。

「もっかい!」
「これも!!」
「もっかいこれ!」

読めば読むほどに目が爛々と輝き始め、おしまいにすると泣いたり叫んだり。
「今日は何冊」と決めたって、その取り決めは、あってないようなもの。

なので、『もっかい!』には、共感しかありません。
本に施された仕掛けにもご注目です!!

大変な日々も、きっと愛おしくて笑える思い出に変わるはず。
それまで、大人も子どもも、ドラゴンのように火をふきながらでもいい!頑張ろう!

***
『もっかい!』
作:エミリー・グラヴェット
訳:福本 友美子
発行:フレーベル館 2012年初版(新装版2021年)


眠くなる前に話したいことがあと3つあって

October 23, 2022

今日は、雨デモ晴レテモさんの未読の読書会へ。
今回で2回目の参加です。

読書会、参加してみたいけどちょっとハードルが高いなあ、緊張するなあと感じて、二の足を踏んだ経験をお持ちの方はいらっしゃいませんか?
実はそれは、わたしのことなのですが……

だからこそ、この“未読の”というフレーズを目にした時、手軽さ、身軽さにビビビッと惹かれました。
開催内容についての情報は少なめで、クローズドな感じなのかな?という印象も受けつつ、それとは真逆の、とってもオープンな、懐の深さも感じたのです。

未読の読書会では、その場で自由に本を選びます。
そうして、そのタイトルや表紙から受ける印象や、どうしてこの本が気になったかなどを自由に話していく中で、どんどん話が膨らんで広がっていくという、面白い体験ができます。

今日わたしが選んだのは、Twitterから生まれたコミック『眠くなる前に話したいことがあと3つあって』。
帯には、「“イチャイチャ”でもなく“ほのぼの”でもない、ひと口サイズの新感覚ノロケ話」とあります。

あ、わかる!という共感と、最近そういう時間がなかなか取れていないなという思いが同時に押し寄せ、この本に手が伸びていました。

これからじっくり読むのが楽しみです。

そして、なんと嬉しいことに!
未読の読書会atいどうほんやKOKOが、この冬実現しそうです!
ぜひ、この素敵な読書会、皆さんにも体験してみていただけたら、嬉しいです。

***
『眠くなる前に話したいことがあと3つあって』
著:はしゃ・ちろ
発行:イースト・プレス 2022年初版


どろんこハリー

October 27, 2022

今日は読書の日。
秋の読書週間が始まり、本のイベントも盛り上がるこのタイミングで、インスタ100回目の投稿となりました。
ということで、今日はわたしの絵本の原点とも言える思い出の一冊をご紹介したいと思います。

『どろんこハリー』
この本は、わたしが子どもの頃に従兄弟から譲り受けた絵本です。
表紙には見よう見まねで書いた自分の名前(しかも漢字)があったり、見返しには落書きがあったりもするのですが、それも含めて大切な一冊です。

黒いぶちのある白い犬のハリーは、お風呂に入るのを嫌がって、家を飛び出します。
外で思いっきり遊んで、泥だらけになり、白いぶちのある黒い犬のようになってしまいます。
ハリーは家に帰るのですが、家族はハリーに気づきません。

外で思い切り遊んでいるときの高揚感、家族に気づいてもらえない焦燥感、最後のページに漂う安心感。
何度も読んでいるので、外遊びのシーンでは「そんなことしちゃダメだよ!!」と毎回ハラハラしていたことも、手にとるように思い出せます。

大学進学を機に実家を出る時、この本を真っ先に連れて行こうと決めました。
何か人生の道標になっているとのかというとそういうわけでもなく、ただただ純粋に、子どもの頃たくさん読んでもらった、好きだった、それだけでもう宝物だったからです。
この本の存在とその思い出が、わたしは本が、絵本が好きだと言う理由になっていると言ってもよいかもしれません。

最近、本や絵本の魅力を尋ねられることも多いのですが、どうにもまとまりのない答えになってもどかしく感じます。
一言では表せないし、思いを言葉にした途端に、うーん、なんか違う、そうじゃないと感じてしまう。
それに、本の魅力については、もう既に多くの人の素晴らしい言葉によって語られてきているので、その上をなぞるだけになってしまうのではという気もしています。

本の楽しみ方は人それぞれ。
わたしは、そっと本を置いておく、ということを続けていきたい。
宝物だと思える一冊に出会ってもらえるように。

とはいえ、自分の言葉で魅力を伝えられるようになりたいなあと、切実に思っています。笑

***
『どろんこハリー』
文:ジーン・ジオン
絵:マーガレット・ブロイ・グレアム
訳:わたなべ しげお
発行:福音館書店 1964年初版


わたし

October 30, 2022

昨日のイベント出店でのこと。
友人が家族で来てくれ、4年生の娘さんが「思い出の本」を書いてくれました。

ー『わたし』1年生のころ昼休みにいつもよんでた!ー

お父さんもお母さんも、これは初耳だったようです。
『わたし』ってどんな本だろう?と話しているとき、ちょうど谷川俊太郎さんと長新太さんの『わたし』があったことを思い出し、「もしかして、これ?」と聞いてみると、こくりとうなずいてくれました。
その瞬間、わたしも女の子の家族もびっくり!
「娘の思い出の本、読んでみたい!」と、お買い上げくださいました。(ありがとう!)

思い出の本がここにあるというだけでも嬉しいのに、思い出の本というかたちで、親が3年前の我が子に出逢い直すという、感慨深い瞬間に立ち会えました。

実はわたしも、1年生の頃の彼女に会っているので、なおのことジーンとしてしまったのですが……

学校の本って、必ずしも借りて家に持ち帰るとは限らないのですよね。
幼稚園や保育園で読んでもらっている絵本も、親は知らないことも多いです。
「思い出の本」の企画は2回目ですが、よく、そういう場面に遭遇します。
当たり前のことではあるのですが、子どもたちは親の世界にいるのではなく、その子が中心のその子だけの世界で、様々な経験を積んでいるのだなということを実感する場面です。

『わたし』は、主人公の「わたし」について、お母さんやお父さんからみたら娘、お店屋さんからみたらお客さん、犬からみたら人間というように、そとからみた自分を発見していくことのできる絵本です。

とても単純な、当たり前のことに、はっとさせられます。
ぜひ、読んでみてください。

*** 
『わたし』
文:谷川 俊太郎
絵:長 新太
発行:福音館書店 1981年初版

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